『読んで面白い』『検索で来てもガッカリさせない』『おまけに見やすい』以上、三カ条を掲げた〜快文書〜創作プロフェッショナル共が、心底読み手を意識した娯楽文芸エンターテイメントを提供。映画評論から小説、漢詩、アートまでなんでもアリ。嘗てのカルチャー雑誌を彷彿とさせるカオスなひと時を、是非、御笑覧下さいませ。
No.166
2009/12/22 (Tue) 03:09:04
バート・ランカスター主演の「ドクター・モローの島」を観た。直後にH・G・ウェルズによる原作も読んだ。
難破船からボートで脱出した主人公アンドリュー(原作ではエドワード)が、流れ着いた孤島で奇妙な人々に出会う。顔の真っ黒な獣じみた男たちと、彼らを支配するモロー博士という人物。どの船の航路からも外れた島であるため、アンドリューは博士の家でしばらく生活することになった。獣じみた男たちはいろんなタイプの容姿をしていたが、みな醜く毛むくじゃらで、脚が極端に短い。島では、モロー博士とその助手、それと博士の妻だけが普通の人間だった(博士の妻は原作には出てこない)。獣のような男たちはまさに獣のような行動を取り、また彼らは博士から恐ろしい虐待を受けていた。アンドリューが不審に思って問い詰めると、博士は猿や牛や豚などの動物を改造して彼らのような生物を造ったと話した。
ところで映画では、そんなことをする動機として博士は「奇形に生まれた人間を、正常な容姿に戻す医療にも役立つ研究だ」のようなことを言っているが、原作ではただ単に「科学のため」となっており「科学の進歩のためなら実験動物たちの苦痛など取るに足らぬ」とまで言い切っている。また映画では動物に何かの薬品を注射することで人間化させているが、原作では外科手術によっており、動物たちを切り刻んで必要なら猿と牛をつなぎ合わせるなどして人間を造っている。そんなふうに、原作のほうがモロー博士のマッド・サイエンティストっぷりが凄まじく描かれている。原作にだけある場面だが、「動物にとって苦痛など実は大した問題ではないのだ」と言って博士は、自分の太ももにナイフをずぶりと突き刺し
「わしはこれでも針で刺したほどの痛みも感じてはおらんのですぞ。痛みを感じる点は、すべて皮膚に分布しており、筋肉や神経は元来痛みを感じる必要のないものだ。苦痛とは、我々を危険から守るために存在しているものだが、動物はいずれは進化して全ての危険を知力で避けるようになるはずであり、苦痛などという野蛮な感覚は第一に捨て去らなければならないものだ」と、狂気じみたセリフ。
獣人たちは、博士から与えられた「人間の掟」を絶えず口ずさみ、掟を破った者は「苦しみの家」と呼ばれる博士の研究室で恐ろしい罰を受けることになっている。
「言葉を用いよ、これ、掟なり。殺すなかれ、これ、掟なり。這い歩くなかれ、これ、掟なり。木の皮に爪みがくなかれ、歯や指で草の根をほじくるなかれ、鼻でくんくん地面をかぐなかれ」
つまり人間になったからには、獣のような行いをやめるよう自らに言い聞かせているのだが、薄汚い洞窟の中でこんな文句を熱心に合唱している獣人の姿は、なんとも奇妙で哀れだった。
最後のほうで、博士が反抗的な獣人をはずみで殺してしまい、しいたげられていた獣人たちの怒りが爆発する。獣人たちにとってモロー博士は神のような存在だが、その博士自身が「人間の掟」を破った。「掟」など、もう無効だ……獣人たちの全てのモラルが崩壊し、博士はなぶり殺しにされてしまう。
なんとも不気味なSFで色々感じることはあったが、最後の場面を観ていて、指導者にとって「規則を守ること」は実に重要なことなのだと改めて思った。規則といっても状況によっては破るほうが良い場面もきっとあるだろうが、指導者となると、なかなかそうはいかないだろう。なんといっても「規則を課す側」なのだから。
ある高校の校長先生に聞いた話だが「学校の近くでは、たとえ一歩か二歩で渡れる横断歩道でも、赤信号では決して渡らない」のだそうだ。教師も、そんなふうに規則に縛られる立場なのだろう。たとえ小さな規則違反でも、教師がやれば蟻の一穴というか、生徒に見られるとモラルの崩壊につながりかねないのかも知れない。
(いぜん地元の中学に教育実習に行ったが、先生は学校の周りでは変な行動は取れない。しかし困ったことに、実習校は自宅から歩いて10分もかからない場所にあった。普段どおりの行動が取れず、コンビニで変な雑誌を立ち読みするわけにもいかない。窮屈な生活だった。)
(c) 2009 ntr ,all rights reserved.
