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 『読んで面白い』『検索で来てもガッカリさせない』『おまけに見やすい』以上、三カ条を掲げた〜快文書〜創作プロフェッショナル共が、心底読み手を意識した娯楽文芸エンターテイメントを提供。映画評論から小説、漢詩、アートまでなんでもアリ。嘗てのカルチャー雑誌を彷彿とさせるカオスなひと時を、是非、御笑覧下さいませ。
No.
2017/12/13 (Wed) 08:27:20

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No.681
2015/08/10 (Mon) 04:58:44

学生時代、生物学専攻の友人が

 PV=一定

という式について話し出した。ここでVは気体の体積であり、Pはその気体にかかる圧力である。つまりこの式によれば、強い圧力をかければ気体は小さくなり、圧力が弱くなれば気体は大きく膨らむ。しごく当たり前の話のようだが、ちょっと待ってくれ。P=0 となることはないのか、と僕は聞いた。友人は一瞬何を聞かれているのか分からないようだったが、つまりこの式で P = 0 としてしまうと V = 無限大になってしまう。いくら宇宙が広いといっても無限大の体積の気体を受け入れるわけにはいくまい。地球上では気体に大気圧というものがのしかかっているから P > 0 である。しかし宇宙空間ではどうなるのか。そこにいた他の理学部の誰かが言うには、宇宙空間にも星間物質というごく微細な粒子が漂っていて、万有引力や何かで気体の粒子を引き留める、つまりごく小さな圧力がかかるから、気体の粒子は無限のかなたまで飛び去る心配はないのだと。

 そういう話を聴いていると、ああわれわれは地球上で大気圧に守られていて良かったという思いを新たにする。もし宇宙服も着ずにいきなり宇宙空間に放り出されたら、体の内部から外へ向かう圧力のため、体も頭もあっという間に破裂してしまうだろう。
 「2001年宇宙の旅」では、超高性能コンピュータ「ハル」によって制御された宇宙船が、外惑星系に探検に行くのだった。このコンピュータは感情を持っており、同種のコンピュータが世界でまだ一度も誤作動を起こしたことのないのを誇りに思っていた。しかしハルは小さなミスを犯してしまう。船内のある機器が何時間後かに故障すると予言したのだが、船員が調べてみるとその機器には何ら異常は見られなかった。小さなミスだが、微妙な航路の狂いも許されない宇宙飛行を、この完全とは言えないハルに任せておけるだろうか。一度ハルのスイッチを切って原因を究明したほうが良くはないか。船長と船員は、ハルに聞こえないよう注意しながら相談した。そのあと、船外の作業があり、二人はそれぞれ球形のロボットに乗って、宇宙空間に出た。しかしハルは二人の密談を盗み聞きしていた。自分の電源を切られるぐらいなら、この二人の船員を殺してしまおう。宇宙船はハルを頭脳とする体のようなもので、ハルは船のロボットアームをあやつり、一台のロボットについてはその命綱を切って宇宙のかなたに突き飛ばしてしまった。もう一台の船長の乗るロボットに対しては、宇宙船から締め出しをくらわせた。ハッチを閉じてロボットを入れなければ、船長はいずれ窒息して死ぬ。手動で開けられる小さな出入口があったが、そこにはロボットが入り込むことはできず、おまけに船長は宇宙服のヘルメットを持ってきていなかった。助かる道としては、まず宇宙船の出入り口を開け、ロボットのドアを開ければ、ロボット内の空気が勢いよく噴出するから、自分は船内に弾丸のように突っ込むだろう。そしてすぐに船の出入り口を閉じ、バルブをひねってそこに空気を充満させる。これは大きな賭けだ。一瞬ではあるが頭を真空の宇宙にさらすのだから。「ヘルメットがなければまず助からんよ」というハルの冷たい警告を無視して、船長はその作戦を試み、みごと成功する。そしてハルの電源を止めたのだった。
 ながながと映画の話をしてしまったが、要は頭が破裂するのは怖いということである。

 どこの大学でもそのようだが、工学部の建築学科というのはえらい人気らしい。母校の建築科の教授に聞いたが、みんな頭が破裂するほど勉強して入学してくるから、まず頭の中のゴミを取り除くことから始めなければならないのだという。
 頭脳の許容量の限界に挑戦するようなこういう受験勉強の話を聞くと、筒井康隆の短編「こぶ天才」を思い出す。巨大なカブトムシのような昆虫がいて、それを背中に張り付けるとそのカブトムシが第二の脳となって本人の知力を倍増させるのだ。しかし一度取り付けると昆虫の神経と脊髄が一体化するため、二度と取り外すことはできない。母親が嫌がる子供を連れて、その昆虫の斡旋業者のもとを訪れる。子供はせむしみたいになるから嫌だと泣き叫ぶが、母親は受験戦争に勝ち抜くため、何が何でも我が子に昆虫を装着させたい。斡旋業者も、そんなに嫌がってるなら無理につけることは無いでしょうととりなすが、母親は強硬で、一流大学に入って一流企業に入るのが良いに決まっているのだから、自分の判断に間違いはないと突っぱねる。
 ああ。誰もがそう思うだろうが、僕など特にこういった母親の硬直した考えには戦慄を覚える。人の幸せは、知力が高い人も低い人も、結局は等量ではなかろうか。

