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 『読んで面白い』『検索で来てもガッカリさせない』『おまけに見やすい』以上、三カ条を掲げた〜快文書〜創作プロフェッショナル共が、心底読み手を意識した娯楽文芸エンターテイメントを提供。映画評論から小説、漢詩、アートまでなんでもアリ。嘗てのカルチャー雑誌を彷彿とさせるカオスなひと時を、是非、御笑覧下さいませ。
No.
2024/11/25 (Mon) 02:27:43

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No.21
2009/10/15 (Thu) 22:26:15

光市母子殺害事件のニュースから着想。


夢の終り

「ただいまー」二十六歳になったのび太は、二階の自分の部屋に入るとどっかと腰を下ろした。
「のび太くん、ママが探してたぜ」新聞を眺めながらドラえもんが言った。
「あー無視無視。それよりよ、ジャイ子がよ、またお盛んだぜ。今度の相手は誰だと思う? けけけ」
 のび太は煙草に火をつけながら言った。
「のび太くん、もうハローワークには行かないのかい」ドラえもんは新聞から目を離さず、ため息まじりに言った。
「うるせえな、ママみたいなこと言うんじゃねえよ」のび太はごろりと横になった。
「みんな働いてるんだぜ。ジャイアンだってスネ夫だって。出来杉くんなんて今や財務官僚だぜ」
「あいつは出来が違うんだよ」
 天井をぼんやり見つめながら、ふっと煙を吹き出すのび太。無精ひげが、日頃の怠惰を物語っていた。窓から差し込む夕陽が、彼の部屋を赤く染めている。もう何年も同じように繰り返されてきた、ドラえもんとの空しい会話。
「きみが大学をあきらめるって言ってから、もう五年だよね。言いたかないけど、パパやママだってもう年なんだぜ。いつまで親のすねをかじってりゃ気が済むんだい」
「うるせえ」
 寝返りを打ったのび太の目はうつろだった。淀んだ空気。ドラえもんが道具を出さなくなった三年ほど前から、のび太の体中から発散する駄目人間の空気が、いっそう澱のように彼の部屋に堆積していった。
「おおそうだ。ドラえもん、お土産」
 のび太は茶色い紙袋を、ポンと猫型ロボットに投げてよこした。
「どういう風の吹き回しだい」
「食えよ。どら焼きだぜ」あぐらをかいたのび太は、無表情に言った。
「のび太くん、何があった」
「……まあ食えよ。お茶いれてこようか」
 立ち上がったのび太を、ドラえもんが引き止めた。
「何があったんだ」
「何でもないさ」
「なんにも無いのにきみがどら焼きを買ってくるわけがないだろう。話してみな」
「いや、まあ何、ちょっと言いにくいんだけどよぉ……俺さあ、けけ、ちょっと、人を、人を殺しちゃってさぁ……けけ、うけけ」
 冗談ごとのように無理に軽く言おうとするところが、かえってその真実であることを告げていた。
「おい、いま何て言った。のび太くん、のび太!」ドラえもんは相手の両肩を強くゆすぶった。
「おい、そんなマジになるなよぉ。大したことないんだから」
「詳しく話せ。はじめっから」
「そんな怖い顔するなよ、いま話すからよぉ。昨日さあ、たまたま会った人なんだけど、赤ちゃんを抱いた若い女だったよ。それがさあ、しずかちゃんによく似てたんだよ。前に俺、しずかちゃんをレイプしたじゃない。あんときゃドラえもんがしずちゃんの記憶を消してもみ消してくれたけどさ、また俺、しずちゃんとやりてえやりてえと思ってたところだったんだよ。そこにあの女だろ。それでさあ……」
 ドラえもんはのび太の殺人の一部始終を聞いた。のび太は罪深きことに、母親はおろか赤ん坊まで殺していた。強姦殺人。ドラえもんは、これ以上ないというぐらい陰鬱な気分になった。もう終りだ、のび太も……。
「今、空き地に死体を隠してあるんだよ。それでさぁ、おりいって頼みがあるんだけど」のび太はドラえもんににじり寄った。「久しぶりに道具を出して、この件をもみ消してくれない?」