難破船からボートで脱出した主人公アンドリュー(原作ではエドワード)が、流れ着いた孤島で奇妙な人々に出会う。顔の真っ黒な獣じみた男たちと、彼らを支配するモロー博士という人物。どの船の航路からも外れた島であるため、アンドリューは博士の家でしばらく生活することになった。獣じみた男たちはいろんなタイプの容姿をしていたが、みな醜く毛むくじゃらで、脚が極端に短い。島では、モロー博士とその助手、それと博士の妻だけが普通の人間だった(博士の妻は原作には出てこない)。獣のような男たちはまさに獣のような行動を取り、また彼らは博士から恐ろしい虐待を受けていた。アンドリューが不審に思って問い詰めると、博士は猿や牛や豚などの動物を改造して彼らのような生物を造ったと話した。
ところで映画では、そんなことをする動機として博士は「奇形に生まれた人間を、正常な容姿に戻す医療にも役立つ研究だ」のようなことを言っているが、原作ではただ単に「科学のため」となっており「科学の進歩のためなら実験動物たちの苦痛など取るに足らぬ」とまで言い切っている。また映画では動物に何かの薬品を注射することで人間化させているが、原作では外科手術によっており、動物たちを切り刻んで必要なら猿と牛をつなぎ合わせるなどして人間を造っている。そんなふうに、原作のほうがモロー博士のマッド・サイエンティストっぷりが凄まじく描かれている。原作にだけある場面だが、「動物にとって苦痛など実は大した問題ではないのだ」と言って博士は、自分の太ももにナイフをずぶりと突き刺し
「わしはこれでも針で刺したほどの痛みも感じてはおらんのですぞ。痛みを感じる点は、すべて皮膚に分布しており、筋肉や神経は元来痛みを感じる必要のないものだ。苦痛とは、我々を危険から守るために存在しているものだが、動物はいずれは進化して全ての危険を知力で避けるようになるはずであり、苦痛などという野蛮な感覚は第一に捨て去らなければならないものだ」と、狂気じみたセリフ。
獣人たちは、博士から与えられた「人間の掟」を絶えず口ずさみ、掟を破った者は「苦しみの家」と呼ばれる博士の研究室で恐ろしい罰を受けることになっている。
「言葉を用いよ、これ、掟なり。殺すなかれ、これ、掟なり。這い歩くなかれ、これ、掟なり。木の皮に爪みがくなかれ、歯や指で草の根をほじくるなかれ、鼻でくんくん地面をかぐなかれ」
つまり人間になったからには、獣のような行いをやめるよう自らに言い聞かせているのだが、薄汚い洞窟の中でこんな文句を熱心に合唱している獣人の姿は、なんとも奇妙で哀れだった。
最後のほうで、博士が反抗的な獣人をはずみで殺してしまい、しいたげられていた獣人たちの怒りが爆発する。獣人たちにとってモロー博士は神のような存在だが、その博士自身が「人間の掟」を破った。「掟」など、もう無効だ……獣人たちの全てのモラルが崩壊し、博士はなぶり殺しにされてしまう。
なんとも不気味なSFで色々感じることはあったが、最後の場面を観ていて、指導者にとって「規則を守ること」は実に重要なことなのだと改めて思った。規則といっても状況によっては破るほうが良い場面もきっとあるだろうが、指導者となると、なかなかそうはいかないだろう。なんといっても「規則を課す側」なのだから。
ある高校の校長先生に聞いた話だが「学校の近くでは、たとえ一歩か二歩で渡れる横断歩道でも、赤信号では決して渡らない」のだそうだ。教師も、そんなふうに規則に縛られる立場なのだろう。たとえ小さな規則違反でも、教師がやれば蟻の一穴というか、生徒に見られるとモラルの崩壊につながりかねないのかも知れない。
(いぜん地元の中学に教育実習に行ったが、先生は学校の周りでは変な行動は取れない。しかし困ったことに、実習校は自宅から歩いて10分もかからない場所にあった。普段どおりの行動が取れず、コンビニで変な雑誌を立ち読みするわけにもいかない。窮屈な生活だった。)
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No.165
2009/12/22 (Tue) 02:20:30
登場人物
アデライン 天才科学者にして絶世の美女。十九歳。
セバスチャン アデラインの執事。彼女によって造られたアンドロイド。
アデラインは脳科学者のセヴリン博士と共同で、人間の脳から言語や視覚にかんする情報を取り出す機器を開発中だった。これが完成すれば、人間が思ってはいても口には出さずにいる情報を抽出できるようになる。そもそもこの研究開発のきっかけは、大西洋沖の未知の油田についての情報をもちながら、大やけどのためまったく意思疎通の出来なくなった地質学者ビョルナー博士とのコミュニケーションを図るためだった。
アデラインは人間の脳について詳しい知識を持たなかったが、今回問題となる視角野、ウェルニッケ野、ブローカ野といった脳の部位の働きについてセヴリン博士から教示を受け、いかに言語情報、視覚情報をそこから取り出すか活発に討議し、どうやら実現のとっかかりらしきものを見つけたところだった。
実験の被験者であるレイ少年は、アデラインが以前人工の翼「イカロス」の開発のときに知り合った、心安くしている少年である。
「やっぱり脳内の電気信号をそのまま抽出しても、もやもやした情報でちょっと役に立たないんだな」アデラインはコンピュータのディスプレイを見ながらつぶやいた。
