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 『読んで面白い』『検索で来てもガッカリさせない』『おまけに見やすい』以上、三カ条を掲げた〜快文書〜創作プロフェッショナル共が、心底読み手を意識した娯楽文芸エンターテイメントを提供。映画評論から小説、漢詩、アートまでなんでもアリ。嘗てのカルチャー雑誌を彷彿とさせるカオスなひと時を、是非、御笑覧下さいませ。
No.
2017/08/20 (Sun) 16:48:42

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No.318
2010/06/27 (Sun) 18:53:46

サンボは乳首が黒かった。幼稚園のときは自分でもさほど気にしなかったが、小学校に入学し、体育の時間で着換えるときなどに友人から「子供にしては黒すぎる」と指摘され、気になりだしたのだ。

夏のある日。異常なほど気温が上がり、太陽はぎらぎらと強い日光を発していた。四時間目の体育の時間は、プールでの水泳だった。焼けつくように熱くなったプールサイドで、サンボたちは準備運動を始めた。教師の笛の音に合わせて側屈していたそのとき、サンボの黒い乳首が強い日光のため煙を吹き出し、やがて炎を上げて燃え出した。「ぎゃあ!」サンボはのたうち回って苦しみ、すぐに保健室に運ばれた。
そのとき以来、サンボは友人たちから「燃える乳首」と呼ばれ、からかわれだした。いじめの対象にもなった。サンボは悩んだ。いじめられているなど、恥ずかしくて親には言えない。

ある朝のことである。「よっ、燃える乳首!」友人のゼッポがサンボに声をかけた。サンボは怒り心頭に達し「なんだと!」と叫んだ。すわ掴み合いの喧嘩が始まるかに見えたそのとき、サンボの乳首から透明な液体が吹き出し、ゼッポの眼にかかった。「ぎゃあ、痛い!」彼は目を押さえて転げまわった。すぐさま保健室に運ばれたが、ゼッポの眼は焼け焦げており、重傷だった。総合病院に運ばれ、治療を受けることになった。手術を終えた医師は、ゼッポの両親に説明した。
「ゼッポ君の視力が回復する見込みは、今のところ五十パーセントというところです……ゼッポ君の眼に被害を与えたのは、蟻酸という酸の一種です。しかしなぜそんな薬品がそこにあったんでしょうな……」

サンボが乳首から蟻酸を発射したことが分かり、ゼッポの主治医はそれを知って驚愕した。前代未聞の事件である。ぜひサンボ君の体を検査させてほしい、と医師は学校側に申し入れた。
サンボの血液を採取し、そこからサンボの遺伝子を解析すると、驚くべきことが分かった。サンボの実の母親は蟻だったのだ。蟻が人間を生むことが出来るのか? どこかに巨大な蟻がいて、人間を受胎したのだろう。そう考えるしかない。

サンボは友人に重傷を負わせてしまったことを後悔していた。乳首が燃えたことを指摘されたぐらいで、何もあんなに怒ることはなかったではないか。そんなことを考えていたおり、ゼッポの主治医がサンボの家を訪問し、彼の実の母親が蟻であることを告げた。
サンボは驚愕した。そして苦しんだ。自分が人間と蟻のあいのこだったなんて!
「サンボ君、気をしっかり持ちたまえ。君は蟻なんかじゃない。ちょっと変わっているけれど、君の体は人間としての機能を立派に備えている。乳首が黒いぐらいなんだ。実のお母さんも、きっと君を誇りに思っているよ。君はありのままでいいんだ」
アリのママ。意図せず発せられたこの駄洒落にサンボは衝撃を受け、しばし一言も発することが出来なかった。


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執筆陣
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快文書作成ユニット(仮)
自己紹介:
 各々が皆、此の侭座して野に埋もるるには余りに口惜しい、正に不世出の文芸家を自称しております次第。以下、【快文書館】(仮)が誇る精鋭を御紹介します。


 ❁ ntr 〜 またの名を中村震。小説、エッセイ、漢詩などを書きます。mixiでも活動。ふだん高校で数学を教えているため、数学や科学について書くこともあります。試験的にハヤカワ・ポケット・ブックSFのレビューを始めてみました。

 ❖ 呂仁為 Ⅱ 〜 昭和の想い出話や親しみやすい時代物、歴史小説などについて書きます。

 ✿ 流火-rjuka- ~ 主に漢詩の創作、訳詩などを行っています。架空言語による詩も今後作りたいと思っています。

 ☃ ちゅうごくさるなし
主に小説を書きます。気が向けば弟のカヲスな物語や、独り言呟きなことを書くかもしれません。

 ♘ ED-209 〜 PNの由来は映画『ロボコップ』に登場するオムニ社の敵役ロボットからです。今まで書き溜めてあった自身の体験談やコラムを発表するには良い機会と思い寄稿させて頂きました。是非、御読みになってみてください。そして何より皆さんに楽しんで貰えれば嬉しいです。

 ☠ 杏仁ブルマ
セカイノハテから覗くモノ 



 我ら一同、只管に【快文書】を綴るのみ。お気に入りの本の頁をめくる感覚で、ゆるりとお楽しみ頂ければ僥倖に御座居ます。









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