 前にも書いたことがあると思うが、この「こぶ天才」で背中に昆虫をしょった人間のように、脳が二つあるいは三つある動物は珍しくない。いや脳というと語弊があるが、神経が特に密に集まっている箇所が、あたかも第二第三の脳のような役割を果たすことがあるのだ。人間の脊髄も、緊急時には脳と同じように体に指令を与える。つまり熱いものに手が触れたとき慌てて手をひっこめるが、これは一刻も早く手を危険から遠ざけるため、脊髄が手を引っ込めるよう命令しているのだ。ニワトリは首をはねてもしばらく羽ばたき続けるが、これは頭部以外に脳の代わりとなる大きな神経叢があるためだと思われる。ミミズを切ったときそれぞれ独立に生き続けるのも同じ理屈だろう。だいたいこういう首を切っても生きているような動物はおおむね本来の脳が小さいため、それを補うため別の個所に第二第三の脳を持っているように思われる。

 そこで思い出されるのが映画「八つ墓村」で落ち武者を演じた田中邦衛である。八つ墓村ではその昔、八人の落ち武者が命からがら逃げてきたとき、村人たちは最初親切にもかくまってやると申し出、落ち武者たちを歓待したが、それは村人たちの奸計だった。つまり落ち武者たちの身につけている立派な武具が欲しくて、親切なふりをして近づきになり、油断したところをなぶり殺しにしたのだった。武士たちの無念はすさまじく、田中邦衛は助からないとみるや刀を後ろから自分の首に当てて、そのまま斬りおとしてしまうのである。こんなことは人間には無理ではないかと疑問に思うシーンだ。首を後ろから切るのだから、頸椎の重要な神経をまず切ることになるが、そのあとも田中邦衛は刀を押し出し、のど元まで切るから頭が落ちるのである。これは思うに、田中邦衛には頭部の脳髄以外に大きな神経叢が首の下にあるということだろう。そう考えてくると、なるほど田中邦衛の脳は標準よりだいぶ小さそうである。そして第二の脳が体の動きを活発ならしめるがために「食べる前に、飲む!」と叫んでの、あの驚くほどはじけたダンスが可能になるのだろう。これも古いCMではあるが。

 光は波であるのか粒子であるのかという問題は、二十世紀の量子力学によって解決を見るまで長いあいだ議論の的だった。ある物理学者が二つの光線が重なり合ったとき「干渉縞(かんしょうじま)」が出来ることを見出し、これは波に独特の現象であるので「光は波である」という説が有力となった。しかしアインシュタインが光が粒子としてふるまうことを証拠づける実験を行い、結論としては、光は時には波としてふるまい、時には粒子としてふるまう、ということになった。
 長いあいだ光が波であるという説が有力だったせいもあり、宇宙はエーテルという微細な粒子によって満たされていると考えられてきた。波というのは、何か波を伝える物質がなければ発生しえないと考えられていたからである。重力もエーテルの存在を支持していた。宇宙の星どうしは万有引力によって引き合うが、しかし昔にあっては力も完全な真空中を伝わるはずはないと考えられたからである。
 しかし今日ではエーテルなどというものは存在しないと信じられている。これは相対性理論の「光速度不変の原理」に関係している。地球上のA地点からB地点に向かう光線があったとき、地球自体が宇宙に充満するエーテルに対して動いており、エーテルが光を伝える媒質なのだから、そのとき地球がエーテルに対しどう動いているかによって、つまり時期によってAからBへ光が伝わる時間は異なるはずである。しかし光線の速さはいつも同じだった。これはエーテルが存在しない有力な証拠である。
 
 さて最近の若い人は統一教会を知らない人が増えてきているようで、教祖文鮮明が死んでますますこの傾向は強まっていくだろう。さて僕は学生時代、統一教会をひやかしに覗いていた時期があり、何人かの信者と仲良くなった。彼らによると、相対性理論は間違いということになるらしい。なぜなら、人間の霊魂はエーテルの世界にいると彼らは考えており、死後も霊魂となって永遠に生き続けるというのが彼らにとって極めて重要な信仰である以上、エーテルは存在しなければならないのである。おそらく統一教会と関係の深い工学者の深野一幸は、この相対性理論は間違いであるという説をTVの討論番組でぼそぼそと語った。それを聞いた物理学者の大槻義彦は驚いて「あなたそれが本当ならノーベル賞百個分に値しますよ」と言った。
 別にノーベル賞百個分の意外な考えのほうが真実でも構わないが、統一教会の人たちは恐ろしく世間に逆行した考えをしばしば開陳したものである。「今から十年後か二十年後には韓国語が世界共通語になるでしょう」とある女性信者が言ったのは、かれこれ二十年前のことである。

