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 『読んで面白い』『検索で来てもガッカリさせない』『おまけに見やすい』以上、三カ条を掲げた〜快文書〜創作プロフェッショナル共が、心底読み手を意識した娯楽文芸エンターテイメントを提供。映画評論から小説、漢詩、アートまでなんでもアリ。嘗てのカルチャー雑誌を彷彿とさせるカオスなひと時を、是非、御笑覧下さいませ。
No.
2024/11/21 (Thu) 18:03:48

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No.672
2014/01/31 (Fri) 18:22:49


 鳴かぬなら死んでるんだよホトトギス

 
 
 

 金貸せよ泣くんじゃないよホトトギス


 信長を殺してしまえホトトギス


 あなただけブラジャーはずすホトトギス


 
 鳴きながら蛇にのまれるホトトギス


 古池で下痢が止まらぬホトトギス


 
 くまモンをつついて殺すホトトギス


 
 人間を連れ去るほどのホトトギス

 

 
 窓の雪 夜食はいつものホトトギス


 
 要手術 頭蓋の中にホトトギス


(c) 2014 ntr ,all rights reserved.
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No.671
2014/01/31 (Fri) 18:13:49

 いまの小学校で算数がどのように教えられているのか知らないけれども、遠山啓の本によると、昔は教科書の出来が悪かったせいで、小学校高学年になると算数が苦手になってしまう子が多かったらしい。特徴的なのが掛け算で、1 年生で「 2×3 」を教えるさい「 2 が 3 つあるから 2 + 2 + 2 を計算しなさい」という風な教え方だったという。それがなぜ良くないかというと、まず子供が 2 年生になったとき「 2×1 = 2 」という式を見ると混乱してしまう。掛け算というのは同じ数をいくつか足すことだと思っていたのに、ここでは足していないし、また掛け算すると数字は必ず大きくなるものと思っていたのに、ここでは大きくなっていない。もっといけないのが「 2×0 = 0 」で、これはそもそも何を足すのか見当もつかず、この式に納得するのはまず不可能である。小学校高学年になって分数の掛け算を習うときも、2×(3/4)という計算にはさっきの考え方はぜんぜん適用できない。そして小学生が算数をいちばん嫌いになりやすいのが「分数の掛け算・割り算」のところであるらしい。

「足し算・引き算」と「掛け算・割り算」は別種のものだと強調して教えるのが望ましい、と遠山氏は述べている。だから「 2×3 」を教える際は、例えば「うさぎには耳が 2 本あります。うさぎが 3 匹います。では耳は全部でいくつあるでしょうか?」という問いかけをして、2 つでひとまとまりのものが 3 つあるのが「 2×3 」だ、と教える。そうすれば「 2×1 = 2 」なら兎が 1 匹だから耳は 2 本になる、「 2×0 = 0 」なら兎が全然いないのだから耳は 0 本、と難なく理解できる。そして分数の掛け算もこの流れならすんなり理解できるらしい。

 こうして「足し算・引き算」と「掛け算・割り算」をきっちり区別できる ようにさせるが、高校の数学になるとこの 2 種類の計算が結びついてくる。「指数・対数」のところである。
「 2^2×2^3 = ? 」という問題に対して「 2^2 = 2×2 で 2^3 = 2×2×2 だから、2^2×2^3 = (2×2)×(2×2×2) = 2^5 」つまり「 2^2×2^3 = 2^(2+3) 」、一般に

 a^m×a^n = a^( m + n )

という公式が成り立つ。このように掛け算した結果に足し算が入り込んでくる。指数 a^m( a の m 乗)とちょうど逆のものが対数 log(ログ)である。

 2 を 2 乗すると 4、 2 を 3 乗すると 8。では 2 を何乗すると 5 になるでしょうか。そんな数はなさそうだ。しかし一見なさそうだが実はあるのであって、その数を log_2(5) と表す(本当はこの_2 のところは g の右下に小さく 2 とかく)。つまり 2^x = 5 であるような数 x が log_2(5) である。だから

