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 『読んで面白い』『検索で来てもガッカリさせない』『おまけに見やすい』以上、三カ条を掲げた〜快文書〜創作プロフェッショナル共が、心底読み手を意識した娯楽文芸エンターテイメントを提供。映画評論から小説、漢詩、アートまでなんでもアリ。嘗てのカルチャー雑誌を彷彿とさせるカオスなひと時を、是非、御笑覧下さいませ。
No.
2024/11/21 (Thu) 18:00:31

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No.95
2009/10/18 (Sun) 03:49:33

畫鷹  杜甫

素練風霜起
蒼鷹畫作殊
○身思狡兎
側目似愁胡
絛鏇光堪摘
軒楹勢可呼
何當撃凡鳥
毛血灑平蕪

○:扌+雙

この白いえぎぬは、そこから風や霜が起こるかのようだ
ここに描かれた鷹の画の出来栄えは非常なものである
身をそばだて肩を怒らすさまは獲物の兎を思ってでもいるのだろうか
横目ににらむその眼は愁えた胡人に似ている
それをつなぎとめている紐やきらきら光る鐶(わ)は取り捨ててやるに相応しく
のきばやはしらのあたりですぐに猟に呼び出してやりたい勢いを見せている
果たしていつ凡鳥をうちすえて
平野に毛血をそそぐことができるだろうか


深夜から目がさえて眠れず、仕事を終えても疲れることはなかった。通勤バスから降りて足早に阪急の駅に向かう途中、みょうに興奮していた私は、路地に群がっていた鳩の一羽をつかまえて食べた。その血のしたたる内臓を見て、さらに私は興奮し、白いシャツの前を血だらけにして周囲を見回した。人々は私を見ると、なぜか不審そうな目をして小走りに逃げていく。
電車に乗ると、他の乗客はいっせいに私から距離をとり、多くは他の車両に移っていった。
不思議に思ったが、車内がガラガラになって、席に座れて嬉しかった。私は読みさしの数学書を取り出して、長い定理の証明に読みふけった。
十三駅に着いたときは、夕闇がすっかり深くなっていた。暗い路を足早に歩いていると携帯にメールが来たが、見るとツタヤの半額クーポンで今は用がないものだった。携帯をしまうと自販機が目についた。そういえば喉が渇いたから、ポカリスエットでも買って飲もう。だが小銭がない。そこはたまたま神社の通用門のあたりだった。私は門をくぐってまっすぐ賽銭箱に向かい、それをぶち壊して百円玉を二三枚失敬した。

家に帰ると一人だと思うと、淋しくはないが急にものたりなく感じた。そこで、すこし賑やかな通りに出て、スーパーから出てきた若い女を殴って気絶させ、肩にかついで連れて帰ることにした。逃げていく男女を無視して黙々と歩いていると、どこからかパトカーのサイレンの音が聞こえてくる。ほどなく二人の警官に呼び止められた。無視して立ち去ろうとすると、なぜか彼らは私に手をかけてくる。しかし私が二人の頭をつかむと、頭蓋骨が砕けて即死した。もうこの町には住めないような気もする。

もし麻薬を摂取したら、そのときの心の風景はそんなふうではなかろうか。
そんなくだらないことを空想する日曜の午後。

(c) 2009 ntr ,all rights reserved.
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執筆陣
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快文書作成ユニット(仮)
自己紹介:
 各々が皆、此の侭座して野に埋もるるには余りに口惜しい、正に不世出の文芸家を自称しております次第。以下、【快文書館】(仮)が誇る精鋭を御紹介します。


 ❁ ntr 〜 またの名を中村震。小説、エッセイ、漢詩などを書きます。mixiでも活動。ふだん高校で数学を教えているため、数学や科学について書くこともあります。試験的にハヤカワ・ポケット・ブックSFのレビューを始めてみました。

 ❖ 呂仁為 Ⅱ 〜 昭和の想い出話や親しみやすい時代物、歴史小説などについて書きます。

 ✿ 流火-rjuka- ~ 主に漢詩の創作、訳詩などを行っています。架空言語による詩も今後作りたいと思っています。

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