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No.680
2015/01/06 (Tue) 03:05:58

前回までのあらすじ 

 阪急電車の車掌兼清掃員だったこの物語の主人公は、致死量をはるかに上回る放射性廃棄物を浴びて逆に不死身の体を持つモンスターになった。大男でほぼ真っ黒な顔の中央付近に一つ目が光っているという風貌で、異常な怪力と非常な正義感の持ち主であるこのモンスターは、次々と悪人を懲らしめ、更生の余地がないと見るや容赦なく殺していった。ときあたかも凶悪事件の犯人も加害者の人権が擁護され軽い罰ですんでしまう風潮で、モンスターによる「悪人即残虐な死刑」という行動は世論の歓迎を受け、またたく間に時代のヒーローとなった。
 モンスターは正義の道を貫きつつ、その時々で居場所と身分を変え、あるときは陸上選手、あるときは未開の王国の国王、あるときは精神病院の患者であった。またその過程で知り合った松平平平(まつだいら・へっぺい)という麻生太郎そっくりの風貌を持つ男とは長い付き合いを持つが、終生の友なのか、宿敵なのか、いまだにはっきりしない。
 さてIR鉄道からの斡旋で中学生野球チーム「バイアンズ」の監督となったモンスターは、コーチの岸川に調子を合わせるうち、死に至る体罰も辞さない猛烈なしごきをメンバーに課すようになった。しかしバイアンズの実体とその激しいしごきの目的は、野球とは別のところにあった。IR鉄道が宇宙探検の分野にも事業を拡大していたことは周知の事実だったが、あるとき土星の衛星タイタンを探検して帰ってきた宇宙船に危険なエイリアン(映画「エイリアン」のそれと同一視してもらって構わない)が忍び込んでおり、そのエイリアンのタイタンにおける生態系の調査こそが、バイアンズの真の活動目的だったのである。猛烈なしごきが、危険極まりないエイリアンと渡り合うための訓練であったことは言うまでもない。
 さてこの真実を明かされたモンスターとバイアンズのメンバーは、宇宙船ドリムーン号に乗って敢然とタイタンへ向かった(バイアンズのメンバーは、しごきとエイリアンとの闘争の過程ですでに八人にまで減っており、この宇宙飛行の間にも減って六人になった)。しかしいざタイタンに到着してエイリアン調査活動が始まると、あたりにごろごろしているダイヤモンドの石にバイアンズの少年たちは目がくらみ、あくまで調査活動を続けようとするモンスターをダイヤの大きな塊で殴りつけて昏倒させ、大量のダイヤを回収してさっさと地球に帰ってしまった。タイタンに取り残されたモンスターは途方に暮れたが、なぜかそこにいた松平平平と、その妹・竹子(たけこ、安倍晋三とそっくりな風貌)と出会い、地球への帰還と、バイアンズのメンバー六人に対する復讐に一縷の望みをつないだのだった。

生き残ったバイアンズのメンバー

獄目鬼(ごくめき)、火戸羅(ひどら)、鹿羽根(しかばね)、魔具虎(まぐどらー)、牟残(むざん)、兀奴(ごっど)


毒々復讐鬼の帰還

 土星の衛星タイタンに取り残されたモンスターは、なんとか地球に帰還してバイアンズの六人に復讐したいと思った。しかしドリムーン号は少年六人が乗って地球へ帰ってしまっていた。
「おい松平、地球に帰る手段はないか?」
「あるよ」と麻生太郎そっくりの松平平平は気軽に答えた。「妹はエンジニアでね。ここを拠点に宇宙探検しているんだが、すぐにでも飛べるロケットが二台ある。そうだったな、竹子?」
 おかっぱ頭で安倍総理そっくりの松平竹子が「そう、微調整すれば三台あることになります、お兄さん」と答えると
「よし、モンスター、竹子のドックへ行こう」
 三人は松平兄妹の住居の裏にあるドックの扉をあけた。巨大なドックだった。ほぼ完成型をなしたロケットが数台建っており、修理中と思われる宇宙船が他にも何台もあった。
「壮観だな! 竹子さん、あんた何者なんだ?」
「私はただの女です。宇宙がちょっと好きなだけのただの女」無表情に安倍晋三そっくりの顔と声で言う赤いワンピース姿の竹子は、男にしか見えなかったが、松平が妹というからにはやはり女なのだろう。不気味な妹であった。
「モンスター、これに乗れよ」松平平平は、ダークグリーンのずんぐりした大きな宇宙船を指さした。「な、これがいいよな、竹子」
「そうね、これなら型は古いけどしけには強いし」
「宇宙にしけなんてあるのか?」
「宇宙探検者は船体を傷つける小惑星群や磁気嵐をしけというんだよ」と松平。
「そうか。ありがとう、竹子さん」
「とんでもないです。兄がいつもお世話になってますから。でもただ一つお願いがあります、出発する前に私を抱いてください」
「こいつをぶち殺してもいいか?」モンスターが松平に言うと
「俺があとで折檻しておくからどうか許してくれ。さてと、この船の名前はチャシー号だ」
 松平に操縦を教わり、整備も終わって、モンスターを乗せたチャシー号はタイタンを飛び立ち、一路地球を目指した。

