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 『読んで面白い』『検索で来てもガッカリさせない』『おまけに見やすい』以上、三カ条を掲げた〜快文書〜創作プロフェッショナル共が、心底読み手を意識した娯楽文芸エンターテイメントを提供。映画評論から小説、漢詩、アートまでなんでもアリ。嘗てのカルチャー雑誌を彷彿とさせるカオスなひと時を、是非、御笑覧下さいませ。
No.
2024/11/21 (Thu) 17:49:19

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No.318
2010/06/27 (Sun) 18:53:46

サンボは乳首が黒かった。幼稚園のときは自分でもさほど気にしなかったが、小学校に入学し、体育の時間で着換えるときなどに友人から「子供にしては黒すぎる」と指摘され、気になりだしたのだ。

夏のある日。異常なほど気温が上がり、太陽はぎらぎらと強い日光を発していた。四時間目の体育の時間は、プールでの水泳だった。焼けつくように熱くなったプールサイドで、サンボたちは準備運動を始めた。教師の笛の音に合わせて側屈していたそのとき、サンボの黒い乳首が強い日光のため煙を吹き出し、やがて炎を上げて燃え出した。「ぎゃあ!」サンボはのたうち回って苦しみ、すぐに保健室に運ばれた。
そのとき以来、サンボは友人たちから「燃える乳首」と呼ばれ、からかわれだした。いじめの対象にもなった。サンボは悩んだ。いじめられているなど、恥ずかしくて親には言えない。

ある朝のことである。「よっ、燃える乳首!」友人のゼッポがサンボに声をかけた。サンボは怒り心頭に達し「なんだと!」と叫んだ。すわ掴み合いの喧嘩が始まるかに見えたそのとき、サンボの乳首から透明な液体が吹き出し、ゼッポの眼にかかった。「ぎゃあ、痛い!」彼は目を押さえて転げまわった。すぐさま保健室に運ばれたが、ゼッポの眼は焼け焦げており、重傷だった。総合病院に運ばれ、治療を受けることになった。手術を終えた医師は、ゼッポの両親に説明した。
「ゼッポ君の視力が回復する見込みは、今のところ五十パーセントというところです……ゼッポ君の眼に被害を与えたのは、蟻酸という酸の一種です。しかしなぜそんな薬品がそこにあったんでしょうな……」

サンボが乳首から蟻酸を発射したことが分かり、ゼッポの主治医はそれを知って驚愕した。前代未聞の事件である。ぜひサンボ君の体を検査させてほしい、と医師は学校側に申し入れた。
サンボの血液を採取し、そこからサンボの遺伝子を解析すると、驚くべきことが分かった。サンボの実の母親は蟻だったのだ。蟻が人間を生むことが出来るのか? どこかに巨大な蟻がいて、人間を受胎したのだろう。そう考えるしかない。

サンボは友人に重傷を負わせてしまったことを後悔していた。乳首が燃えたことを指摘されたぐらいで、何もあんなに怒ることはなかったではないか。そんなことを考えていたおり、ゼッポの主治医がサンボの家を訪問し、彼の実の母親が蟻であることを告げた。
サンボは驚愕した。そして苦しんだ。自分が人間と蟻のあいのこだったなんて!
「サンボ君、気をしっかり持ちたまえ。君は蟻なんかじゃない。ちょっと変わっているけれど、君の体は人間としての機能を立派に備えている。乳首が黒いぐらいなんだ。実のお母さんも、きっと君を誇りに思っているよ。君はありのままでいいんだ」
アリのママ。意図せず発せられたこの駄洒落にサンボは衝撃を受け、しばし一言も発することが出来なかった。


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快文書作成ユニット(仮)
自己紹介:
 各々が皆、此の侭座して野に埋もるるには余りに口惜しい、正に不世出の文芸家を自称しております次第。以下、【快文書館】(仮)が誇る精鋭を御紹介します。


 ❁ ntr 〜 またの名を中村震。小説、エッセイ、漢詩などを書きます。mixiでも活動。ふだん高校で数学を教えているため、数学や科学について書くこともあります。試験的にハヤカワ・ポケット・ブックSFのレビューを始めてみました。

 ❖ 呂仁為 Ⅱ 〜 昭和の想い出話や親しみやすい時代物、歴史小説などについて書きます。

 ✿ 流火-rjuka- ~ 主に漢詩の創作、訳詩などを行っています。架空言語による詩も今後作りたいと思っています。

 ☃ ちゅうごくさるなし
主に小説を書きます。気が向けば弟のカヲスな物語や、独り言呟きなことを書くかもしれません。

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 我ら一同、只管に【快文書】を綴るのみ。お気に入りの本の頁をめくる感覚で、ゆるりとお楽しみ頂ければ僥倖に御座居ます。









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