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 『読んで面白い』『検索で来てもガッカリさせない』『おまけに見やすい』以上、三カ条を掲げた〜快文書〜創作プロフェッショナル共が、心底読み手を意識した娯楽文芸エンターテイメントを提供。映画評論から小説、漢詩、アートまでなんでもアリ。嘗てのカルチャー雑誌を彷彿とさせるカオスなひと時を、是非、御笑覧下さいませ。
No.
2024/11/21 (Thu) 17:35:18

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No.140
2009/11/24 (Tue) 22:49:23

・EMIから「リリー・クラウスの芸術」というシリーズが出ていて、その中からモーツァルトの室内楽のアルバムを何点か入手して聴いてみたけれど、なかでも「ピアノと管楽器のための五重奏曲 K.452」が収められているCDが素晴らしかった。クラウスのいわゆる「粒のそろった」ピアノの音ももちろん良いけれど、ピエルロ、ランスロ、オンニュといったフランスの管楽器奏者のかなでる音は、とてもくつろいだ雰囲気があって、本当にこの曲をいつくしむように演奏している。モーツァルトがこの曲を「自分の最高傑作」と言ったのもあながち間違いではないのかも、と思わせる録音だった。

・教え子がシンガポールに修学旅行に行ったらしく、マーライオンをかたどったクッキーをお土産にもらった。自分が高校生のときの修学旅行は国内だったな。いやそれよりシンガポールと言えば、「霊感が強い」とされるある女性から、いたるところに地縛霊が棲んでいる土地柄と聞いたことがある。このことを塾の若い室長に言おうとしたが、なかなか伝わらなかった。
「自爆した人の霊がたくさんいるんですか?」
「いや、その自爆ではなく、地面に縛り付けられた、という意味です」
「地面に縛り付けられて死んだ人の霊ですか」
「いやいや、文字通りとってはいけません。その地方に恨みなどがあって棲みついている、ということで……」
まあそれだけの話だけど。


・なんとなく気分が冴えないから、鋭利な刀についての詩を書き写してみる。

得快刀授男璋   正志齋 會澤 安

開匣秋霜刄上浮
玉鱗搖動走靑虯
韴靈赫赫神威在
須助餘光斬虜酋

箱を開いて鞘をはらへば秋の霜浮く氷の刃、
玉鱗ゆれ動いて靑い虯(みずち)が走るかと疑はれる。
かの韴(ふつ)のみたまの神劍が、神武天皇の創業を御たすけして虜(えびす)討伐に威力を示された事は史上明かなことであるが、
今この利刃をを得た上は、餘光を助けて神州を涴(けが)さんとする虜の頭目を、一刀兩斷して見たいものである。

(土屋竹雨著『日本百人一詩』より、大意は土屋竹雨による)

妖しく光る刀剣には独特の魅力があるのだろう。この詩はとても気に入ったけれど、自分にはえびすのごとく斬って捨てたいと心底思う相手は最近いない。
會澤正志齋(1782~1863)は水戸藩の人。


蕃劍  杜甫

到此自僻遠
又非珠玉装
如何有奇怪
毎夜吐光芒
虎氣必騰上
龍身寧久藏
風塵苦未息
持汝奉明王

これを致すは僻遠よりす
また珠玉の装にあらず
如何ぞ奇怪ありて
毎夜光芒を吐く
虎気必ず騰上せん
竜身なんぞ久しく蔵せんや
風塵未だやまざるに苦しむ
汝を持して明王に奉ぜん


杜甫の有名な詩。書き写してみて思ったけど、難しい字はほとんど使っていないのだな。しかしさすがに迫力がある。
刀の美しさに引き込まれる気持ちが、義憤と結びついたときに詩が生まれるのだな。

単に刀の美しさ、切れ味に酔いしれると、その人は時に乱心し、夜な夜な町に出かけ「試し斬り」をするなどという話が時代劇によく出てくる。落語のマクラだったか、人間相手の試し斬りに病み付きになったお殿様が、河原でむしろをかぶって寝ている男を見つけ、格好の標的とばかりに思い切り斬り付ける。「痛え! てめえだな、毎晩ひっぱたいていくのは!」

(c) 2009 ntr ,all rights reserved.
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 各々が皆、此の侭座して野に埋もるるには余りに口惜しい、正に不世出の文芸家を自称しております次第。以下、【快文書館】(仮)が誇る精鋭を御紹介します。


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