 高層ビルの最上階にある見晴らしのいい大きな部屋。三十代半ばのスマートな男がシガーをくゆらせていると、豪華な黒檀の机の上でインターフォンが鳴った。
「なんだ?」男がスイッチを入れて言った。
「タイタン監視係です。正体不明の宇宙船が地球に接近していますが、タイタン方面からの可能性があります」
 男は眉を険しくして、シガーをもみ消した。スイッチを入れ替え、別な部署に事情を説明しつつ
「第三警戒態勢を取れ。警察と密に連絡をとって、やつが乗っていることがはっきりしたらマニュアル207号の作戦を取るんだ」
 いつものように取り越し苦労で、やつが乗っているのでなければいいが。いやしかし、タイタンへの航路が今の状態であってみれば、やつの生還はわが社の命運を左右するかも知れない。またやつへの復讐の絶好の機会が訪れたことにもなる。
 最上階の男は、細身の体にぴったりと仕立てられた上等のスーツからシガーケースを取り出し、部屋を出ていった。

 大気圏を突入すると摩擦音と冷却機の轟音とがモンスターを襲ったが、しばらくすると視界には青い空が広がっていた。高空特有の、薄いベール状の雲がたなびいている。故郷に帰ってきたという安堵を感じたのもつかの間、円盤状の物体が二個三個と飛び回っているのがコクピットから見えた。その物体はそれぞれ、ちかちかと白い光を信号のように点滅させ、しばらくチャシー号にまとわりついていたが、やがて離れていった。未確認飛行物体、すなわちUFOと呼ばれるものによく似ていたが、目を凝らすと、同様の物体がそこかしこを飛行している。
 日本を目指してチャシー号は高度を下げていく。東京の上空に来て、地上の風景が見分けられるようになると、モンスターは違和感をもった。これは、見覚えのある東京とはかなり違う。ビルの高層化がより進んでいることは驚くに当たらないが、ビル同士が高空低空いずれにおいてもパイプで連結され、先ほどから目にしていた円盤状の小さな乗り物があちこちのビルの屋上に発着していた。ネオンサインも大規模で、企業名らしきものが紅く青く緑にと大きく光りあるいは点滅していたが、企業名だとしてもどれも見覚えのないものだった。

 多摩川の周辺に広い空地が見え、モンスターはそこに着陸することにした。
 無事着陸を終え、ハッチを開いて久しぶりに地球の大地を踏みしめようとした瞬間、いくつかのサイレン音が聞こえてきた。モンスターが河川敷の砂利道を歩いてあたりをゆっくり眺める間もなく、パトカーと思しき乗り物が三台近づいてきて停車した。デザインはまさしく日本のパトカーだったが、なんとどれにもタイヤがない。これはどういう仕組みで動いているのだろうなどとぼんやり考えていると、数人の警官が降りてきて言った。
「A-19管区の警察の者だ。君の名前は? それとこの船の宇宙船籍番号は?」
「俺は一つ目のモンスターで通っている。日本でこの俺を知らない者はいないだろう。だが、宇宙船籍番号とは何だ?」
 警官はタブレット型端末を取り出した。この黒い一つ目の大男を検索したらしい。
「モンスター。性別は男。本名は不明、出身は関西と思われる。二十一年前に宇宙船ドリムーン号で未成年の少年八名とともに惑星タイタンに向かい、以後消息不明」
「ちょっと待て。二十一年前といったな? 俺が地球を飛び立ったのはせいぜい数か月前のはずだが」
 しかし警官はそれが聞こえなかったかのように「このモンスターなる男は未成年者略取、および少なくとも347件の殺人を犯している」
 それを聞くと警官たちはさっと拳銃をモンスターのほうに向けた。
「いや、俺が正義の使者であることは誰もが知っているはずだ。悪人を懲らしめる過程で確かにそれぐらいの人間は殺しているかも知れない。だが聞いてくれ」
「これが悪人を懲らしめている光景か?」警官の一人はタブレットの画面をモンスターに向けた。そこにはモンスター自身が映っており、学生服を着た十代前半ぐらいの少年の腹から腸をずるずる引きずり出しながら「まだ観念しないか! 親が金を持ってこなければ腎臓を両方握りつぶすぞ!」
 モンスターは慌てて「それはその中学生がたまたま麻薬売買の総元締めでだな、しかたがなかったんだ、だが親に金を持ってこさせろなんて言うはずないんだが」
「とにかく君の身柄はすぐに拘束する。一級危険人物につきパラライザーで身体の自由を剥奪する」
 すると相手の拳銃から白いビームが発射され、モンスターは急速に意識を失っていった。