レイが本を読み、彼の頭に取り付けられた電極を通じて、その本に関する言語情報を取り出そうという試みだった。
「でもアデライン、僕の頭の中には本の内容がくっきり浮かんでいるよ」
「たぶん、自分で分かるということと、口で言い表せるぐらいに明確に意識しているということの間には開きがあるんだと思うの。ほら、言いたいことがうまく言えなくてもどかしい思いをすることってあるでしょう?」
「そうだね。ということはそのもやもやした情報を、外部で補正してやる必要があるってこと?」
「そうかもね。脳からの情報をある種の人工知能に通してやればいいのかも」
アデラインは人工知能については、アンドロイドの開発で多くの経験を持っていたから、そこからの開発は思ったほど時間がかからなかった。脳内の意識にのぼった言語情報、また視覚情報を、かなりの精度で音声化、視覚化することに成功したのだった。
かくしてアデライン=セヴリン型・意識顕在化装置が完成し、それがビョルナー博士に対して使用された。博士は四肢、口、また目を動かせなかったが、意識ははっきりしており、大西洋沖に眠る未知の油田について、その位置や周辺の地質の情報が装置によって把捉された。自然な人間の話し声と、スクリーンに映された鮮明な映像とで、油田についての必要な情報がスムーズに関係者に伝えられた。
またもやアデラインは地球に対し大きな貢献をしたわけだが、この装置は他にもいろいろと使い道があるのは誰の眼にも明らかだった。これを使えば人の持っている秘密、プライヴァシーを簡単に暴けるのだ。そうした悪用を避けるべく、この装置はとりあえず政府の買い上げとなった。
数ヵ月後。休日の午後、アデラインは紅茶を飲みながら刑事もののドラマを見ていた。
「お嬢様、警察のファルコナーというかたからお電話です」アンドロイドの執事、セバスチャンが言った。
「え、誰ですって。いまいいところなのよ」
「録画しておきますよ」
「ああ、もう。で、警察のひとですって。……もしもし、アデラインですが」テレビの画面がドラマから、電話の相手の映像に切り替わった。
「警察庁のファルコナー警視です。ぜひアデラインさんにお力をお借りしたい事件が起きまして。暗黒街のプリンスといわれたマカベという男が逮捕されましてね」
「はい」
「殺人、麻薬の密輸、強盗と数限りない悪行を重ねています。しかしどの事件でもシッポをつかませない。なんとか彼の口を割らせるか、事件の証拠の糸口をつかみたいのです。マカベの悪行を明らかに出来れば、地球の多くの犯罪が解決します。そこで最近、人間の脳内の情報を手に取るように取り出せる装置をアデラインさんが開発なさったことを思い出しました」
「あれはそういう目的で作られたものではないんです。それにほら、どうしてもということであれば、薬があるでしょう。自白剤とかなんとか」
「マカベは自白剤に耐性があるんです。無理に喋らせようとしたら意図的に気を失うことが出来るんですよ」
「うーん……政府は融通がきかないし……分かりました。今回だけならお手伝いします」
かくしてアデラインは、意識顕在化装置の試作品を持って、セバスチャンの運転するエアカーで警察庁本部に向かった。
「あ、壁にぶつけないでください」警察署員に装置を運ばせ、アデラインは取調室に入ってきた。明るい緑のワンピースを着て長袖を腕まくりし、抜けるような白い肌、栗色の長い髪をした絶世の美少女、アデライン。犯人のマカベはヒューッと口笛を吹いた。サングラスをかけているが、口元で不敵に笑っているのが分かる。
「あなたの悪事はすぐにばれるわよ」アデラインはきびきびとたくさんの電極をマカベの頭部に付けていった。
「黙っていても、あなたの頭の中にあることがスクリーンに出て、音声化されるわ。抵抗しても無駄よ。じゃ刑事さん、訊問してください」
「最近の麻薬の取引き相手は誰だ?」
「知らんよ。おれ、肉まんだもの」
「ふざけたことを言うな」
しかしスクリーンには大きな肉まんが映し出されていた。
「肉まんとは、中華まんともいい」と、男性のナレーションがスピーカーから流れ出した。「小麦粉、水、塩、酵母などをこねて発酵させた柔らかい皮で、具を包んで蒸し上げた饅頭である。肉まんの歴史は意外に新しく、1927年に中村屋が中国のパオズを元に……」
「アデラインさん、装置がおかしいんじゃないですか」刑事の一人が言った。
「そんなはずないわ。この男、かたくなに肉まんになりきってるのよ」
「おい! じゃあ、去年スイスの旅客機が墜落した事故の件だ。爆薬を仕掛けたのはチェイスという男で、お前の手下だったんだろう!?」刑事は写真を叩きつけて詰問した。
マカベは口笛を吹いてそっぽを向いた。スクリーンには、緑のワンピースを着たアデラインが映し出された。
「これ、あたしじゃない。どこまでとぼける気?」
スクリーンのアデラインはワンピースを脱ぎ始めた。緑の服を脱ぎ捨てると、アデラインはフンフンと鼻歌を歌いながらブラジャーを外し、乳房をあらわにした。
「ちょっと、何考えてるの! スイスの飛行機の件はどうなったの!? きゃーっ、パンツまで脱がすことないじゃない!」アデラインは自分のヌードが映っているスクリーンを体で隠し、赤い顔をしながらマカベにビンタを食らわした。
