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 『読んで面白い』『検索で来てもガッカリさせない』『おまけに見やすい』以上、三カ条を掲げた〜快文書〜創作プロフェッショナル共が、心底読み手を意識した娯楽文芸エンターテイメントを提供。映画評論から小説、漢詩、アートまでなんでもアリ。嘗てのカルチャー雑誌を彷彿とさせるカオスなひと時を、是非、御笑覧下さいませ。
No.
2024/11/21 (Thu) 18:14:19

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No.572
2012/07/09 (Mon) 18:40:04

aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa

 ルイ・マル監督の「さよなら子供たち」を観た。十代前半ぐらいの男子が集まっている寄宿学校が舞台で、時代は第二次大戦中。ルイ・マルの自伝的映画とのことで、主人公の金髪で小柄な少年ジュリアンは監督自身がモデルなのだろう。ある日もじゃもじゃの黒髪をした転入生ジャンがやってきて、ジュリアンと次第に仲良くなる。ジャンは読書の楽しみをジュリアンに教え、夜中に千一夜物語のエロティックな場面を小声で朗読しあったりする仲になる。フランスはドイツに征服され、ある日ドイツ軍の将校が学校にやってくる。学校はユダヤ人の生徒を引き渡すように強要され、ジャンはユダヤ人だったため連れ去られる。のちにジュリアンは、ジャンがアウシュビッツで死んだことを知るのだった。全体に寄宿学校の生活が淡々と描かれているが、不思議と見飽きないのは寄宿舎や教室にある、木の机や白い壁やメトロノーム、世界地図といったものの、地味ながら美しい色彩も手伝っていると思う。

 ユダヤ人というだけで強制収容所送りになるのは今日から見れば狂気の沙汰だが、では現在のチンパンジーが、いつか人間と同等の知能と感情を持つようになったとして、人間と同じ権利を欲したとしたら拒否する人間は多かろう。それだって猿の人権が確立された時代がきたとしたら、狂気の沙汰だったと見られるかも知れない。また犬や猫を、人間の都合で日々保険所が殺処分しているが、感情面で見れば犬や猫も人間と似通ったものを持っていて、人間と同等の存在と見ることも無理でなく、そうした殺処分も狂気の沙汰と言えば言えるのである。

 ヨーロッパの戦時中の学校の話に戻ると、小学校のとき教科書に載っていた「最後の授業」という話が思い出される。フランスがプロイセンに戦争で負け、国境に近いフランスの学校はそこがプロイセン領になったため次の日からドイツ語で授業を行なわなければならない。国語教師はフランス語で行なう最後の授業で、フランス語がいかに優秀な言語であるかを訴える。自分が子供のころ読んだときはさほど感銘は受けなかったが、それは単に変わるのが教えられる言語だけで、思想・信条の変更を強要されるところまでいかなかったためかも知れない。
 第二次大戦後、学校で受けた日本の子供たちのカルチャーショックのほうがずっと大きかったのではと想像するが、それはさておき、日本の神話を学校でもっと教えるべきだという提言をときどき耳にする。古事記は大切な日本の古典であって、そこで語られる建国の物語を初等教育で取り上げるのはごく自然なことに思える。ただそこで日本神話に関心を深めた子供が、神話のほかの部分を読んで、神武天皇がアマテラスオオミカミの子孫であることを知れば、現在の天皇陛下も当然神の子孫と考えざるを得なくなって、昭和天皇の「人間宣言」から逆行した信条を持つ子供たちが育つかも知れない。それはそれで面白いことだと僕は思うが。
 戦後天皇の権限はいちじるしく縮小され、それを定めた憲法は多くの日本人に支持されている。しかし震災以来、どの政治家も利権にまみれているためか何なのか知らないが、誰も正しい決断が出来ない状況が続き、そうしたとき天皇陛下が至上大権を行使し、真に国民のためになる決断が出来る、そんなしくみが日本にあればよいのにと自分は思った。これは間違った考え方だろうか。

 また話を戻して、社会が激変しこれまでの人々の思想・信条が瓦解したときの小中学校というのは面白いドラマがいろいろ出来そうだ。楳図かずおの「漂流教室」などもその一種だろう。「夜にも奇妙な物語」に「23分間の奇跡」という傑作もあった。  http://www.youtube.com/watch?v=WahIh7VnGlM


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快文書作成ユニット(仮)
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 各々が皆、此の侭座して野に埋もるるには余りに口惜しい、正に不世出の文芸家を自称しております次第。以下、【快文書館】(仮)が誇る精鋭を御紹介します。


 ❁ ntr 〜 またの名を中村震。小説、エッセイ、漢詩などを書きます。mixiでも活動。ふだん高校で数学を教えているため、数学や科学について書くこともあります。試験的にハヤカワ・ポケット・ブックSFのレビューを始めてみました。

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