 ドラえもんは開いた口がふさがらなかった。のび太は続けて言う。
「ドラえもんがこれを何とかしてくれたら、俺、今度こそ真人間になる。本気で働くよ。ママが勧めてくれたみたいに、自衛隊にだって行くさ。ほら俺、射撃が得意だろ。絶対向いてると思うんだよ、やれば出来るんだよ、俺。だからさぁ」
「駄目だ!」ドラえもんが一喝すると、のび太はぎょっとして一瞬口をつぐんだ。
「何もそんな大きな声だすことないじゃないか」
「とうとう来るところまで来てしまったね、のび太くん。今度こそ真人間になる? 今までそのセリフを何回言った? そのたびに僕が、未来の道具できみの尻ぬぐいをしてきたよね。その後きみは真人間になるどころか、もとの極楽とんぼ、いやもっとひどくなっていったじゃないか。僕はきみが本当に自立できるよう、もう道具は出すまいと思った。しばらくきみは大人しくしてた。パパもママも、いつかはきみが目を覚ますと期待し続けてたんだ。それを、それを……」
「わかってるよ。わかってるさ。だから、これが最後だからさ、本当に最後だからさ、助けてくれよ」
「いいやきみは何にも分かっちゃいない。僕は何度もきみに言ったはずだ、きみの自立のために、こんりんざい道具は出さないって。どんな困ったことがあっても未来の道具でちょちょいのちょいと何とかしてしまう、これがまさにきみの自立を妨げてきたんだ。今度という今度は絶対に道具を出さないぞ。のび太くん、これが最後のチャンスだ、この機会に本当の自立とは何かよく考えてみるんだ」
「本当の自立って……最後のチャンスって……道具なしでかい」のび太はドラえもんの真意をはかりかね、キョトンとしていた。
「簡単なことだ。世の中の普通の人がするように、きみもすればいいんだ。きみは自分の足で、警察に歩いていって自首する。きみは自分の手をついて、土下座してご遺族の方に謝るんだ。すべては道具なしで出来ることだ」
「な、何いってるんだい、自首だって。殺人罪だぜ、テレビのニュースにも出るんだぜ。まさか本気じゃないだろ」
「本気だとも。自分のやったことは自分で責任を取る。これが自立だ。だからこれが最後のチャンスだというんだ」
「やだよ……やだ。ドラえもんは自分が何を言ってるのか分かってやしないんだ」
「分かってないのはきみの方だ」ドラえもんは冷然とのび太を見下ろした。
「うわぁー、そんな馬鹿な、そんな馬鹿な」のび太は泣きじゃくった。畳に、ぽたぽたと涙がしたたり落ちた。「おれ、俺だって自立したいと思ってきたんだぜ。小学生のときから、ずっと、ずっと! それをドラえもんが甘やかすから、まともな人間になれなかったんだ。ドラえもんが悪いんだぜ、そうじゃないとは言わせないぞ」
「そうだ。責任の一端は僕にある」ドラえもんは暗澹たる表情で言った。「何でも未来の道具で何とかできるっていう、傲慢さが僕にもあったのかも知れない。その点は謝るよ。ごめんよ、のび太……さあ、警察に行こう。一緒に行ってやるから」
 ドラえもんはのび太の手を引っ張った。のび太も泣きながら力なく立ち上がった。
 家を出て、とぼとぼと歩いていく二人。脱力したのび太がつぶやいた。
「なあ、ドラえもん。俺、刑務所に行くんだよなあ」
「……」
「それとも、死刑かな。何とか言えよ……」
「……」
「なあドラえもん。死ぬときは一緒だぜ」
「わかってるさ」
 夕陽に、二人の影が長く長くのびていた。

(終)

(c) 2009 ntr ,all rights reserved.
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No.20
2009/10/15 (Thu) 22:22:49

一時期、新聞の勧誘がものすごかったが、自宅の近辺に関する限り、最近は沈静化してきた。新聞業界の景気も落ち着いてきたということだろうか。しかし今でも契約者への特典がエスカレートしてるな、と思う。次のような妄想をする人も多いのではないか。


