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 『読んで面白い』『検索で来てもガッカリさせない』『おまけに見やすい』以上、三カ条を掲げた〜快文書〜創作プロフェッショナル共が、心底読み手を意識した娯楽文芸エンターテイメントを提供。映画評論から小説、漢詩、アートまでなんでもアリ。嘗てのカルチャー雑誌を彷彿とさせるカオスなひと時を、是非、御笑覧下さいませ。
No.
2017/08/20 (Sun) 16:49:27

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No.313
2010/06/10 (Thu) 15:37:59

落語「平林」のパロディ。

「おーい、定吉」
「へーい」
「おお、そこにいたのか。ちょっと使いに行ってくれるか」
「また使いでっか」
「なにがまた使いでっかや。使おうと思えばこそおいてあるんじゃ。奉公とはきみたてまつると書くんやぞ」
「いくら奉公がきみたてまつるいうても、そないにこき使われたんでは、使われるほうも往生したてまつる」
「しょうもないこと言うてんと使いに行ってきましょ。この手紙を本町の竹尾林(たけおばやし)さんのところへ持ってってくれるか。それで『今日はいいお天気さんにござります、佐平のところから使いに参りました』言うて、返事をもらってきなさい」
「へーい。……しかし人使いの荒い主人やな。こう朝から晩までこき使われたんではどもならんで……しもた。この手紙どこへ持っていくんやったっけ? 手紙に名前は書いてあるけどよう読まんしな。そや、そのへんの人に尋ねたろ。すんません、ちょっとお尋ね申し上げます」
「なんや、小僧さん」
「使いにやられてこの手紙届けに行くんでっけど、これ何て書いてあるか読んでくれやしまへんかいな。えらいお安い御用で」
「何がお安い御用や。それはこっちのセリフじゃ。どれどれ……ほう、これはよう書いてあるな」
「よう書いてますか」
「なかなかのもんじゃ。最初の字は竹(ちく)という字やな。次が尾(お)や。で最後が林(はやし)。これはちくおばやしと読むんやな」
「ちくおばやしですか。で、そのちくおばやしさんはどこに住んでなさるので」
「さあ、わしも通りがかりの者やしな。その辺でもう一回尋ねてみなさい」
「そうですか、ありがとさんでした……ここで尋ねたろ。あの、もし」
「なんや、子供さん」
「この辺にちくおばやしさんというお宅はありますか」
「さあ、そんな名前聞いたことないな。何や、書いたもん持ってんのか。見してみ……ああ、これはちくおばやしと読んだら間違いやで」
「そしたら何と読むんで」
「一番最初が竹(たけ)、二番目が尾(お)、最後が林(りん)。これはたけおりんと読むんやな」
「たけおりんでっか。で、そのたけおりんさんはどこにお住まいで」
「わしもこんな名前知らんな。そや、この先の四辻の右の家でもう一回尋ねてみ。たいがいのことは分かるわ」
「そないでっか。ありがとうさんです……たけおりんたけおりん。ケッタイな名前やな……ああ,この家か。あの、もし。このへんでたけおりんさんというお宅はありますか」
「なんや、たけおりん? 聞かん名前やな。手紙があんのか、見してみい……ああ、子供さん、これはたけおりんと読んだら間違いやで」
「そしたら何と読むんで」
「一番最初が竹(たけ)、次が尾(び)、次に木(もく)という字が二つ書いてあるな。これはたけびーのもくもくと読むんやな」
「たけびーのもくもく!? で、そのたけびーのもくもくさんはどこに住んでなさるので?」
「さあ、わしもここに長いこと住んでるけどこんな名前聞いたことないな。もっと先のほうで聞いてみたらどうや」
「へえ、どうもありがとうさんです……なんや、だんだんややこしなるな。最初がちくおばやし。次がたけおりん。で今度はたけびーのもくもくか。この辺でもっぺん尋ねたろ。あのもし、この辺にたけびーのもくもくさんというお宅はありますか?」
「何、たけびーのもくもく? それは日本人か」
「はあ、わたいは日本人やと思うてるんですが」
「なんや、書いたもん持ってんのか、それをさき出さんかい。ええと、これはたけびーのもくもくと読んだら間違いやで。誰でも間違うねん。最初の文字は竹(ちく)、次が尾(び)、それで最初の竹という字が漢文でいうところの再読文字で、この場合はもう二回読むんや。次は木(き)という字が二つ書いてあるな。だからこれは、ちくびがちくちくうっきっきーや」
「ちくびがちくちくうっきっきー!? で、そのちくびがちくちくうっきっきーさんはどこにお住まいで?」
「さあ、わしもこんな名前聞いたことないな」
「はあ、ありがとさんです。さあ、いよいよ訳分からんようになってきたぞ。ちくおばやし、たけおりん、たけびーのもくもく、ちくびがちくちくうっきっきー……まあ全部言うてたらそのうち一個ぐらいは当たるやろ。売り声みたいにふし付けて叫んだろ。ちくおばやしかたけおりんか、たーけびーのもーくもく。ちくびがちくちくうっきっきー!」
「おーい、みな来いみな来い! 気違いみたいなガキが変なこと叫んで歩いてくるぞ。なんや背中がこそばゆくなるような売り声やな」
「俺は乳首がかゆいわ。それにしてもなんで男に乳首なんかあんねやろ」
「知らんわ」

(終)


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快文書作成ユニット(仮)
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 各々が皆、此の侭座して野に埋もるるには余りに口惜しい、正に不世出の文芸家を自称しております次第。以下、【快文書館】(仮)が誇る精鋭を御紹介します。


 ❁ ntr 〜 またの名を中村震。小説、エッセイ、漢詩などを書きます。mixiでも活動。ふだん高校で数学を教えているため、数学や科学について書くこともあります。試験的にハヤカワ・ポケット・ブックSFのレビューを始めてみました。

 ❖ 呂仁為 Ⅱ 〜 昭和の想い出話や親しみやすい時代物、歴史小説などについて書きます。

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主に小説を書きます。気が向けば弟のカヲスな物語や、独り言呟きなことを書くかもしれません。

 ♘ ED-209 〜 PNの由来は映画『ロボコップ』に登場するオムニ社の敵役ロボットからです。今まで書き溜めてあった自身の体験談やコラムを発表するには良い機会と思い寄稿させて頂きました。是非、御読みになってみてください。そして何より皆さんに楽しんで貰えれば嬉しいです。

 ☠ 杏仁ブルマ
セカイノハテから覗くモノ 



 我ら一同、只管に【快文書】を綴るのみ。お気に入りの本の頁をめくる感覚で、ゆるりとお楽しみ頂ければ僥倖に御座居ます。









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