マカベは鼻血を出しながらもフフンと笑い「もっとエロいアデラインの映像をみんなに見せてやるぜ」
「その男をすぐ殺しなさい! 銃を貸して! セバスチャン、離すのよ!」アデラインはアンドロイドの執事に羽交い絞めにされて、マカベから無理やり引き離された。
「どうやらこの件では意識顕在化装置は失敗のようですな」セバスチャンはスクリーンのスイッチを切って、取調室から出て行った。
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アデライン 天才科学者にして絶世の美女。十九歳。
セバスチャン アデラインの執事。彼女によって造られたアンドロイド。
アデラインは脳科学者のセヴリン博士と共同で、人間の脳から言語や視覚にかんする情報を取り出す機器を開発中だった。これが完成すれば、人間が思ってはいても口には出さずにいる情報を抽出できるようになる。そもそもこの研究開発のきっかけは、大西洋沖の未知の油田についての情報をもちながら、大やけどのためまったく意思疎通の出来なくなった地質学者ビョルナー博士とのコミュニケーションを図るためだった。
アデラインは人間の脳について詳しい知識を持たなかったが、今回問題となる視角野、ウェルニッケ野、ブローカ野といった脳の部位の働きについてセヴリン博士から教示を受け、いかに言語情報、視覚情報をそこから取り出すか活発に討議し、どうやら実現のとっかかりらしきものを見つけたところだった。
実験の被験者であるレイ少年は、アデラインが以前人工の翼「イカロス」の開発のときに知り合った、心安くしている少年である。
「やっぱり脳内の電気信号をそのまま抽出しても、もやもやした情報でちょっと役に立たないんだな」アデラインはコンピュータのディスプレイを見ながらつぶやいた。
レイが本を読み、彼の頭に取り付けられた電極を通じて、その本に関する言語情報を取り出そうという試みだった。
「でもアデライン、僕の頭の中には本の内容がくっきり浮かんでいるよ」
「たぶん、自分で分かるということと、口で言い表せるぐらいに明確に意識しているということの間には開きがあるんだと思うの。ほら、言いたいことがうまく言えなくてもどかしい思いをすることってあるでしょう?」
「そうだね。ということはそのもやもやした情報を、外部で補正してやる必要があるってこと?」
「そうかもね。脳からの情報をある種の人工知能に通してやればいいのかも」
アデラインは人工知能については、アンドロイドの開発で多くの経験を持っていたから、そこからの開発は思ったほど時間がかからなかった。脳内の意識にのぼった言語情報、また視覚情報を、かなりの精度で音声化、視覚化することに成功したのだった。
かくしてアデライン=セヴリン型・意識顕在化装置が完成し、それがビョルナー博士に対して使用された。博士は四肢、口、また目を動かせなかったが、意識ははっきりしており、大西洋沖に眠る未知の油田について、その位置や周辺の地質の情報が装置によって把捉された。自然な人間の話し声と、スクリーンに映された鮮明な映像とで、油田についての必要な情報がスムーズに関係者に伝えられた。
またもやアデラインは地球に対し大きな貢献をしたわけだが、この装置は他にもいろいろと使い道があるのは誰の眼にも明らかだった。これを使えば人の持っている秘密、プライヴァシーを簡単に暴けるのだ。そうした悪用を避けるべく、この装置はとりあえず政府の買い上げとなった。
数ヵ月後。休日の午後、アデラインは紅茶を飲みながら刑事もののドラマを見ていた。
「お嬢様、警察のファルコナーというかたからお電話です」アンドロイドの執事、セバスチャンが言った。
「え、誰ですって。いまいいところなのよ」
「録画しておきますよ」
「ああ、もう。で、警察のひとですって。……もしもし、アデラインですが」テレビの画面がドラマから、電話の相手の映像に切り替わった。
「警察庁のファルコナー警視です。ぜひアデラインさんにお力をお借りしたい事件が起きまして。暗黒街のプリンスといわれたマカベという男が逮捕されましてね」
「はい」
「殺人、麻薬の密輸、強盗と数限りない悪行を重ねています。しかしどの事件でもシッポをつかませない。なんとか彼の口を割らせるか、事件の証拠の糸口をつかみたいのです。マカベの悪行を明らかに出来れば、地球の多くの犯罪が解決します。そこで最近、人間の脳内の情報を手に取るように取り出せる装置をアデラインさんが開発なさったことを思い出しました」
「あれはそういう目的で作られたものではないんです。それにほら、どうしてもということであれば、薬があるでしょう。自白剤とかなんとか」
「マカベは自白剤に耐性があるんです。無理に喋らせようとしたら意図的に気を失うことが出来るんですよ」
「うーん……政府は融通がきかないし……分かりました。今回だけならお手伝いします」
かくしてアデラインは、意識顕在化装置の試作品を持って、セバスチャンの運転するエアカーで警察庁本部に向かった。
「あ、壁にぶつけないでください」警察署員に装置を運ばせ、アデラインは取調室に入ってきた。明るい緑のワンピースを着て長袖を腕まくりし、抜けるような白い肌、栗色の長い髪をした絶世の美少女、アデライン。犯人のマカベはヒューッと口笛を吹いた。サングラスをかけているが、口元で不敵に笑っているのが分かる。
