忍者ブログ
AdminWriteComment
 『読んで面白い』『検索で来てもガッカリさせない』『おまけに見やすい』以上、三カ条を掲げた〜快文書〜創作プロフェッショナル共が、心底読み手を意識した娯楽文芸エンターテイメントを提供。映画評論から小説、漢詩、アートまでなんでもアリ。嘗てのカルチャー雑誌を彷彿とさせるカオスなひと時を、是非、御笑覧下さいませ。
No.
2024/04/27 (Sat) 09:59:09

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

No.317
2010/06/25 (Fri) 00:41:00



高校生は数学の問題を解くときに、図を描くのを嫌がる場合が多い。
たとえば「AB=15, BC=16, CA=9 である三角形ABCにおいて、円が内接し、円と辺BC, CA, ABとの接点をそれぞれ P, Q, R とする。このときARの長さを求めよ」というような問題を最近やった。そこでいきなり式を書き始める愚かな生徒がいる。この図を描けば左の図のようになる。
図が描ければ、AR = x とおけば、円と接線の性質からAQ = AR = x , BP = BR = 15-x , CP = CQ = 9-x となることが見て取れる。よって BC = BP + CP = (15-x)+(9-x) =24-2x となり、したがって16 = 24 -2x となり、これを解いて x = 4 , つまりAR = 4 となる。

四角形の内接円にこの話を使うと、真ん中の図の四角形ABCD について、AB + CD = BC + DA という式が成り立つ。
なぜなら、円と辺 AB, BC, CD, DA との接点をP, Q, R, S とすると、AP = AS = x , BP = BQ = y , CQ = CR = z , DR = DS = w とおける。このとき
AB + CD = x + y + z + w , BC + DA = y + z + w + x
となるから AB + CD = BC + DAである。
あとでこのことを使って、円に外接する四角形の面積を求める公式を証明しよう。

まず一般の四角形の面積の公式を証明しよう。右の図の a, b, c, d を4辺とする四角形において、a と b とにはさまれた角を E , c と d とにはさまれた角をF とする。このとき四角形の面積を K とすると
K^2 = ( s - a )( s - b )( s - c )( s - d ) – abcd cos^2(( E + F )/2 ) (1)
(ただし s = ( a+b+c+d )/2 )
がなりたつ。これを証明するために、E, F 以外の2つの角を結ぶ四角形の対角線の長さを n とする。余弦定理から
a^2 + b^2 – 2ab cos E = n^2 = c^2 + d^2 – 2cd cos F .
よって
a^2 + b^2 – c^2 – d^2 = 2ab cos E – 2cd cos F . (2)
いっぽうで
K = (1/2)ab sin E + (1/2)cd sin F .
したがって
4K = 2ab sin E + 2cd sin F . (3)
(2), (3) の両辺を2乗して加えると
( a^2 + b^2 – c^2 – d^2 )^2 +16K^2
= 4a^2 b^2 cos^2 E – 8abcd cos E cos F + 4c^2 d^2 co2^2 F + 4a^2 b^2 sin^2 E + 8abcd sin E sin F + 4c^2 d^2 sin^2 F
= 4a^2 b^2 + 4c^2 d^2 – 8abcd (cos E cos F - sin E sin F)
= 4a^2 b^2 + 4c^2 d^2 – 8abcd cos ( E+F )
= 4a^2 b^2 + 4c^2 d^2 – 8abcd( 2cos^2 ((E+F)/2) – 1)
= 4a^2 b^2 + 4c^2 d^2 + 8abcd – 16abcd cos^2 ((E+F)/2)
= ( 2ab + 2cd )^2 – 16abcd cos^2 ((E+F)/2) .
したがって
16K^2 = ( 2ab + 2cd )^2 – ( a^2 + b^2 – c^2 – d^2 )^2 – 16abcd cos^2 ((E+F)/2)
= ( 2ab + 2cd + a^2 + b^2 – c^2 – d^2 )( 2ab + 2cd -a^2 -b^2 + c^2 + d^2 ) – 16abcd cos^2 ((E+F)/2)
= ( ( a + b )^2 – ( c - d )^2 )( ( c + d )^2 – ( a – b)^2 ) – 16abcd cos^2 ((E+F)/2)
= ( a + b + c – d )( a + b – c + d )( c + d + a – b )( c + d – a + b ) – 16abcd cos^2 ((E+F)/2)
= ( 2s – 2d )( 2s – 2c )( 2s – 2b )( 2s – 2a ) – 16abcd cos^2 ((E+F)/2) .

よって結局一般の四角形について
K^2 = ( s –a )( s – b )( s – c )( s – d ) – abcd cos^2(( E + F )/2 ).

ここで円に外接する四角形の場合、上で述べたように 
a + c = b + d
が成り立つから
s – a = ( a + b + c + d )/2 – a = ( -a + b + c + d )/2 = ( -a + c + b + d )/2 = ( -a + c +a + c )/2 = 2c/2 = c .
同様にして s – b = d , s – c = a , s – d = b となるから (1) はこの場合
K^2 = ( s –a )( s – b )( s – c )( s – d ) – abcd cos^2(( E + F )/2 )
= abcd – abcd cos^2(( E + F )/2 )
これより
K^2= abcd sin^2(( E + F )/2) (4)
を得る。

ところで円に内接する四角形の場合、E + F = 180°だから(1)より
K^2 = ( s – a )( s – b )( s – c )( s – d ) (5)
となる。この(5)はブラーマグプタの定理とも呼ばれる。
ここで d = 0 とすると、三角形の面積を求めるいわゆるヘロンの公式
K^2 = s( s – a )( s – b )( s – c ) (6)
が得られる。
また円に内接しかつ外接する四角形の場合、(4) に E + F = 180°を代入して
K^2 = abcd (7)
というきれいな式が成り立つ。


(c) 2010 ntr ,all rights reserved.
PR
[322]  [321]  [320]  [319]  [318]  [317]  [316]  [315]  [314]  [313]  [312
執筆陣
HN:
快文書作成ユニット(仮)
自己紹介:
 各々が皆、此の侭座して野に埋もるるには余りに口惜しい、正に不世出の文芸家を自称しております次第。以下、【快文書館】(仮)が誇る精鋭を御紹介します。


 ❁ ntr 〜 またの名を中村震。小説、エッセイ、漢詩などを書きます。mixiでも活動。ふだん高校で数学を教えているため、数学や科学について書くこともあります。試験的にハヤカワ・ポケット・ブックSFのレビューを始めてみました。

 ❖ 呂仁為 Ⅱ 〜 昭和の想い出話や親しみやすい時代物、歴史小説などについて書きます。

 ✿ 流火-rjuka- ~ 主に漢詩の創作、訳詩などを行っています。架空言語による詩も今後作りたいと思っています。

 ☃ ちゅうごくさるなし
主に小説を書きます。気が向けば弟のカヲスな物語や、独り言呟きなことを書くかもしれません。

 ♘ ED-209ブログ引っ越しました。

 ☠ 杏仁ブルマ
セカイノハテから覗くモノ 



 我ら一同、只管に【快文書】を綴るのみ。お気に入りの本の頁をめくる感覚で、ゆるりとお楽しみ頂ければ僥倖に御座居ます。









 ※ 基本的に当ページはリンクフリーです。然し乍ら見易さ追求の為、相互には承っておりません。悪しからず御了承下さい。※







文書館内検索
バーコード
忍者ブログ [PR]