 モンスターは天井全体から放射される白い光に目をしばたかせながら、頭を振り、上体を起こそうとしたが、何かが手足に絡みついていて、動くことが出来なかった。よく見ると天井の一角が四角く切り取られ、そこから茶色い制服の警備員らしき男が様子をうかがっていた。
「社長、モンスターが……」と、かすかに頭上から聞こえてくる。ここは警察か? 社長とは誰だ? 朦朧とした意識のままで形にならない思考をいろいろ巡らせていると、間もなく先ほどの天井の穴から別な男が顔を出した。色が白く、細身でスーツを着ているが、まだ若い。
「モンスター、久しぶりだな。俺を覚えているか? バイアンズで野球したことぐらい覚えてるだろ?」
 モンスターがまだ訳のわからない様子をしていると、濃紺色のスーツを着た男は傍らの誰かに言った。「意識をはっきりさせてやれ」
 すると白衣の男と、銃を持った二人の警備服の男が入ってきた。モンスターは上膊(じょうはく)に薬液が注入されるのを感じた……モンスターの一つ目の焦点が上から見下ろしているスーツの男の目と合った。
「よし、どうだ、俺の顔を覚えているか?」男は金縁の眼鏡を外した。「バイアンズでショートを守っていたんだよ」
「む、牟残……」
「そうそう」男は満足げに言った。しかしどこか不安そうな影がその顔にはあった。
「どこだここは? 警察にしては様子が変だ」
「そう、ここは警察ではない。私の会社だ。正確には牟残産業、本社ビルの九十七階だ。私は警察と仲良しでね。とくに私と親交の深いモンスターさんにはたとえ拘留中の犯罪者であっても、ここにおいで願うことが出来るというわけだ」
 牟残はシガーケースから一本取り出して火をつけ、うまそうに煙を吹いた。
「そう、二十年前、俺たちバイアンズのメンバーは散々な目にあったねぇ。お前が監督で岸川ってコーチがいて、しごきに耐えられない奴は容赦なくぶち殺された。忘れたとは言わさねえぞ」
「それより教えてくれ。俺の記憶では、ドリムーン号でタイタンに飛び立ったのはつい数か月前なんだ。それが帰ってきてみれば二十一年経っているという。これはどういうことだ?」
「さあね」牟残はシガーの灰をわざとモンスターの顔に落とした。「まだ科学で明らかにはされてないようだが、火星と木星の間でときどきそういうことが起こるらしいね。ほら、小惑星帯を突っ切るときにやたらと方向転換するだろう? あれがきっかけになって船が時空の歪みにはまりこむことがあるって聞いたことがあるね。まあそんなことはどうだっていい」
 牟残は傍らの男に、モンスターをもっと近づけるように言った。するとモンスターが寝かされているベッドだけが音もなく持ち上がり、牟残社長のすぐ目の前まで来た。
「俺はお前が憎い。今すぐぶち殺してやりたい気持ちもやまやまだが――私の会社のおこなっているある事業の行く末が、あるいは君と深く関わっているかも知れないんでね。隠しても仕方がないから言ってしまうが、わが社が手掛けているダイヤモンド産業の多くの部分が、タイタンにある鉱山に負っていてね。だからタイタン・地球間の航路の安全はわが社にとって、非常に大切なのだが、最近その航路の安全が脅かされている。タイタンの軌道に乗る地球の船がかたっぱしから撃墜されている。この件についてモンスター君は何か知ってはいないかね?」
 牟残はつとめて平静を保って喋っていたが、こめかみから汗が浮き出ていた。
 モンスターは言った。
「知らんね。本当に知らん。タイタンで私の知っている地球人は松平平平とその妹ぐらいで、そいつらなら知ってるかも知れん。それしか言えないね。そして言っておくが、俺もお前を恨んでいる。俺をタイタンに置き去りにして地球に帰って行った、当時中学生だったバイアンズの六人を、そうお前を含む六人を、心の底から恨んでいる。絶対に復讐してやる。絶対にだ」
 牟残は顔面のそこかしこをぴくぴくさせながら聞いていた。こいつはまだ俺を恐れている、とモンスターは感じた。モンスターがチームメイトの顔面を握り潰し目や鼻と一緒に脳味噌をつかみ出すのを牟残は見ていた。モンスターが仲間の胸に腕を突っ込み心臓をつかみ出したとき、牟残はその熱い血しぶきを浴びていた。二十年以上前のこととはいえ、そう簡単に忘れられるものではない。
「ベッドを下げろ」牟残が命じると、また音もなくモンスターの寝台が下がっていった。モンスターが牟残の顔に唾を吐きかけると、若い社長は「こいつ」と言いかけてモンスターにつかみかかったが、左右から警備員に止められた。
 寝台がもとの位置まで下がると、上の階から社長が覗き込んでいた穴が消えた。
「面白いものを見せてやろう、モンスター君」
 天井からガチンという音が聞こえた。
「よく見てごらん。上から針がたくさん突き出ているだろう? モンスター君はもともと鉄道会社で清掃員をやっていたのだったね。モップは正義の味方モンスターのシンボルだった。そこにモップがあるから、君のいる階を毎日くまなく掃除してもらおう。いちにち掃除を怠るとその天井は一メートルずつ下がる仕組みになっている。タイタンの件について何か言う気になったらいつでもそう言ってくれたまえ。誰かは聞いていると思うから。では自由にしてやろう」
 するとモンスターを縛りつけていた見えない戒めが解けて、自由に動けるようになった。と同時に白い照明が消えて、ビルの外から入ってくる光だけがあたりを照らしていた。牟残の言った通り、モップが一本転がっていた。
 牟残は抜け目のない奴だから、ここから抜け出ようという試みは無駄だろう。
 モンスターは外界とそこを仕切っている冷たい硬質ガラスに触れて、まだ見慣れぬ未来世界を眺めやった。