うそのような話

 ちくしょう、なんか面白れえことねえかなあ。ていうか、リストラされてからというものずっと引きこもり状態だし、そろそろ職探さないとヤバいんだけど、動く気しねえんだよな。誰だよ、朝っぱらからドアをどんどん叩きやがって!
「◎×新聞ですが」
「ああ、新聞の勧誘? うちは親父の代から産経って決めてるんだよ」
「いや、うちは産経さんより安いですから」
「そういう問題じゃないの。さいなら」
「いやちょっと、こちらをご覧いただけますか。うちの新聞を一年の契約で取っていただきますと、この中からお好きな商品を差し上げますので」
「あーん? 掃除機、ミニコンポ、電子レンジ……けっこう豪華だね。でも全部間に合ってるし」
「いや、この中にない商品もありますんで。何かご希望のものはございますかね」
 やせた貧相な顔立ちの、五十ぐらいの新聞販売員。よれよれのワイシャツにノーネクタイ、汚い無精ひげ、黒ぶち眼鏡の奥では疲れた目がどんよりと曇っている。きっとどの家でも断られ、くたびれてるんだろう。おれは無茶をいう事にした。
「別に欲しい品物はないけど、俺いま無職なんだよな。仕事を世話してくれたら、一年といわず五年契約で取ってやってもいいがな」
「仕事……ですか」販売員はポカンとした。
「それも、年収一千万以上。でもキツい仕事はいやだな。毎日定時で帰れて、しかも面白い仕事」
「五年……ですか」あいかわらず販売員はポカンとしていたが、やがて「分かりました。なんとかします」
 その言い方がいかにもイイ加減で、契約を取り付けるため、後のことは考えず取りあえず言ってみたという感じ。くたびれた販売員は帰っていった。なんか後ろ姿がかわいそう。でもおれはすぐにその事を忘れ、ごろりと横になった。

 何日かたったころ、再びその販売員はやって来た。前より一層やつれ、目の下にくまが出来ている。頓着しない脂ぎった髪の毛、いかにも貧乏神という感じ。
「◎×新聞です。この間、仕事って仰ってましたよね……イロイロ当たってみたんですがね」
「本気にしたんですか? そんなのあるわけないでしょ」
「ありました」
「え?」
「年収一千万以上、毎日定時で帰れる仕事。中村さんが面白いって思われるかどうかは分かりませんが」
「ちょっとちょっと」
「会社の住所はここです。あさっての午後一時に、部長の山内さんを訪ねてくれますか」
 販売員は相変わらずどんよりと生気のない目をして言った。
「面接ですか」
「いや、仕事はもう決まってますんで。畑山の紹介で来たって言ってもらえれば、話は通るようにしてありますから」
「にわかには信じがたいですね」
「いやもちろん、契約は中村さんにその会社に行ってもらって、直接確かめてからで結構ですよ」

 おれが明後日その会社に行ってみると、話は嘘ではなかった。大きなビルで、間違いなく一流企業だ。
 翌日から働き始めたが、楽そうな仕事だった。しかも皆、定時に帰っていく。
 一週間後、例の畑山という販売員がやって来た。今日はくたびれつつも、うっすらと笑みを浮かべている。
「では、五年契約を」
「そうだな……まだ入社して一週間だし、本当に俺の望むような仕事かどうか、もう少し様子を見させてくれないか?」
 畑山はみるみる元気のない顔になった。
「様子を見るって、どれぐらいですか」
「一ヶ月ぐらい」
「……そうですか。じゃ、一ヵ月後にまた来ます」
 うさんくさそうな顔をしながら、畑山はしぶしぶ引き上げていった。

 おれはすぐに仕事に慣れた。最初の給料ももらったが、かなりの額だ。楽だし、最高の仕事だと思った。
 もちろん◎×新聞、五年契約で取ろう……と思ったが、ちょっとふざけてやれと思った。
 一ヵ月後、畑山が来た。
「では、五年契約を」
「うーん、考えてみたんだけどね。やっぱり産経も捨てがたいなーって」
「は?」
「でもある品物を付けてくれたら、十年でも◎×新聞、取ってもいいかな」
「何ですか」
「家。土地つき一戸建て」
「家……ですか」
「そう。でも新築で頼むよ。この近くで」
「十年……ですか」販売員は、例の鈍そうなポカンとした表情で言った。
「ムリだよね」おれが言うと、
「なんとかします」畑山は困惑した顔で言い、疲れた足取りで帰っていった。
 ウソだろ? 仕事を世話してくれたうえ家まで……。