 2^3 = 8 から log_2(8) = 3, 2^5 = 32 から log_2(32) = 5

という具合である。いっぽう

 2^8 = 2^( 3 + 5 ) = 2^3×2^5 = 8×32

だから

 log_2(8×32) = 8 = 3 + 5

log_2(8) = 3、log_2(32) = 5 だったのだから、

 log_2(8×32) = log_2(8) + log_2(32)

と書けることが分かる。実は一般に

 log_c(a×b) = log_c(a) + log_c(b) …(☆)

という公式が成り立つ。この式の中にも掛け算と足し算が同時に表れている。log_c(a) を「 a の c を底(てい)とする対数」と呼ぶ。

 しかし、対数など何の役に立つのだろうか? 実は計算機のまだなかった時代には、大きな数の掛け算をする際にはこの対数が非常に役に立ったのである。それは上の log の公式が「掛け算」を「足し算」に変えてくれること、そして「掛け算」より「足し算」のほうが簡単であることによる。

 対数を発見したのはイギリスの数学者ネイピアといわれる。10 を底とする対数のことを常用対数というが、まずネイピアはいろいろな数の常用対数を片っ端から計算し、その結果を「対数表」と呼ばれる本にした。つまり対数表には

 1og_10(1) = 0.000000, log_10(2) = 0.301033, log_10(3) = 0.4771213, …

といった値がえんえんと掲載されているのである。

 そこで例えばある人が、54283×76109 という計算がしたかったとする。そこで対数表を調べると

 log_10(54283) = 4.7346638, log_10(76109) = 4.8814360

とわかる。次はこれらを足すが、足し算は簡単だから自分の手でやると

 4.7346638 + 4.8814360 = 9.6160998

 そこで常用対数が 9.6160998 であるような数を調べると、それは 4131400000 から 4131500000 までの値であると出てくる。対数の公式(☆)を思い出せば

 log_10(54283) + log_10(76109) = log_10(54283×76109)

なのだから、このことは

 54283×76109 = 4131400000~4131500000

であることを意味している(私の持っている対数表ではこれ以上の精度の答えは出ない)。
 つまり対数表があれば足し算だけを使って掛け算のおおよその答えを出すことができる。対数表の出現以来、大きな数の計算をする必要がしばしば生じる天文学者や航海士は、頭脳を酷使する掛け算を手計算でする必要がなくなったのである。「対数は天文学者の寿命を二倍にした」と言われるゆえんである。

 計算機のある現代でも、非常に大きな桁数の数字を扱うには対数は必須である。対数にはもう一つ大事な公式
 
 log_c(a^n) =n log_c(a)

があるが、これにより常用対数が数の桁数を明示することがわかる。4 桁の数 1234 の常用対数は

 log_10(1234) = log_10(1.234×10^3) = log_10(1.234) + log_10(10^3)
= log_10(1.234) + 3 log_10(10) = 0.0913152 + 3 = 3.0913152

で、整数部分が3になる。5桁の数の常用対数の整数部分なら4、6桁の数のそれなら5、一般にn桁の数の常用対数の整数部分は n-1 となる。
 
 10日で 1 割の利子がつく金貸しを「トイチ」といって、特にあくどい高利貸しとされるが、ではトイチで 1 万円借りて 1000日、つまり 3 年近く経ったら返済すべき金額はいくらになるだろうか?
 1 割の利子がつくということは返済額が 1.1 倍されるということだから、まず10日後には 10000×1.1 = 11000(円)。20日後には 11000×1.1 = 12100(円)で、30日後には 12100×1.1 = 13310(円)。それなら1000日後には100回 1.1倍されるわけだから 10000×1.1^100 が求める返済額となる。大きな数になりそうだからその常用対数をとってみると

 log_10(10000×1.1^100) = log_10(10000) + log_10(1.1^100) = 4 + 100 log_10(1.1)
 = 4 + 100×0.0413927 = 8.13927.
 (log_10(1.1)の値は対数表を調べた。)