(つづく)

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No.679
2014/09/19 (Fri) 03:11:37

働きすぎがたたって抑鬱状態になり、会社を休んで静養しだしてから一週間ほどたったころ、文雄の実家に姉とその二人の子供が遊びに来た。年に一回、夏休みを利用して遠方から来るこの三人を、文雄は歓迎し、彼らが楽しくこの地で過ごせるよう骨を折らなければならない立場にあった。このことは、文雄の両親はさほどうるさく言わなかったが、彼のもう一人の姉が彼の言動を厳しく監視した。そもそも個人主義的傾向の強い文雄は、夏に押しかけてくる次姉と甥たちを昔からうるさがった。彼らが遊びに行くところには付き合わねばならなかったし、幼い子供たちは子供らしくわがままにふるまい、文雄は大人としてそのわがままを通してやらなければならなかったから。だから以前の彼は次姉たちを露骨に迷惑そうな顔で出迎えたこともあった。それを長姉は厳しく叱った。お前には家族に対する愛情がないのかと。文雄は長姉を怒らせないために、次姉たちを快く歓待する術(すべ)を、いや実はそのふりをすることを身につけなければならなかった。
 大学を卒業して就職するころになると、彼は次姉たちに迷惑なそぶりを見せることはあまりなくなった。しかし気まぐれな甥たちが急にどこそこに遊びに行きたいなどと言いだしたりしたおりに、虚を突かれて彼らに付き合って出てくれと頼まれると、文雄の仮面が一瞬はがれ、不快なそぶりを隠せないことがあった。長姉は決してそれを見逃さず、やはり彼を厳しく叱責した。長姉に言わせれば、いくらふだん親切な顔をしていても、彼の本性は醜い個人主義の塊(かたまり)であり、けっきょく文雄は人間のくずということになるのである。
 
 だから雨が降ってきて、傘を持って次姉たちを駅まで迎えに行くよう長姉に言われたとき、彼は慎重に快く引き受けるふりをし、また自分がそれを面倒がっている気持ちが表情に出てはいなかったかと後から気をもんだ。
 車は持っていないから、歩いて十五分の駅まで、強い雨のなか歩いて行った。
 しかし駅につくと次姉から携帯電話で連絡があり、予定より三十分ほど遅れると言ってきた。しかたなく文雄は、ステンレスの大きな柱にもたれて、ぼんやりと改札を出入りする人々を眺めた。家族を遊びに連れて行って帰ってきたところらしい中年の男を見ると「家族サービス」という言葉がひとりでに頭に浮かんできた。独身の文雄は、この種の男を見るといつも何か納得のできないものを感じた。それは違和感と言っても良かった。ふだんは朝から晩まで働き、休日は家族サービスに励むこうした男の生活には、自分の楽しみというものがあるのだろうか? きっと趣味に没頭したり自らの好奇心を満足させるような時間も、金もないに違いない。文雄は就職して学生時代と比べると自分の時間はずいぶんと減ったが、それでも暇さえあれば読書したり音楽を聴いて気持ちの充実をはかるのに余念がなかった。学生時代はもっと熱心に本を読み、専攻分野であった数学の研究に励んだ。しかしそれが文雄の心を豊かにする一方で、他人のために時間を割いて親切を施すことを我知らず避けてしまうという、個人主義的な心の傾向を生むことになった。

 研究者になりたかったが経済的な理由でしぶしぶ就職した文雄は、まだ仕事の楽しみを知らなかったし、また我が子に対して自ずから湧き出る愛情などというものにも無縁だったから、駅を行き来する家族連れの男の心情をとらえきることは不可能だった。自らの好まない境遇に自分の一生をささげきってしまう哀れな男としか映らなかった。しかしこの夏の期間、次姉らのために好まざる事柄に時間を割かねばならない今の我が身を、そうした男に重ね合わせてもみた。すると、他人のために時間を割き苦労を厭わない人間であれとつねづね語る長姉の言葉が文雄の心にずしんと響いた。長姉によれば、それができる人間が幸せに過ごしていけるのであり、それができていない文雄は「まるでみんながパラシュートを背負って飛行機から飛び降りているのに、一人だけ何もつけないで落ちていく人間のよう」なのだという。
 そんなことをつらつらと思い出したり考えていた文雄がふと時計を見ると、次姉から電話があってからすでに二十五分が経過していた。そろそろだなと思い改札の向こうに目を凝らしていると、また携帯電話が鳴った。次姉からだった。
「ごめん、電車が人身事故で止まっていて、あとどれぐらいでそっちにつけるか分からないの」
「人身事故ったって三十分もあれば片付くだろう。やっぱりここで待ってるよ」
 そういう事情なら、次姉たちを連れずにいったん帰宅しても長姉は何も言わないだろうが、文雄はここで次姉に対して余計に親切に接して、長姉に対して得点を稼いでおきたいという思いがあった。

