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 『読んで面白い』『検索で来てもガッカリさせない』『おまけに見やすい』以上、三カ条を掲げた〜快文書〜創作プロフェッショナル共が、心底読み手を意識した娯楽文芸エンターテイメントを提供。映画評論から小説、漢詩、アートまでなんでもアリ。嘗てのカルチャー雑誌を彷彿とさせるカオスなひと時を、是非、御笑覧下さいませ。
No.
2024/11/21 (Thu) 17:44:34

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No.545
2012/01/27 (Fri) 15:07:41

 つい先日、古書街を得意先回りの帰りに歩いていたら「都電 懐かしの街角」というのが目を引いて、ペラペラと白黒の昭和画像のページをめくるうちにタイムスリップした気分になり衝動買いしてしまった。

 昭和の初期から庶民の足として、戦時中は軍需工場へ移動する工場労働者の足として、急速に発達したがやがて台頭してきた戦後の復興~高度成長期には路上をノロノロと12,3kmで通行する路面電車は邪魔者にされ、地下鉄路線網の整備進捗とともにやがて姿を消していく。
 都電の姿が消えていく順に地下鉄が整備されていく様子がよくわかる。

 都内の随所で細く長い散歩道のような公園や、みどりの小道などの名称で親しまれる公園を歩くと結構、片隅に動輪や線路の一部を遺した記念碑があり、そこに走っていた都電を偲ばせる。
 確か荒川遊園地?に行けば昔の何型かしらないけど旧い都電が鎮座していたと思う。トロリーバスと言うのもあったと思う。

            


 幼稚園か小学1,2年あたりにおぼろげな乗車した記憶と景色の思い出が一冊の写真集から甦る。黄色かグリンに塗られた素朴でユーモラスな車両が往来の真中をゆっくりと走っていたのは覚えてる。たまに、何処かの商店や事務所に飾ってある写真や、昭和の日付で描かれた日にちの入ったスケッチや水彩画などを目にすると立ち止まってしまう。
 昔の映画のポスターも往時の記憶の断片を見た思いがする時はあるが、これはまた違うノスタルジーだ。映画「三丁目の夕日」の続編が公開されて好評のようだがどちらもまだ見たことはない。

 セブンイレブンで、キャンペーンのトミカやマーブルチョコを扱っていたが、早くも見切られ始めた。もう少し、専門店やデパートの玩具売り場などできちんと売り場展開を継続すれば・・・とも思うのだが映画が終わるころにはキャンペーン商品も片付けたいのだろう。それが時代のスピードだ。

 都電が走っていた頃は、三和銀行とか富士銀行とかいろんな都市、ローカル銀行がたくさんあって、口座を開くと三匹の子豚やアトム、そしてミラーマンなどのキャラクター貯金箱を窓口でくれたと思う。これも立派なキャンペーングッズだった。
 ブルマアクなどで出していたいわゆるソフトビニール(ソフビと縮める言い方はどうも慣れないが)人形は今のそれと比べると格段に頭でっかちで顔がでかい。
 それより更にユーモラスなのがキャラクター貯金箱だ。大事に10円や50円、100円と貯めるのだからユーモラスより不細工なのはある意味仕方ない。

             

 今の銀行ではくれるのかどうかも知らないし、カードで皆コンビニでも済まされるからそんな貯金箱を目にする銀行へ行かなくなった。

 行ったところで、グローバル・スタンダードか自己資本比率かリーマン・ショックだか分からないけれど「搾取する側の目論見」で統廃合が進み、都電が通った通りの角にはシャッターが下りて何年も経ち、「○×へ移転しました。永らくの御愛顧を・・」などと書かれた黄色に変色した紙がウインドに貼ってある。
 やがてそれもなくなり再開発なんとか計画などと称してその建物はマンションに変わっていく。ユーロもドルも駄目、世界恐慌の前触れのような金融不安が世界的に・・・なんて記事や報道は嫌でも目につく。

 求めた写真集にはいくつかのこんな文章が書いてある。


 「都電は日本が経済成長を遂げた時代に下り坂を転げるように消え去っていった、時代の夢から裏切られ時代と擦れ違い続けた都電」

 「人から馬鹿にされてるような気がし、他人の目が気になっていた年頃に都電と出会った。時代遅れ、邪魔者扱いされながら健気に働く姿に、己の未熟さを痛感した」


            

 「その虫のような、しかし辛抱強い都電の動きが、立ち止まっていた自分の背中を押してくれる気がした」


 移動や通勤にも多少のラッシュはあっても、それほどの不快感を感じない便利な時代だ。
 通勤や通学にゲームをするのは老若男女共通だし、「スマホ」というガラスの板を懸命にこすれば夢の世界が待っている。
 音楽を聴くのも携帯かチューイン・ガムくらいのMP3にヘッドフォンを挿せばいい。音も快適だ。

 貧乏だったあの時代が脳裏をよぎる。
 便利になった暮らしからはあの時代に戻れない。
 ただ、あの時代、都電が走っていたあの頃のたくましさや気概が何処に消えたのか
・・・?変わったのか?なくしたのか?

 亀戸で観る軌道跡の公園は桜の名所に今はなっている。
 近所には大きな商業施設もある。

 軌道の跡、線路と動かなくなった動輪は、雪が降っても桜が咲いてまた散っても、物も言わずにひっそりと其処に佇んでいる。



 (c)2012 Ronnie Ⅱ , all rights reserved.




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 各々が皆、此の侭座して野に埋もるるには余りに口惜しい、正に不世出の文芸家を自称しております次第。以下、【快文書館】(仮)が誇る精鋭を御紹介します。


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