「あなたの悪事はすぐにばれるわよ」アデラインはきびきびとたくさんの電極をマカベの頭部に付けていった。
「黙っていても、あなたの頭の中にあることがスクリーンに出て、音声化されるわ。抵抗しても無駄よ。じゃ刑事さん、訊問してください」
「最近の麻薬の取引き相手は誰だ?」
「知らんよ。おれ、肉まんだもの」
「ふざけたことを言うな」
しかしスクリーンには大きな肉まんが映し出されていた。
「肉まんとは、中華まんともいい」と、男性のナレーションがスピーカーから流れ出した。「小麦粉、水、塩、酵母などをこねて発酵させた柔らかい皮で、具を包んで蒸し上げた饅頭である。肉まんの歴史は意外に新しく、1927年に中村屋が中国のパオズを元に……」
「アデラインさん、装置がおかしいんじゃないですか」刑事の一人が言った。
「そんなはずないわ。この男、かたくなに肉まんになりきってるのよ」
「おい! じゃあ、去年スイスの旅客機が墜落した事故の件だ。爆薬を仕掛けたのはチェイスという男で、お前の手下だったんだろう!?」刑事は写真を叩きつけて詰問した。
マカベは口笛を吹いてそっぽを向いた。スクリーンには、緑のワンピースを着たアデラインが映し出された。
「これ、あたしじゃない。どこまでとぼける気?」
スクリーンのアデラインはワンピースを脱ぎ始めた。緑の服を脱ぎ捨てると、アデラインはフンフンと鼻歌を歌いながらブラジャーを外し、乳房をあらわにした。
「ちょっと、何考えてるの! スイスの飛行機の件はどうなったの!? きゃーっ、パンツまで脱がすことないじゃない!」アデラインは自分のヌードが映っているスクリーンを体で隠し、赤い顔をしながらマカベにビンタを食らわした。
マカベは鼻血を出しながらもフフンと笑い「もっとエロいアデラインの映像をみんなに見せてやるぜ」
「その男をすぐ殺しなさい! 銃を貸して! セバスチャン、離すのよ!」アデラインはアンドロイドの執事に羽交い絞めにされて、マカベから無理やり引き離された。
「どうやらこの件では意識顕在化装置は失敗のようですな」セバスチャンはスクリーンのスイッチを切って、取調室から出て行った。
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No.163
2009/12/13 (Sun) 21:21:38
カニが島を行く
というのはA・ドニエプロフという旧ソ連の作家による短編小説。誰かの書いた小説の筋を紹介して記事を水増しするのは、前回同様で少し気が引けるが、現在絶版になっている本に載っていてちょっと面白味も感じるから書いてみようかと。
「技術官」と「中尉」と呼ばれる二人の男が、軍のためのある実験をしに小さな無人島に派遣される。その実験を思いつき、機材の準備を整えたのはこの技術官で、中尉のほうは何も知らされていなかった。
十個の重い箱が持ち込まれ、一つ目の箱には工具やテントや食料。二号箱から九号箱までを開けてみると、そこには板状や棒状のインゴット(金属の素材)がぎっしり詰まっていた。鉄、銅、亜鉛のインゴットで、技術官の指示のもと、二人はそれらを島の各所に積み上げたり埋めたりした。その後十番目の箱を開けると、カニの形をした金属性のおもちゃのような物が出てきた。三キログラムぐらいの小さな物で、六本の足、五対のハサミ、二対の触手を持ち、前後には眼があって、背中には小さな放物面反射鏡。砂浜に置かれたそれはじっとしていたが、人の影に入るとササと動いて、また日なたで温まっている。ときどき波打ち際に行って水を飲む。陽が傾くとそのカニは太陽光線を求めて西へ西へと移動。着いた場所の近くにはインゴットの山が一つあった。
翌日二人が観に行くと、なんとカニのロボットは二匹に増えていた。二匹はせわしなく動いていて、触手をインゴットの表面に当てると火花が散り、みるみる金属が切断されていき、その破片をせっせと口の中に放り込んでいた。カニの内部からはブンブンという音がしていて、ほどなく口から機械の部品が幾つも吐き出される。部品は口の下からせり出した工作台の上で素早く組み立てられていき、みるみるうちに自分と同じ形の金属製のカニが出来上がっていった。新たに生まれたカニは砂浜に降り立ち、やはり日光を受けてじっとしたり、水を飲みに行ったりした。驚いた中尉から説明を求められ、技術官が説明して言うには、この機械のカニは自分と同じ機械を作り出すことを唯一の使命としており、背中の反射鏡の奥にある太陽電池でエネルギーを集め、水を飲むことで蓄電池を機能させる。これは軍事目的に役に立つ。敵国の領土にこのカニを放せば、兵器をはじめ金属製の物なら何でも食い荒らして自己複製を続け、ついには敵国の金属物資を全て食い尽くすだろう。味方の領土内にカニが入ってきたら信号を送って機能をストップできるようにすればよい……。
