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 『読んで面白い』『検索で来てもガッカリさせない』『おまけに見やすい』以上、三カ条を掲げた〜快文書〜創作プロフェッショナル共が、心底読み手を意識した娯楽文芸エンターテイメントを提供。映画評論から小説、漢詩、アートまでなんでもアリ。嘗てのカルチャー雑誌を彷彿とさせるカオスなひと時を、是非、御笑覧下さいませ。
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No.189
2010/01/16 (Sat) 04:00:54



ポプラ社の怪盗ルパン・シリーズ(南洋一郎訳)が、文庫サイズながら昔のままの表紙、挿絵で復刊れているようだ。今の段階で出ているのは『奇巌城』『怪盗紳士』『8・1・3の謎』『古塔の地下牢』の四冊らしい。本屋で目について、懐かしさのあまり『古塔の地下牢』を購入してしまった。これは原題を「水晶の栓(Le Bouchou de Cristal)」というらしい(南洋一郎によるルパンはどれも抄訳とのこと)。江戸川乱歩の少年探偵団シリーズも、同じく「少年探偵」というシリーズ名で復刊されている。ポプラ社の両シリーズは、子供のころ学校の図書室でむさぼり読んだものだった。少年探偵団はその当時でも古さを感じさせるところがあったが、それでも読みやすくたまらなく面白かった。しかしルパンも少年探偵も読んだ内容はほとんど覚えていない。少年探偵団の『透明人間』のトリックは子供心にも「ありえないだろ」と思った記憶があるが。

安野光雅の『旅の絵本』シリーズも、小学校の図書室で見つけてずいぶん気に入った。言葉は一切なく、旅人が馬に乗ってヨーロッパのどこかと思しき町や田舎を行くさまが描かれている。絵も美しいが隠し絵的な楽しみがあって、街並みや草むらの中にさりげなく小さく、アダムとイブや不思議の国のアリス、三匹の子豚などの一場面が描き込まれていたりする。

最初に読んだ文庫本は、クリスティの『大空の死』(創元推理文庫)で、小学校五年のときだった。推理小説を読みなれた大人にとってはそう意外でもないラストらしいが、子供心には確かに意外な犯人だった。阪急古書のまちで、クイーンの『Yの悲劇』といっしょに買った。一冊百円。『Yの悲劇』は「暗いなあ」と感じ、なかなか読み通せなかった。

小学校五年か六年のころにSFを読みはじめた。最初に読んだのはアシモフの『暗黒星雲のかなたに』のジュブナイル版。内容はよく覚えていないが、見事などんでん返しがあって、宇宙のロマンがいっぱいつまった小説だった。アシモフの書くSFにはミステリの要素のあるものも多いけれど、これもそうで、推理小説をよく読んでいた自分には入りやすい作品だった。あかね書房から「少年少女世界SF文学全集」というシリーズが出ていて、それでアシモフのSFミステリの傑作『鋼鉄都市』や、ウィンダムの『トリフィドの日』、シェクリイの『不死販売株式会社』などを読んだ。この『不死販売株式会社』こそは僕が小学校時代に読んで最高に面白かった本である。子供というと「鬼ごっこ」などさまざまな「ごっこ遊び」をするけれど、そういう子供心を刺激するゲーム的楽しみに満ちみちた小説なのだ。シェクリイはむかし日本で人気を博したSF作家だが、いまこの作家のファンというとかなりのマニアと目されるだろう。しかしおそらくミック・ジャガーはシェクリイのファンで、上述の作品を「フリージャック」というタイトルで映画化している。またマルチェロ・マストロヤンニもシェクリイ・ファンかも知れず、『標的ナンバー10』の映画化「華麗なる殺人」で主演している(共演はウルスラ・アンドレス)。

話がシェクリイに及ぶとどこまでも脱線してしまうが、とにかく上述のような本を子供のころむさぼり読んでいた。


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快文書作成ユニット(仮)
自己紹介:
 各々が皆、此の侭座して野に埋もるるには余りに口惜しい、正に不世出の文芸家を自称しております次第。以下、【快文書館】(仮)が誇る精鋭を御紹介します。


 ❁ ntr 〜 またの名を中村震。小説、エッセイ、漢詩などを書きます。mixiでも活動。ふだん高校で数学を教えているため、数学や科学について書くこともあります。試験的にハヤカワ・ポケット・ブックSFのレビューを始めてみました。

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