 畑山の話は嘘ではなかった。一週間後、おれは豪華な一戸建ての家を手に入れることになった。
「では、十年契約を」
 しかしおれはさらに意地悪をした。
「まてまて。住み心地を確かめてからだ」
「どのくらい……?」
「うーん、まあ一週間でいいだろう」
 畑山は明らかにホッとして「では一週間後に来ます」

 一週間後やってきた畑山に、おれはさらに無理難題を押し付けた。
「おれ、彼女がいなくて寂しいんだよね。ていうか結婚したい。いい女を連れてきたら二十年契約してやってもいいなー。でも、それが無理なら産経に逆戻りだな」
「女……?」畑山は脱力したように言った。
「新垣結衣に似た子がいいな。二十一、二歳で」
「二十年……ですか」
「ムリだよね」
「……なんとか、します」畑山は苦虫を噛み潰したように言った。

 さらに一週間後、畑山は新築のおれの家にやって来た。さらにげっそりと頬がこけ、目は落ち窪み、まるで生ける死人だ。
「正直、疲れました。もうこれっきりにしてくれませんか」
「女の子は?」
「連れて来ました。佐久間麻里さんです」
 そう言って畑山は、若い女を玄関のところに呼び寄せた。新垣結衣そっくりだった。
「佐久間麻里です。よろしくお願いします!」女の子は屈託のない笑顔を浮かべ、元気よく頭を下げた。
「ちょっと畑山さん、この子どこから連れてきたんだ」
「どうぞお好きになさってください。後日契約に参ります」畑山は投げやりに言って去っていった。おれは呆れた。
「佐久間さん、だっけ?」
「ハイ、佐久間です」彼女は明るい笑顔で返事した。
「どこから来たの?」
「えっと、寝屋川のほうから」あいかわらずニコニコしている。
「普段は何してるの?」
「音大でバイオリンやってます」

 さっそくその日から同居を始めた彼女とおれは結婚した。
 しかし、畑山と二十年の契約は結ばなかった。
「年商100億の会社の社長になれたら、一生◎×新聞取ってもいいなー」と言ったら、畑山がそのように取りはからってくれたのである。
 今ではおれはIT長者だ。世の中の「勝ち組」は、おおむねこの方法で生まれているようである。

(終)

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No.19
2009/10/15 (Thu) 22:20:22