金属製のカニは昼も夜も働いて増殖を続け、ついには島の全てのインゴットを食い尽くした。島中にあふれかえったカニは、次には共食いを始めた。観ていると、動きが他よりすばしこく力強いカニもいて、各々に実力差がある。強いカニは仲間を次々に倒しては相手の体を切り刻み、その金属部品を体内に取り込んで、倦むことなく複製のカニを作っていく。彼らが自分と同じ物を作っているにも関わらず個体差が生まれてくるのは、どんなに精密な機器でも完全に同じ二つの部品を作ることは出来ず、必然的に微妙な誤差が生まれてくるということによる。そしてこの生存競争では、たまたま優れた性能を持ったカニが生き残り、子孫を産んでいくはずだ。つまりは人間が図面を見て改良を重ねなくとも、放って置けばより優れた自動機械カニが生まれてくる……そう技術官は予想していた。
ぱちぱちさらさらと音を立てる火花放電で互いの体を切り刻みあう大戦争を繰り返すうち、ずんぐりとした特別に大きなカニがちらほら生まれてきて、他の小さな金属カニを掃討しだした。その大きなカニはさらに巨大なカニを生んでいった。それらは力強いが動きは鈍く、どうも軍事的観点からは役に立ちそうもない。金属のありかを鋭敏に探知できるカニたちは、やがて二人の食料の缶詰をもズタズタにしてしまう。最後は人間より大きな巨大ガニが、銀歯をはめていた技術官を追い回し、頭から食ってしまう。
読んでいて思ったが、原水爆も恐ろしいけれど、仮にこんな金属カニが実際にいたら、グロテスクさの点でもさらに恐ろしい「最終兵器」になるのではないだろうか。
しかし不気味ではあるけれど、この島でのような実験が本当にやれたらある意味面白そうだ。普通の実験では確かめられないダーウィンの進化論をある程度検証できるのかもしれないし、カニたちの共食いを見ていたら「人間はとどのつまり、何のために戦争をするのだろう?」といった考えを深められるのかも知れない。
有向ミクシィ
(以下、毒にも薬にもならぬ長い妄想話。)
上の小説を読んでいてふと思ったことだが、ミクシィに次のようにして競争原理を持ち込んだらどうなるのだろう。
ミクシィでは、AさんとBさんがマイミク同士のとき
Aさん ― Bさん
というように、どちらが優位でもない関係が結ばれている。これを
Aさん → Bさん
のように、Bさんの方が優位に立つようなマイミク関係にする。Bさんを「親マイミク」、Aさんを「子マイミク」と呼ぶことにする。で、次のような規約を設ける。
1.誰でも一人の親マイミクを持たなくてはならない。
2.子マイミクは何人でも持てるが、親マイミクは一人しか持てない。
3.誰かをミクシィに招待した場合、招待したほうが親マイミクになる。
「子 → 親」と向きの付いたマイミク関係だから、仮にこの世界を「有向ミクシィ」と名付けよう。
有向ミクシィでは、マイミク申請もこれまでとは違ったスリリングなものになるだろう。今まではただ「マイミクになりませんか?」というだけで済んでいたのが、子マイミク・親マイミクのどちらになってもらうのか選ばなくてはならない。
「親マイミクになってもらえませんか?」という場合、従来の自分の親マイミクとの縁を切らなくてはならないから、「自分の今までの親よりあなたの方が好きなんです」という切実なメッセージが込められることになる。
「子マイミクになってもらえませんか?」という場合、相手に従来の親マイミクと縁を切ってもらうようお願いするのだから、厚かましい申し出になる。この申請が通れば、今までの相手の親から彼(彼女)を「略奪」する形になる。
親マイミクは一人しか選べないから、子マイミクを増やすべく皆が奮闘することになる。より面白い日記を書いて皆の気を引こうとする者が増えるだろう。目立つための自己アピールが激化し、さまざまな迷惑メッセージが急増するかもしれない。
これまでひっそりと、マイミク少なめで満足していた人も、ある朝ログインしてみたら自分の子マイミクがゴッソリ誰かに引き抜かれているといった事もあり、心中穏やかでなくなるに違いない。
かくして面白い日記を書き、子マイミクへの気遣いも行き届いたマメな人物が、親マイミクとして「子分」を増やしていくことになる。
「親分、うちのページに荒らしが来ました!」と子マイミクから報告を受ければ飛んでいって、「うちの子分に何してくれてる、おう?」と凄むなどして荒らしを追い払う。子マイミクの人生相談にも親身になって乗ってやる。
面倒見が悪いと他の親の所に逃げられるかもしれないからだ。
子マイミクが一万人もいる「大親分」が何人か出現するようになったら、子マイミクの統制の仕方にも個性が現れて面白いかもしれない。
新興宗教の教祖のように独自の教理で子マイミクを洗脳する者、恐怖政治を布く者、セクシー路線で子マイミクを悩殺し続ける者など、色々だろう。
好きな親が既にいるのに、気になる人物から「子マイミクになって欲しい」と申請を受け、懊悩する人々が増える。
「ああ立派な親がいる身でありながら、他の方に心奪われるなんて! こんなとき体が二つあったらどんなにかいいだろう……え、体が二つ? そうだアカウントを二つ持てばいいんだ!」
と、マルチアカウントの者が急増する。それが親マイミクにばれると、
「おのれ浮気をしておったか!」
と折檻されるわけだ。といってもネット上だから、主に「言葉責め」だが。
こんなSNS、流行らないかもしれないな。日頃の煩わしい上下関係や、他人との競争を忘れられるのもミクシィの良いところだろうし。
もし「有向ミクシィ」なんて流行ったら、参加者のハマり方は尋常ではなくなるだろう。面白いけどやっぱり「やりすぎ」かも知れない。
(c) 2009 ntr ,all rights reserved.
