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 『読んで面白い』『検索で来てもガッカリさせない』『おまけに見やすい』以上、三カ条を掲げた〜快文書〜創作プロフェッショナル共が、心底読み手を意識した娯楽文芸エンターテイメントを提供。映画評論から小説、漢詩、アートまでなんでもアリ。嘗てのカルチャー雑誌を彷彿とさせるカオスなひと時を、是非、御笑覧下さいませ。
No.
2017/08/20 (Sun) 16:46:46

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No.49
2009/10/16 (Fri) 01:13:18

考古学者草壁が、殺気(さつき)と冥(めい)のふたりの娘を連れて獄門島に到着したのは、夕刻に近いころであった。

これから住むことになる、じめじめした古い屋敷を見て冥は言った。
「お父ちゃん、この辺にイボガエルいるかな」
「ああ、いっぱいいるとも。冥の好物ならなんだっているぞ」
「青い目の男の子も? 今から楽しみ~イヒヒヒ」
「こら冥、がっつかないの!」殺気が言った。
草壁は屋敷の雨戸をいきおいよく開けた。二、三十羽のコウモリが、バタバタと羽音もけたたましく飛び出してきた。
「ウシシ、ウシシ、うまそうなコウモリ~!」赤黒い目玉をぐりぐり回し、よだれをたらしながら冥が叫んだ。
「さーて、二階へ昇る階段はどこにあるでしょーか!」草壁がニヤニヤしながら言った。
「ウワーイ」殺気と冥はどたどたと屋敷に上がりこんだ。
「ここかな? ここかな? ここだー!」
「なんだか真っ暗ねー。ウヒヒ、なめくじいるかなー」
ザワザワという音とともに、黒い小さな球体がたくさん見え隠れした。
「まっくろくろすけ出ておいで、出ないと内臓ほじくるぞお!」
二人の娘は包丁を持ってくわっと目を見開き、猛然と階段をかけ上った。
「なんにもいない」
殺気が窓を開けた。光がサッと差し込む。
「ぎゃあ、お姉ちゃん、目がつぶれるぅ」冥がのたうちまわった。
「お父さん、ここお化け屋敷みたい!」殺気が階下にいる父親に言った。
「なーんだ、またお化け屋敷か! これはこれは、研究が進むぞぉ」

鬼婆が来た。
「手伝いにきたぞな、もし」
「これはこれは、すみません」と草壁。
「おやおやおや」殺気と冥を見た鬼婆はニンマリとして言った。
「可愛い子たちだこと……そら、おみやげじゃ」
鬼婆がブリキのバケツを差し出すと、中にはトカゲの尻尾や何かの目玉、芋虫などがたくさん入っていた。
「わー、お婆ちゃん大好き!」二人の娘は声をそろえて言った。

目が黄色くてがりがりに痩せた、坊主頭の少年が布をかぶせた大きな皿を持ってやってきた。
「これ、母ちゃんが、婆ちゃんに」といって皿を殺気に差し出す。
「何これ?」殺気が布を取ると、皿には腐った牛の首がのっていた。
「わー、ありがとう!」
少年は口元をぶるぶる震わせてあとずさった。
「や、やーい、お前んち、自殺の名所!」
「姦太(かんた)!!」鬼婆が叫んだ。
「男の子きらーい!」殺気はそういって、鬼婆の持ってきたみやげをムシャムシャほおばっていた。

(つづく)

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HN:
快文書作成ユニット(仮)
自己紹介:
 各々が皆、此の侭座して野に埋もるるには余りに口惜しい、正に不世出の文芸家を自称しております次第。以下、【快文書館】(仮)が誇る精鋭を御紹介します。


 ❁ ntr 〜 またの名を中村震。小説、エッセイ、漢詩などを書きます。mixiでも活動。ふだん高校で数学を教えているため、数学や科学について書くこともあります。試験的にハヤカワ・ポケット・ブックSFのレビューを始めてみました。

 ❖ 呂仁為 Ⅱ 〜 昭和の想い出話や親しみやすい時代物、歴史小説などについて書きます。

 ✿ 流火-rjuka- ~ 主に漢詩の創作、訳詩などを行っています。架空言語による詩も今後作りたいと思っています。

 ☃ ちゅうごくさるなし
主に小説を書きます。気が向けば弟のカヲスな物語や、独り言呟きなことを書くかもしれません。

 ♘ ED-209 〜 PNの由来は映画『ロボコップ』に登場するオムニ社の敵役ロボットからです。今まで書き溜めてあった自身の体験談やコラムを発表するには良い機会と思い寄稿させて頂きました。是非、御読みになってみてください。そして何より皆さんに楽しんで貰えれば嬉しいです。

 ☠ 杏仁ブルマ
セカイノハテから覗くモノ 



 我ら一同、只管に【快文書】を綴るのみ。お気に入りの本の頁をめくる感覚で、ゆるりとお楽しみ頂ければ僥倖に御座居ます。









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