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 『読んで面白い』『検索で来てもガッカリさせない』『おまけに見やすい』以上、三カ条を掲げた〜快文書〜創作プロフェッショナル共が、心底読み手を意識した娯楽文芸エンターテイメントを提供。映画評論から小説、漢詩、アートまでなんでもアリ。嘗てのカルチャー雑誌を彷彿とさせるカオスなひと時を、是非、御笑覧下さいませ。
No.
2017/08/21 (Mon) 00:18:54

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No.653
2013/08/02 (Fri) 13:20:52

讀史雜感十首 其五  呉偉業

聞築新宮就 君王擁麗華
尚言虚内主 廣欲選良家
使者螭頭舫 才人豹尾車
可憐靑塚月 已照白門花

噂に聞いた、新しい御殿ができ上がった、と。
天子は麗華のような美女を側に侍らせながら。
それでも夫人たちが少いといって。
方方からかたぎの娘たちを選んで、後宮に入れようとする。
使者は螭頭(ちとう)の舟に乗り。
女官は、豹尾の車に載せられる。
ああ、王昭君の墓を照らす月が。
はやくも南京の花―宮女たちに、その光を投げかける、昭君の悲運が、やがて彼女たちを訪れようとするのだ。
(福本雅一訳)

 読史雑感という題だが、実際には作者呉偉業が同時代の明代のことを語っているのである。詩の中で語られているように、色欲にとりつかれた天子は、江南の各地に宦官を派遣し、美しい娘とみれば強制的に拉致して回った。自分がこの天子のように、そんなことが可能な立場に立ったとしたら、いったいどうなってしまうのだろうか。それはどうも想像の及ばない境遇のような気もする。たとえば、NHK朝の連続ドラマ「あまちゃん」を見ていて主演の能年玲奈が気に入ったら、即連れてきて妾にできてしまうのであり、「じぇじぇじぇ」などと言わせながら裸にして押し倒すのも思いのままで、それに飽きたらYoutubeの動画に影響されて、東京メトロを借り切ってその中で宮崎あおいと新垣結衣に浴衣を着せ鬼ごっこし、捕まえたら誰にとがめられることもなくその女体をむさぼることが出来るのである。そこまで自由に色欲を満足させられたら、頭が麻痺してしまって、女以外のことはまるで目に入らなくなってしまうかも知れない。いや、きっとそうに違いない。

 そもそもこの詩で揶揄されている福王という天子は、通常の立場の皇帝ではない。北は清国の外圧に負け、国内は飢饉をきっかけに起こった騒擾が大乱に発展し、内乱軍を指揮した李自成が首都北京を占領して大順皇帝を名乗り、明代最後の正統の皇帝たる荘烈帝はすでに自殺しているのである。そのご李自成は清軍に破れ中国は清の時代になったが、そういうなか明朝皇帝の血筋の者が南京に逃れ、実体のない明の新帝として即位したのが福王なのだ。しかし明代末期の政治の腐敗がそのまま南京に持ち込まれ、いつ清につぶされてもおかしくない外患の中にありながら、官僚たちは党派争いに明け暮れたという。そして新帝福王は、上述のように色欲に狂っているのである。
 
 わが国では江戸時代の将軍徳川家斉が、淫欲にとりつかれ奢侈に溺れたことで知られているが、それでもまだ安泰だった徳川政権の時代のことであり、それを思うと中国の皇帝は道の踏みはずし方もスケールが違う。
 
 欲望が無制限にかなう立場に生まれなかったことは喜ぶべきことということか。しかし中国には色欲とは違うが、おのれの巨大な欲求をとことんまで追求してしかもとがめだてされることもなかった清の乾隆帝のような例もあり、欲がかなうということの意味を改めて考えさせられる。

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快文書作成ユニット(仮)
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 各々が皆、此の侭座して野に埋もるるには余りに口惜しい、正に不世出の文芸家を自称しております次第。以下、【快文書館】(仮)が誇る精鋭を御紹介します。


 ❁ ntr 〜 またの名を中村震。小説、エッセイ、漢詩などを書きます。mixiでも活動。ふだん高校で数学を教えているため、数学や科学について書くこともあります。試験的にハヤカワ・ポケット・ブックSFのレビューを始めてみました。

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