というのはA・ドニエプロフという旧ソ連の作家による短編小説。誰かの書いた小説の筋を紹介して記事を水増しするのは、前回同様で少し気が引けるが、現在絶版になっている本に載っていてちょっと面白味も感じるから書いてみようかと。
「技術官」と「中尉」と呼ばれる二人の男が、軍のためのある実験をしに小さな無人島に派遣される。その実験を思いつき、機材の準備を整えたのはこの技術官で、中尉のほうは何も知らされていなかった。
十個の重い箱が持ち込まれ、一つ目の箱には工具やテントや食料。二号箱から九号箱までを開けてみると、そこには板状や棒状のインゴット(金属の素材)がぎっしり詰まっていた。鉄、銅、亜鉛のインゴットで、技術官の指示のもと、二人はそれらを島の各所に積み上げたり埋めたりした。その後十番目の箱を開けると、カニの形をした金属性のおもちゃのような物が出てきた。三キログラムぐらいの小さな物で、六本の足、五対のハサミ、二対の触手を持ち、前後には眼があって、背中には小さな放物面反射鏡。砂浜に置かれたそれはじっとしていたが、人の影に入るとササと動いて、また日なたで温まっている。ときどき波打ち際に行って水を飲む。陽が傾くとそのカニは太陽光線を求めて西へ西へと移動。着いた場所の近くにはインゴットの山が一つあった。
翌日二人が観に行くと、なんとカニのロボットは二匹に増えていた。二匹はせわしなく動いていて、触手をインゴットの表面に当てると火花が散り、みるみる金属が切断されていき、その破片をせっせと口の中に放り込んでいた。カニの内部からはブンブンという音がしていて、ほどなく口から機械の部品が幾つも吐き出される。部品は口の下からせり出した工作台の上で素早く組み立てられていき、みるみるうちに自分と同じ形の金属製のカニが出来上がっていった。新たに生まれたカニは砂浜に降り立ち、やはり日光を受けてじっとしたり、水を飲みに行ったりした。驚いた中尉から説明を求められ、技術官が説明して言うには、この機械のカニは自分と同じ機械を作り出すことを唯一の使命としており、背中の反射鏡の奥にある太陽電池でエネルギーを集め、水を飲むことで蓄電池を機能させる。これは軍事目的に役に立つ。敵国の領土にこのカニを放せば、兵器をはじめ金属製の物なら何でも食い荒らして自己複製を続け、ついには敵国の金属物資を全て食い尽くすだろう。味方の領土内にカニが入ってきたら信号を送って機能をストップできるようにすればよい……。
金属製のカニは昼も夜も働いて増殖を続け、ついには島の全てのインゴットを食い尽くした。島中にあふれかえったカニは、次には共食いを始めた。観ていると、動きが他よりすばしこく力強いカニもいて、各々に実力差がある。強いカニは仲間を次々に倒しては相手の体を切り刻み、その金属部品を体内に取り込んで、倦むことなく複製のカニを作っていく。彼らが自分と同じ物を作っているにも関わらず個体差が生まれてくるのは、どんなに精密な機器でも完全に同じ二つの部品を作ることは出来ず、必然的に微妙な誤差が生まれてくるということによる。そしてこの生存競争では、たまたま優れた性能を持ったカニが生き残り、子孫を産んでいくはずだ。つまりは人間が図面を見て改良を重ねなくとも、放って置けばより優れた自動機械カニが生まれてくる……そう技術官は予想していた。
ぱちぱちさらさらと音を立てる火花放電で互いの体を切り刻みあう大戦争を繰り返すうち、ずんぐりとした特別に大きなカニがちらほら生まれてきて、他の小さな金属カニを掃討しだした。その大きなカニはさらに巨大なカニを生んでいった。それらは力強いが動きは鈍く、どうも軍事的観点からは役に立ちそうもない。金属のありかを鋭敏に探知できるカニたちは、やがて二人の食料の缶詰をもズタズタにしてしまう。最後は人間より大きな巨大ガニが、銀歯をはめていた技術官を追い回し、頭から食ってしまう。
読んでいて思ったが、原水爆も恐ろしいけれど、仮にこんな金属カニが実際にいたら、グロテスクさの点でもさらに恐ろしい「最終兵器」になるのではないだろうか。
しかし不気味ではあるけれど、この島でのような実験が本当にやれたらある意味面白そうだ。普通の実験では確かめられないダーウィンの進化論をある程度検証できるのかもしれないし、カニたちの共食いを見ていたら「人間はとどのつまり、何のために戦争をするのだろう?」といった考えを深められるのかも知れない。
有向ミクシィ
(以下、毒にも薬にもならぬ長い妄想話。)
上の小説を読んでいてふと思ったことだが、ミクシィに次のようにして競争原理を持ち込んだらどうなるのだろう。
ミクシィでは、AさんとBさんがマイミク同士のとき
Aさん ― Bさん
というように、どちらが優位でもない関係が結ばれている。これを
Aさん → Bさん
のように、Bさんの方が優位に立つようなマイミク関係にする。Bさんを「親マイミク」、Aさんを「子マイミク」と呼ぶことにする。で、次のような規約を設ける。