 これは整数部分が 8 だから求める返済額は 9 桁の数、つまり 1億円を超える。より正確には約 1億3780万円となる。トイチ恐るべしである。

 まあこれだって今ならコンピュータで計算できないことはない。ただ非常に速く値が増大するデータを調べる場合など、その対数をとって考えるのが分かりやすく、実際に対数はそうした場でよく使われている。また現代最高のコンピュータが仮に 1 万桁の数まで正確に計算できるとすれば、その限度を超える桁数の数を計算するにはどうしても対数に頼らざるをえないはずである。そうした計算をする必要がなかったとしても、人間が対数のような大きな数を扱うための原理を知っていなければ、コンピュータの不具合を修復したりその性能を向上させることはできないだろう。ものの原理を知らない人間は、しばしば応用が利かないものである。

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No.670
2013/12/29 (Sun) 00:22:24

 聞くところによると、動物園で売買される動物のうちもっとも高額なものはゴリラだそうで、一頭で一億円もするらしい。ライオンなどは驚くほど安価で、一頭で四十五万円ほどだそうだ。
 ゴリラ一匹で一億円。アフリカかどこかで捕まえて売り飛ばせば、こんな上手い商売はない。宝くじで一億当てるよりはよほど簡単そうだ。それはワシントン条約か何かに引っかかるのだろうが、裏の売買ルートだってあるはずだ。決めた。アフリカにゴリラを捕まえに行こう。

 アフリカ中央部の某国の空港から車で五時間。ゴリラの生息する密林地帯にやってきた私は、麻酔弾をこめた猟銃を肩にかけ、用心のため実弾の入ったピストルも腰にさしていた。
 草むらをかき分け、ジャングルの中を進んでいく。葉のたくさんついたツタが顔に絡みついてきて、なかなか取れなかった。ナイフでようやくそれを切り払うと、なんとすぐ目の前に大きなゴリラがいた! そしてほうきを持って襲ってくるではないか。私はあわててピストルを抜き、二発発射した。それは相手の腹に命中したようで、ゴリラは倒れてぐったりとなった。

 落ち着いてみると、私はなぜ麻酔弾を使わなかったのだろうと後悔した。ゴリラを傷つけ、死にでもしたら手に入るはずだった一億円がパアだ。
 そのとき、サイレンらしき音が遠くから聞こえてきた。このジャングルの真ん中で、なぜそんなものが聞こえてくるのだろう。サイレンの音はどんどん近づいてくる。直感的に、これはまずいことになったと思った。案外近くに警察があって、銃声を聞いて駆けつけてきたのかも知れない。私はすばやくその場を去り、ジャングルを出て、車に飛び乗った。
 都市部へ向けて車を走らせる。ラジオをつけると、こんなニュースが聞こえてきた。
「世界的な中華料理チェーン店『餃子の銀将』フードサービスの社長であるマホナホ・ニャタクマラさんが、会社の前を掃除していたとき、何者かに銃で撃たれたもようです。ニャタクマラさんは現在病院で手当てを受けていますが、安否が気遣われています」

 俺は剣を上段に構え、相手との間合いをつめようとしたが、奴め、なかなか隙がない。そのとき、相手のわらじの紐が切れた。ここぞとばかりに俺は斬りかかった。しかし相手は体を開いてそれをかわし、俺が喉もとを突こうとすると、そいつは見たこともないような刀さばきで俺の剣を叩き折った。急いで脇差を抜いたがそれも払われてしまい、そいつは俺の首をつかまえ、必死であらがったが俺は髷(まげ)を切り取られてしまった。
「ふははは! 藩の指南番といったところで、所詮は実戦を知らぬ道場剣法。戦乱の世であまたの修羅場をくぐってきたそれがしから見れば、貴公の経てきた修行は畳の上の水練のごときものに過ぎぬ。ではこれはみやげにもらっておくぞ!」
 そう言いながら奴は俺の髷をぶらぶらさせて去って行った。
 俺は脱力して幽霊のようになって帰宅した。剣をもって仕える武士ともあろうものが、決闘に破れたうえ髷まで取られたとあっては立つ瀬がない。かくなる上は腹かっさばいて潔く果てよう。俺はもろ肌を脱いで、短刀を勢いよく腹に突きたてて真一文字に切った。
「彦三郎! か、介錯を! 何をしておる、早く介錯を……」

