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 『読んで面白い』『検索で来てもガッカリさせない』『おまけに見やすい』以上、三カ条を掲げた〜快文書〜創作プロフェッショナル共が、心底読み手を意識した娯楽文芸エンターテイメントを提供。映画評論から小説、漢詩、アートまでなんでもアリ。嘗てのカルチャー雑誌を彷彿とさせるカオスなひと時を、是非、御笑覧下さいませ。
No.
2024/11/21 (Thu) 19:32:11

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No.352
2010/09/25 (Sat) 11:26:23

512隻からなるその宇宙船団は、ある惑星で未知の知性体を発見した。五個の壜に収められたその物体は、何かの生物の脳の標本だった。人類学者たちはさっそく壜のひとつを宇宙船に持ち帰り、脳の再生実験を始めた。電子中枢を使用したその実験で、脳との意思疎通に成功したが、呼びかけに対する脳の返答は挑戦的なものだった。そして突如船内のロボットが勝手に動き出し、実験者たちの自由を奪ってしまった。脳が電子中枢を介してその宇宙船を支配したのだ。脳は「即刻この宇宙船から立ち去れ」と全乗組員に命令を下す。乗組員が全員退去すると、船は宇宙のかなたに飛び去っていった。

ここからエリックという青年の物語が始まる。彼は未知の惑星を仲間とともに探査していたが、危険な生物からの攻撃にあったため緊急避難し、やむをえず上官からの命令に背いて決められたコースから離脱し、逃亡する。その途上で知り合った女性と恋に落ちたり、仲間を見殺しにするなどしながら逃避行は続く……。

しかしこれは催眠状態のエリックが見せられていた幻影に過ぎなかった。彼は精神的奇形児と社会から疑われ、医師たちによって心理テストを受けていたのだった。幻影の中でエリックが取った行動を医師らは分析し、彼が社会的不適応者でありロボトミーを受けるべきだとの結論を下す。しかし医師団の一人であったジャネットは、ふだんから管理社会への不満を鬱積させており、エリックに好意を持ったことから、彼を連れ去って南極への逃亡を企てる。しかし彼女の計画は早々に露見し、やむなく下水道から地下世界に潜り込み、エリックとともに困難なサバイバル生活を始める。

読んでいると、はじめの脳の標本の物語はどこに行ったのか皆目わからず不安になるが、最後にはその伏線がみごとに生かされ、心地よい読後感が残る。

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執筆陣
HN:
快文書作成ユニット(仮)
自己紹介:
 各々が皆、此の侭座して野に埋もるるには余りに口惜しい、正に不世出の文芸家を自称しております次第。以下、【快文書館】(仮)が誇る精鋭を御紹介します。


 ❁ ntr 〜 またの名を中村震。小説、エッセイ、漢詩などを書きます。mixiでも活動。ふだん高校で数学を教えているため、数学や科学について書くこともあります。試験的にハヤカワ・ポケット・ブックSFのレビューを始めてみました。

 ❖ 呂仁為 Ⅱ 〜 昭和の想い出話や親しみやすい時代物、歴史小説などについて書きます。

 ✿ 流火-rjuka- ~ 主に漢詩の創作、訳詩などを行っています。架空言語による詩も今後作りたいと思っています。

 ☃ ちゅうごくさるなし
主に小説を書きます。気が向けば弟のカヲスな物語や、独り言呟きなことを書くかもしれません。

 ♘ ED-209ブログ引っ越しました。

 ☠ 杏仁ブルマ
セカイノハテから覗くモノ 



 我ら一同、只管に【快文書】を綴るのみ。お気に入りの本の頁をめくる感覚で、ゆるりとお楽しみ頂ければ僥倖に御座居ます。









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