 もちろん文雄もいい年をした大人であり、何でもかでも長姉に従ったりおもねったり、その説教を全部が全部、真に受けて悩んでいたわけではなかった。ただ彼は駅の改札前で、二度も次姉から帰る時間を延期され、そこを行きかう人々を見て自分の親切心の足らなさに思いをはせたりしているうち、長姉の言うように本心から次姉に対し親切にする気持ち、自己を犠牲にしても人に対して良くしたいという思いが自分に備わらないうちは、次姉は決して帰ってこないのではないかという妙な妄想が湧き起ってきたのである。

 半年がたった。まだ次姉は帰ってこない。文雄は相変わらず駅の改札前で待っている。
 彼は自分が根っからの親切な人間でないことが、次姉の帰ってこない原因だと固く信じるようになっていた。そしてそのころには、文雄はなれるものならそういう人間に是非なりたいと思うようになっていた。そこで待っていた長い時間が、宿命的に彼にそうした願いを抱かせたのである。
 半年の間に、大きな市立病院が駅前に移転してきた。文雄は思い切ってその病院の脳外科をたずねた。
「私は親切な人間の仮面をかぶっていますが、本心から親切な人間ではありません。どうか私の脳を切り開いて、根っからの親切な人間に改造してください。心の底から人に優しくしたいと思える人間にしてください。そして人に良くするためには自分を犠牲にしても一向に構わない、そんな人間にしてください」
 すると中年の脳外科の医師は、真剣な目を文雄に向けて言った。
「それはできないことはない。しかしあちこちの脳神経をつなぎかえる関係上、治療のあと脳がびっくりして相当な苦痛が伴う。それに金もかかるぞ」

 文雄は貯金をはたいてその手術を受けた。医師の忠告通り、術後かれの頭の中枢から放射状に激痛が広がる、という現象が一時間おきに起きた。それが一週間ほど続いてようやく止むと、今度は彼は人間を見たり声を聴くたびに目から大量の涙があとからあとから流れ出す、という症状に見舞われた。いったんそれが始まると二時間は止まらなかった。だから彼の病室にはほとんど誰も入れない状態になり、それは約一か月続いた。その後もあらゆる光が黒く見えたり、ありもしないシャボン玉が大量に押し寄せてくるといった幻覚に襲われたが、術後約三か月で正常に戻り、無事退院することが出来た。

 また駅の改札前で次姉を待つことにした文雄は、退院したその日に、バスにはねられそうになっている少年を目撃した。彼はその瞬間バスの前に飛んでいき、自分が轢かれてしまうのも恐れずその少年を助けた。それは本心からの親切に他ならなかった。その救助劇を目にした人々はいちように文雄を讃えた。彼はその後も熱中症で倒れたお年寄りを助けたり、ひったくりを捕まえたり、また駅にたむろする浮浪者を排除する条例が出ると、その浮浪者たちにおしみなく金を与えてまともな生活に戻る足がかりとしてやった。
 文雄の善行の噂が広まり、彼の周りにはいつしか人が集まるようになった。文雄はその人たちに、自己を犠牲にして人に親切をほどこすこと、我欲のためにその親切心がくじかれてはならないことを説いた。彼の語ることは口先だけでなく、つねに行動が伴っていたから、話を聞いた人々はみな感化された。文雄はさながら小さな宗教の教祖のようになった。そして彼に感化された人々の中にさるレストランチェーンの社長がおり、文雄の理想を実現する足しになればと巨額の寄付をした。
 文雄は信者たちを根っからの善人にするため、その金を使って彼らに例の脳外科の手術を受けさせた。信者たちは生まれ変わったように真の善人になった。

