忍者ブログ
AdminWriteComment
 『読んで面白い』『検索で来てもガッカリさせない』『おまけに見やすい』以上、三カ条を掲げた〜快文書〜創作プロフェッショナル共が、心底読み手を意識した娯楽文芸エンターテイメントを提供。映画評論から小説、漢詩、アートまでなんでもアリ。嘗てのカルチャー雑誌を彷彿とさせるカオスなひと時を、是非、御笑覧下さいませ。
No.
2017/10/24 (Tue) 00:08:50

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

No.153
2009/12/09 (Wed) 04:26:58

はっくしょん! はーっくしょん!
くしゃみを二度した私は身震いした。近頃はみんな私の噂をしているのだろう。
さてここは高校の職員室で、いま期末試験期間中であり、ちょうど私の作成した「数学Ⅱ」の試験が行われている最中だ。テスト開始から三十分経ったから、教室を見てこよう……おっと、頭と尻にプラグを差し込むのを忘れるところだった。プラグをつけていなければ、私は九九もできないでくのぼうなのだ。
ずるずると頭と尻から長いコードを引きずりながら、私は教室に向かった。
「試験問題について、何か質問はありますか」
生徒達は一瞬私をちらりと見たが、しんとしていた。何もないようだから立ち去ろうとすると、女子生徒の手が上がった。生徒たちのカバンにコードが引っかからないように難儀しながら、私はその生徒の机のところまで来た。
「何ですか」
すると女子生徒は声をひそめて「先生、結婚してください」
私は驚いた。試験時間中にそんな重大な申し出を受けようとは。冷静に考えなくては……私とこの生徒との接点は、ほとんど授業時間しかない。つまり彼女は数学の教員としての私しか知らないのだ。とすると、結婚したら私は彼女の前でこのプラグを抜くわけには行かない。いつもコードを引きずって歩く必要がある。たとえば新婚旅行に行って、どこかのトンネルをくぐったとしよう。私は必ずもと来た道を引き返さなければ、コードが引っかかって帰ることが出来なくなってしまう。そうした不自由をあれこれ考えているうちに、突如私のコードが後ろから引っ張られた。あちこちにつまずきながら、後ろ向きに教室から出て行った私は、そのまま校長室にまで引っ張ってこられた。
「N先生」ソファに座った校長が言った。「この学校では、生徒と教師の交際が禁じられているのはご存知ですか」
「はあ、しかし私はそんなことはしていません」
「二年六組のM.Mの保護者から連絡がありました。先生は彼女に結婚を迫ったそうですね」
「いえ、その逆です。私が結婚を迫られたのです」
「事実はどうあれ」校長は表情を曇らせて言った。「そのような噂が立ったというだけで学校の信用に関わります。N先生、責任を取ってください」
というわけで、私はその高校を辞職した。
学校からの帰途、電車の椅子に座って頭にプラグを差し込み、虚ろな目をした若者たちが数名目にとまった。彼らは瞳をすばしこく動かし、脳内でゲームを楽しんでいるようだった。近頃は、ゲーム機を手にすることなく直接脳でゲームをするようになったのだった。私もつまらない現実から逃避しようと思い、列車内の壁から多数出ているゲーム用のプラグを自分の頭に差し込んだ。

という夢を見た。目が覚めた私は、いま剣を片手にモンスターと戦っている。


(c) 2009 ntr ,all rights reserved.
PR
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
[161]  [160]  [158]  [155]  [154]  [153]  [152]  [151]  [150]  [143]  [142
執筆陣
HN:
快文書作成ユニット(仮)
自己紹介:
 各々が皆、此の侭座して野に埋もるるには余りに口惜しい、正に不世出の文芸家を自称しております次第。以下、【快文書館】(仮)が誇る精鋭を御紹介します。


 ❁ ntr 〜 またの名を中村震。小説、エッセイ、漢詩などを書きます。mixiでも活動。ふだん高校で数学を教えているため、数学や科学について書くこともあります。試験的にハヤカワ・ポケット・ブックSFのレビューを始めてみました。

 ❖ 呂仁為 Ⅱ 〜 昭和の想い出話や親しみやすい時代物、歴史小説などについて書きます。

 ✿ 流火-rjuka- ~ 主に漢詩の創作、訳詩などを行っています。架空言語による詩も今後作りたいと思っています。

 ☃ ちゅうごくさるなし
主に小説を書きます。気が向けば弟のカヲスな物語や、独り言呟きなことを書くかもしれません。

 ♘ ED-209 〜 PNの由来は映画『ロボコップ』に登場するオムニ社の敵役ロボットからです。今まで書き溜めてあった自身の体験談やコラムを発表するには良い機会と思い寄稿させて頂きました。是非、御読みになってみてください。そして何より皆さんに楽しんで貰えれば嬉しいです。

 ☠ 杏仁ブルマ
セカイノハテから覗くモノ 



 我ら一同、只管に【快文書】を綴るのみ。お気に入りの本の頁をめくる感覚で、ゆるりとお楽しみ頂ければ僥倖に御座居ます。









 ※ 基本的に当ページはリンクフリーです。然し乍ら見易さ追求の為、相互には承っておりません。悪しからず御了承下さい。※







文書館内検索
バーコード
忍者ブログ [PR]