 マホナホ・ニャタクマラ氏はそこで目が覚めた。さいきん日本映画の見過ぎで、こういう夢をよく見る。
 はて、ここはどこだろう。ニャタクマラ氏が首を持ち上げると、自分の毛むくじゃらの腹が、本当に真一文字に切り開かれているではないか!
「はい手術中ですからね、動かない動かない」
 メスを持った医師が言った。そしてピンセットで弾丸をつまみあげる。
 そうだ、俺は撃たれたんだった、とニャタクマラ氏は思った。相手は東洋人だったが、いったい誰の差し金だろう? 大会社の社長ともなれば、彼を恨んでいる人物がいてもおかしくはない。しかしこの俺を狙ったのが運の尽きだ、と彼は思った。政界、法曹界に幅広い人脈をもつこの俺だ、必ず犯人を捕まえ、首をはねてやる。

 私は空港の近くのホテルでいらいらしていた。台風の影響で空の便はのきなみ欠航。こんなところで足止めを食っていたら、警察に捕まるのも時間の問題だ。
 ドアの外が騒がしくなり、ノブががちゃがちゃ音を立てた。そら、おいでなすった。
 警官の制服を着たゴリラが二人、部屋に入ってきた。二人はしげしげと私の顔を見つめた。
「おい、なかなかいい玉じゃねえか」
「おいお前、ゲイの警官は好きか」
 すると私が返事するのを待たず、二匹のゴリラはズボンをおろし、パンツを脱いだ。
「やめてくれ!」という私を押さえつけ、ゴリラ警官たちは容赦なく私を凌辱した。
「へっへっへ」ゴリラたちは私を逮捕せずに帰って行った。
 異国の地でこんなはずかしめを受けるとは……よし、腹を切って死のう。
 私はキッチンにあった果物ナイフを腹に突きたてた。ゆっくり横に切り裂いていくと、やがて激痛が襲ってきた。しかし肛門の痛みのほうがひどいから、すぐ気にならなくなった。誰かに介錯をしてほしいところだが、贅沢は言うまい。床に血の海が広がっていく。

 そこで目が覚めた。ここはどこだっけ? そうか、私は裁判を受けていて……。
 裁判長の声が場内に響いていた。
「このように被告の行為は暴虐無残なもので、かつ計画的であり、本来なら斬首刑に処すところである。しかし、ちょうどモコモコ国王が百歳の誕生日を迎えられた折であるから、特に恩赦をほどこして鞭打ち百回の刑に減刑する」
 助かった。死刑になるぐらいなら、鞭打ち百回などむしろ楽しいぐらいだ。私は鼻歌を歌いながら、係官に連れられて裁判所をあとにした。
 翌日。何もない石畳の部屋に連れられてくると、そこに鞭を持ったゴリラの刑吏が二人いた。
「これから鞭打ちの刑をおこなうのだが」
 そういうなり二人のゴリラは鞭を投げ捨てズボンを脱ぎ始めた。

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執筆陣
HN:
快文書作成ユニット(仮)
自己紹介:
 各々が皆、此の侭座して野に埋もるるには余りに口惜しい、正に不世出の文芸家を自称しております次第。以下、【快文書館】(仮)が誇る精鋭を御紹介します。


 ❁ ntr 〜 またの名を中村震。小説、エッセイ、漢詩などを書きます。mixiでも活動。ふだん高校で数学を教えているため、数学や科学について書くこともあります。試験的にハヤカワ・ポケット・ブックSFのレビューを始めてみました。

 ❖ 呂仁為 Ⅱ 〜 昭和の想い出話や親しみやすい時代物、歴史小説などについて書きます。

 ✿ 流火-rjuka- ~ 主に漢詩の創作、訳詩などを行っています。架空言語による詩も今後作りたいと思っています。

 ☃ ちゅうごくさるなし
主に小説を書きます。気が向けば弟のカヲスな物語や、独り言呟きなことを書くかもしれません。

 ♘ ED-209ブログ引っ越しました。

 ☠ 杏仁ブルマ
セカイノハテから覗くモノ 



 我ら一同、只管に【快文書】を綴るのみ。お気に入りの本の頁をめくる感覚で、ゆるりとお楽しみ頂ければ僥倖に御座居ます。









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