 文雄はかつて改札前で見た、夏の家族サービスに励む男たちのことをよく思い出した。善人にはなったがいまだ家族を持ったことのない文雄は、親になるということについて不完全なイメージしか持つことが出来なかったが、彼なりに次のようなことを考えた。今の世の中に不足しているのは、あのように休日は家族サービスに励み、ふだんは家族のために働き、家族のために自分の一生を捧げる人々ではなかろうか。そして多くの若者がそれを嫌がるがゆえに結婚する人間が減り、それが少子化につながっているのではなかろうか。では今の自分の信者で若い者たちは、いずれ結婚して一生を家族に捧げようと考えているだろうか? 信者に問うてみると、答えは今どきの若者たちと同じくノーであった。それはいま目の前で困っている人なら一身をなげうって助けはするが、じっさい自分の長い一生を考えたとき、自分のしたいことの多くを放棄する覚悟までは持てない、というのだった。
 文雄はどうすればよいのか考えた。いまの便利な世の中、人間は多種多様な趣味を持つことができ、いくらでも知識欲を満たすことができる。それが若者が自分の時間を大切にする大きな要因だ。しかし世の中を昔の不便な状態に戻すことはとうてい出来ない。では人間の、趣味や知識を持ちたいという欲のほうを削ればよいのではないか。かつて外科的手術で善人になった文雄は、この問題に対しても外科的手術で応じようと思った。彼はかつての主治医にこの趣旨を説明した上で言った。
「趣味にもいろいろあるだろうが、すべては要するに五感の喜びに還元されるだろう。例えば音楽は聴覚の喜びで、いろいろな音楽に触れることで聴覚が発達していき、それにともなって趣味も深まっていくが、困るのは聴覚を発達させる材料が無際限に存在することだ。だからある程度以上は聴覚が発達しないですむような歯止めを脳内に設けられないだろうか。そして知識欲もある程度以上は持つことができないように、知能の発達に歯止めが設けられればいいと思う。先生、できますか?」
 脳外科医は天を仰いでしばし考えた。
「脳神経の発達の阻害……たしかシナプスの生成を抑制する酵素についての論文をどこかで見たぞ……それは理論的には確かにできる。試してみないと分からないが。しかし金はかかるぞ」

 かくして文雄の信者たちは片っ端からこの医師の手術を受けた。その信者がどんな趣味を持っているかは、脳髄を開いてどの神経がよく発達しているかを見れば分かる。その神経の過剰に発達している部分を切除することで、その人物はその趣味に関心を持たなくなり、多数枝分かれしているその脳神経の幹に当たる部分に、自己増殖性を持ったシナプス抑制酵素発生細胞を移植する。人間の五感、知識欲をつかさどる脳神経のすべてに同じことを行えば、その人間のあらゆる関心は、趣味といえる段階に発達する前にきれいに消えてしまうのだ。そうなるとその人物は、大昔の人間のように、食欲・性欲・眠欲が他の欲求よりはるかにまさるようになり、食べることと眠ることをのぞけば、結婚して子孫を残すこと以外にはほとんど関心が無くなる。これぞ最も有効な少子化対策だ! そしてこれから増えて行く子供は、すべて脳手術によって根っからの善人になる。善人だけの世の中! そこには偽善もない!

 三年後。文雄の次姉と甥たちがひょっくり駅に現れた。
 彼は次姉の姿を久しぶりに見ると、長姉とも長いこと会っていないのを思い出した。長姉はいまの自分を見てどう思うだろうか。褒めてくれるだろうか。きっと褒めてくれるに違いない、真の善人なのだから。
 二人の甥はずいぶん大きくなっていた。上の子は来年大学受験だという。
「文雄兄ちゃん、久しぶり!」
「ああ、元気そうだね。俊介はもう大学受験か」
「うん。物理学科を受けるつもり。いまの理論物理学は凄いよ。宇宙は実は九次元空間だということが分かってるんだからね。僕は身の回りに見える三次元空間の他にある六次元の空間について調べてみたい。それから将来はアメリカに留学するんだ」
 文雄は危険なものを見るような厳しい目で甥を見つめた。
「俊介、その前に病院に行ったほうがいいな。お前にとって決して悪いようにはならない。何しろ有名な脳外科の先生だからね」
 文雄は二人の甥の頭に手を置いた。
「まあ固い話はあとにして、とりあえず家に行こうか。俺はこの駅にいてもう四年も帰ってないもんなぁ」

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執筆陣
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快文書作成ユニット(仮)
自己紹介:
 各々が皆、此の侭座して野に埋もるるには余りに口惜しい、正に不世出の文芸家を自称しております次第。以下、【快文書館】(仮)が誇る精鋭を御紹介します。


 ❁ ntr 〜 またの名を中村震。小説、エッセイ、漢詩などを書きます。mixiでも活動。ふだん高校で数学を教えているため、数学や科学について書くこともあります。試験的にハヤカワ・ポケット・ブックSFのレビューを始めてみました。

 ❖ 呂仁為 Ⅱ 〜 昭和の想い出話や親しみやすい時代物、歴史小説などについて書きます。

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 ☃ ちゅうごくさるなし
主に小説を書きます。気が向けば弟のカヲスな物語や、独り言呟きなことを書くかもしれません。

 ♘ ED-209 〜 PNの由来は映画『ロボコップ』に登場するオムニ社の敵役ロボットからです。今まで書き溜めてあった自身の体験談やコラムを発表するには良い機会と思い寄稿させて頂きました。是非、御読みになってみてください。そして何より皆さんに楽しんで貰えれば嬉しいです。

 ☠ 杏仁ブルマ
セカイノハテから覗くモノ 



 我ら一同、只管に【快文書】を綴るのみ。お気に入りの本の頁をめくる感覚で、ゆるりとお楽しみ頂ければ僥倖に御座居ます。









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