1.誰でも一人の親マイミクを持たなくてはならない。
2.子マイミクは何人でも持てるが、親マイミクは一人しか持てない。
3.誰かをミクシィに招待した場合、招待したほうが親マイミクになる。
「子 → 親」と向きの付いたマイミク関係だから、仮にこの世界を「有向ミクシィ」と名付けよう。
有向ミクシィでは、マイミク申請もこれまでとは違ったスリリングなものになるだろう。今まではただ「マイミクになりませんか?」というだけで済んでいたのが、子マイミク・親マイミクのどちらになってもらうのか選ばなくてはならない。
「親マイミクになってもらえませんか?」という場合、従来の自分の親マイミクとの縁を切らなくてはならないから、「自分の今までの親よりあなたの方が好きなんです」という切実なメッセージが込められることになる。
「子マイミクになってもらえませんか?」という場合、相手に従来の親マイミクと縁を切ってもらうようお願いするのだから、厚かましい申し出になる。この申請が通れば、今までの相手の親から彼(彼女)を「略奪」する形になる。
親マイミクは一人しか選べないから、子マイミクを増やすべく皆が奮闘することになる。より面白い日記を書いて皆の気を引こうとする者が増えるだろう。目立つための自己アピールが激化し、さまざまな迷惑メッセージが急増するかもしれない。
これまでひっそりと、マイミク少なめで満足していた人も、ある朝ログインしてみたら自分の子マイミクがゴッソリ誰かに引き抜かれているといった事もあり、心中穏やかでなくなるに違いない。
かくして面白い日記を書き、子マイミクへの気遣いも行き届いたマメな人物が、親マイミクとして「子分」を増やしていくことになる。
「親分、うちのページに荒らしが来ました!」と子マイミクから報告を受ければ飛んでいって、「うちの子分に何してくれてる、おう?」と凄むなどして荒らしを追い払う。子マイミクの人生相談にも親身になって乗ってやる。
面倒見が悪いと他の親の所に逃げられるかもしれないからだ。
子マイミクが一万人もいる「大親分」が何人か出現するようになったら、子マイミクの統制の仕方にも個性が現れて面白いかもしれない。
新興宗教の教祖のように独自の教理で子マイミクを洗脳する者、恐怖政治を布く者、セクシー路線で子マイミクを悩殺し続ける者など、色々だろう。
好きな親が既にいるのに、気になる人物から「子マイミクになって欲しい」と申請を受け、懊悩する人々が増える。
「ああ立派な親がいる身でありながら、他の方に心奪われるなんて! こんなとき体が二つあったらどんなにかいいだろう……え、体が二つ? そうだアカウントを二つ持てばいいんだ!」
と、マルチアカウントの者が急増する。それが親マイミクにばれると、
「おのれ浮気をしておったか!」
と折檻されるわけだ。といってもネット上だから、主に「言葉責め」だが。
こんなSNS、流行らないかもしれないな。日頃の煩わしい上下関係や、他人との競争を忘れられるのもミクシィの良いところだろうし。
もし「有向ミクシィ」なんて流行ったら、参加者のハマり方は尋常ではなくなるだろう。面白いけどやっぱり「やりすぎ」かも知れない。
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目次
上段の『☆ 索引』、及び、下段の『☯ 作家別索引』からどうぞ。本や雑誌をパラパラめくる感覚で、読みたい記事へと素早くアクセスする事が出来ます。
執筆陣
HN:
快文書作成ユニット(仮)
自己紹介:
各々が皆、此の侭座して野に埋もるるには余りに口惜しい、正に不世出の文芸家を自称しております次第。以下、【快文書館】(仮)が誇る精鋭を御紹介します。
❁ ntr 〜 またの名を中村震。小説、エッセイ、漢詩などを書きます。mixiでも活動。ふだん高校で数学を教えているため、数学や科学について書くこともあります。試験的にハヤカワ・ポケット・ブックSFのレビューを始めてみました。
❖ 呂仁為 Ⅱ 〜 昭和の想い出話や親しみやすい時代物、歴史小説などについて書きます。
✿ 流火-rjuka- ~ 主に漢詩の創作、訳詩などを行っています。架空言語による詩も今後作りたいと思っています。
☃ ちゅうごくさるなし
主に小説を書きます。気が向けば弟のカヲスな物語や、独り言呟きなことを書くかもしれません。
♘ ED-209 〜 ブログ引っ越しました。
☠ 杏仁ブルマ
セカイノハテから覗くモノ
我ら一同、只管に【快文書】を綴るのみ。お気に入りの本の頁をめくる感覚で、ゆるりとお楽しみ頂ければ僥倖に御座居ます。
※ 基本的に当ページはリンクフリーです。然し乍ら見易さ追求の為、相互には承っておりません。悪しからず御了承下さい。※
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