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 『読んで面白い』『検索で来てもガッカリさせない』『おまけに見やすい』以上、三カ条を掲げた〜快文書〜創作プロフェッショナル共が、心底読み手を意識した娯楽文芸エンターテイメントを提供。映画評論から小説、漢詩、アートまでなんでもアリ。嘗てのカルチャー雑誌を彷彿とさせるカオスなひと時を、是非、御笑覧下さいませ。
No.
2024/04/24 (Wed) 11:29:04

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No.568
2012/05/27 (Sun) 16:40:42

 このあいだ金環食が見られたと思ったら、六月の六日には太陽の前を金星が通過するそうである。ついブームに乗せられて日食グラスを買ったものの、金環食そのものはちょうど太陽に薄い雲がかかって、肉眼でも確認できたから損したように思ったけれど、今度は金星を見る楽しみがあるわけだ。そういえば子供のころ近所に「金星」と呼ばれるプラモデル屋があった。プラモデルも買ったが、透明なプラスチックの板をよくそこで買った。アラレちゃんなどの絵を描いて切り抜き、オーブンで熱を加えると縮んで分厚くなり、絵も細密になって面白いのだった。そこの店主のおっさんは無愛想で、今から思うと彼は金星からやってきて宇宙船が大破し、故郷に帰れなくなってしまった人かも知れず、その悲哀が表情に表れていたような気もするのである。そんな馬鹿なと思うかも知れないが、宇宙人は存外身近なところに住んでいるもので、すっかり地球に馴染んでいるが、その事実が広く知られないのは深く追求すると全身黒ずくめの男たちがやってきて、密かに誘拐されてしまうからである。金星が太陽の前を通過するとき、精度の良い望遠鏡で見れば、多数の気球が金星近くに浮かんでいるのが見えるだろう。金星人たちは気球に乗り太陽に向かって釣り糸を垂れ、そこに棲む魚竜を一本釣りにする。六月とはそういう季節なのである。その魚竜は金銀の鱗が目にも鮮やかで、ふだんから水素を吸っているため甲高い声できぃーきぃーと鳴き、金星人たちはそれを燻製にして保存食にし、来るべき冬に備えるのだ。

 金星と火星と並ぶ春の夜空 われはその間に幾月を経て

 ずいぶん前に作った短歌で、ここで詠んだごとく金星と火星が隣り合わせに並ぶ天文現象が起きたときのものである。金星は太陽系の第二惑星、火星は第四惑星であって、第三惑星の地球の軌道はそのあいだにある。だからそのとき見えた火星と金星のあいだのどこかを、何か月か後には地球が通過するはずで、そのとき自分もいま見える二つの星のあいだにいることになるのだなあ、というちょっと解説が必要な短歌である。

 すでにいろんなところでニュースになっているが、オリオン座の向かって左肩に輝いているベテルギウスという星は、観測する限りではまさに寿命が尽きようとしている徴候がある。直径は太陽の数百倍ある赤色超巨星で、いつ超新星爆発が起きてもおかしくないらしい。それが起きれば夜空では月に匹敵するほど明るく輝き、昼間でも見えるという。しかし寿命の末期とはいっても星のことだから時間のスケールが長く、超新星爆発が起こるのは明日かも知れないし、百万年先かも知れない。また六百光年離れた星だから、すでに爆発を起こしているかも知れない。この星は爆発のあとにはブラックホールになる可能性があり、そうであれば近隣に棲む宇宙人たちの霊魂がやはりそこに吸い込まれるのであり、宇宙の墓場がまた一つ増えるわけで、われわれも宇宙に棲むものとしてときには空を見上げ、線香の一本でもあげたいと思うのである。

 グノーの交響曲第二番というのを初めて聴いたが、とても面白く聴きごたえのある曲だった。この曲の知名度がなぜ低いのか分からない。指揮はマルケヴィッチ、パリ・ラムルー管弦楽団。
 あとクナッパーツブッシュとケルン放送交響楽団による、ワーグナーの「ジークフリート牧歌」とブラームスの交響曲第四番が収められたアルバム(KICC989)。このブラームスの四番は迫力があった。ワルターなどの端正な演奏で聴き慣れているとのけぞってしまいそうな鬼気迫る演奏だ。

 ケストナーは好きだが『飛ぶ教室』はまだ読んでいない。


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快文書作成ユニット(仮)
自己紹介:
 各々が皆、此の侭座して野に埋もるるには余りに口惜しい、正に不世出の文芸家を自称しております次第。以下、【快文書館】(仮)が誇る精鋭を御紹介します。


 ❁ ntr 〜 またの名を中村震。小説、エッセイ、漢詩などを書きます。mixiでも活動。ふだん高校で数学を教えているため、数学や科学について書くこともあります。試験的にハヤカワ・ポケット・ブックSFのレビューを始めてみました。

 ❖ 呂仁為 Ⅱ 〜 昭和の想い出話や親しみやすい時代物、歴史小説などについて書きます。

 ✿ 流火-rjuka- ~ 主に漢詩の創作、訳詩などを行っています。架空言語による詩も今後作りたいと思っています。

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 我ら一同、只管に【快文書】を綴るのみ。お気に入りの本の頁をめくる感覚で、ゆるりとお楽しみ頂ければ僥倖に御座居ます。









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