「さっき通り過ぎたのは、長吉か」
 摩吉が女房に尋ねた。
「そうらしいね」
「あいつ、また畑を作る気か。これで三度目か」
「四度目だよ」
「何度失敗したら気がすむんだ。お天道様が昇らなくなってからというもの、俺らの仕事はもうあがったりだ。だがあいつだけは諦めずに野良に出かけていくんだもんな」
「ああ、こっちの畑が駄目なら、土がよくないのかも知れねえって、また別の土地を耕しに行くもんね」
 二人は呆れ顔で話し合ったが、しかし心の底では、百姓仕事を決して諦めない長吉に対し、少しばかり畏敬の念を持っていた。
 摩吉が言ったとおり、だいぶ以前から、太陽が昇らなくなっていた。理由は誰にもわからなかった。ただひたすらに夜が続いた。月は以前のように昇ってくるが、永遠に続くかと思われる星月夜だった。農家はそれ以来、カイワレダイコンやモヤシなど、日の光のいらない作物を、ほそぼそと作っていた。その中でひとり長吉は、豆だの芋だのといった、日光を必要とする作物を作ろうとした。
「月や星の光でも、育つようになるかも知れねえ」
 そう言って長吉は、来る日も来る日も、土を耕し、種をまき、水をやった。
「月に憑かれて頭がおかしくなったんじゃねえか」
 村人は、星月夜の下で黙々と農作業を続ける長吉を見て、言った。しかし、変人扱いされながらも、夜空のもとで懸命に鍬を振るう彼の姿は、どことなく崇高だった。
 長吉は、月が昇ると起きだして働き、月が沈むと帰って休んだ。月が、かつての太陽の代わりだった。月が白くても青くても、あるいは黄色くても赤くても、長吉の生活は変わらなかった。餅をつく月の兎は、長吉の友だった。北斗七星の柄杓(ひしゃく)は、畑に水をやる長吉を、見守っていた。
 夜が続くようになってからの、長吉の四度目の畑作りは、どこで行われているのか、村人たちは知らなかった。月が昇ると、長吉は農具を持って、どこか知らない場所へ出かけていくのだった。そして月が沈むと、いつもと変わらぬ表情で帰ってくる。
 長吉は喜怒哀楽というものを、めったに表にあらわさなかった。また無口だった。隣に住む摩吉も、彼とは挨拶をかわす程度だった。
 永遠に続くかに思われる夜。村人たちは灯火のもとで、なすことも少なく無力感に襲われつつあった。ただ子供たちだけが元気よく、星空の下で遊びまわっていた。
 そんなある日、月が沈むころのことだった。
「豆がとれたぞ」
 ひっそりとした村に、そんな声が聞こえてきた。それが長吉の声だと気付くのに、みな時間がかかった。村人たちが家々から出てくると、遠くから、荷車を引いてくる長吉の姿が見えた。
 皆のところにやってきた長吉の顔は、いつになく興奮して、赤くなっていた。荷車には、そら豆、いんげん豆、えんどう豆、小豆、大豆などが山と積まれていた。
「すごいな、長吉よ、どこで作ったんだ」
「丘の向こうだ。今日は初(はつ)なりの祝いだ。みんな、俺のうちに集まってくれ」
 村人たちは長吉の家に集まり、酒宴が催された。豆が煮られ、皆、たらふく食った。豆はどれも、太陽の光で育ったのと同じように、うまかった。今まであまり皆の寄り付かなかった長吉の家が、今日はにぎわい、大人や子供のうれしそうな顔がいっぱいだった。皆、口々に長吉は偉いやつじゃ、とほめたたえた。
 酒宴の最中だというのに、長吉がいつの間にかいなくなっていた。長吉はどこへ行った、と皆が言うと、ある子供が言った。
「さっき、鍬を持って出て行ったよ。今日はもう俺の気はすんだ、丘の向こうの畑は皆にくれてやるって。新しい畑になる土地を探しに行くんだって」
 そして、それ以来、長吉は帰ってこなかった。皆、八方手をつくして捜したが、その行方は知れなかった。
「あの変わり者のことだ、そのうちひょっこり帰ってくるじゃろ。あいつ、今もどこかで畑を耕してるんかなあ」
 村人たちは差し昇る月を眺めながら、口々に言い合うのだった。

(終)

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執筆陣
HN:
快文書作成ユニット(仮)
自己紹介:
 各々が皆、此の侭座して野に埋もるるには余りに口惜しい、正に不世出の文芸家を自称しております次第。以下、【快文書館】(仮)が誇る精鋭を御紹介します。


 ❁ ntr 〜 またの名を中村震。小説、エッセイ、漢詩などを書きます。mixiでも活動。ふだん高校で数学を教えているため、数学や科学について書くこともあります。試験的にハヤカワ・ポケット・ブックSFのレビューを始めてみました。

 ❖ 呂仁為 Ⅱ 〜 昭和の想い出話や親しみやすい時代物、歴史小説などについて書きます。

 ✿ 流火-rjuka- ~ 主に漢詩の創作、訳詩などを行っています。架空言語による詩も今後作りたいと思っています。

 ☃ ちゅうごくさるなし
主に小説を書きます。気が向けば弟のカヲスな物語や、独り言呟きなことを書くかもしれません。

 ♘ ED-209ブログ引っ越しました。

 ☠ 杏仁ブルマ
セカイノハテから覗くモノ 



 我ら一同、只管に【快文書】を綴るのみ。お気に入りの本の頁をめくる感覚で、ゆるりとお楽しみ頂ければ僥倖に御座居ます。









 ※ 基本的に当ページはリンクフリーです。然し乍ら見易さ追求の為、相互には承っておりません。悪しからず御了承下さい。※







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