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 『読んで面白い』『検索で来てもガッカリさせない』『おまけに見やすい』以上、三カ条を掲げた〜快文書〜創作プロフェッショナル共が、心底読み手を意識した娯楽文芸エンターテイメントを提供。映画評論から小説、漢詩、アートまでなんでもアリ。嘗てのカルチャー雑誌を彷彿とさせるカオスなひと時を、是非、御笑覧下さいませ。
No.
2017/08/18 (Fri) 15:59:31

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No.657
2013/08/16 (Fri) 04:56:48

このあいだ「開運なんでも鑑定団」を見ていたら、出張鑑定の会場が大阪の高石市だった。高石市のさるホールに観客が集まり、舞台で地元民が持ってきた骨董品に鑑定士が値段をつけるのだが、その前にVTRで高石市の紹介が簡単になされた。平安時代に祐子内親王家紀伊(ゆうしないしんのうけのきい)という女性が

 音に聞くたかしの浜のあだ波はかけじや袖の濡れもこそすれ

と歌に詠んだ「高師浜」がこの高石市の海岸である、と紹介されたが、歌の内容については触れられなかった。それもそのはずで、これは作者が男性の求愛に対して返した「あなたのような浮気性で有名な人と付き合ってあとで袖を涙でぬらすのはまっぴらご免です」という内容の歌で、「悪名高い」という意味で「たかし」という地名が使われているのである。高石市の人はその地の紹介のときにこの歌を引き合いに出されるのを不愉快には思っていないのだろうか。

 阪急電車に乗っていると、扉に林真理子の新刊本の宣伝がシールで貼られていた。『野心のすすめ』という本らしい。「やってしまったことへの後悔は日々小さくなるが、やらなかったことの後悔は日々大きくなる」という本の中の言葉が紹介されていた。なるほどと思った。そうだ。好きな女性に告白する、ペーパードライバーを卒業して車の運転をする、近所で意味もなく大量の水を撒いて至る所に水たまりを作る迷惑なおっさんに注意するなど、これまで躊躇してできなかったことをこれからやってみようじゃないか。それだけではない、今まで妄想だけにとどめていた銀行強盗、大麻草の栽培、振り込め詐欺、みんな明日から実行に移そう。読者諸君、悔いのない人生を送ろうじゃないか。

「半沢直樹」というドラマ、まだ見ていないのだけれど評判らしい。なんでもこの半沢という人をひどい目に合わせると「倍返し」されるそうだ。では半沢さんにお金を貸したら倍にして返してくれるのだろうか。
 そういえば画家のサルバドール・ダリは学校時代、友達から一枚の硬貨を同じ硬貨二枚で買い、硬貨三枚を十枚で買ったりして、自分の持ち金がなくなるまでそれを続ける「破産ゲーム」というのをやって愉悦を感じていたそうだ。シュールレアリストの考えることは常人には理解しがたい。

 思ふことみな尽きねとて麻の葉を切りに切りても祓(はら)へつるかな  和泉式部

 麻の葉を切るというのは夏の終わり、今でいうと六月の末日に行うみそぎの儀式で行われたことらしい。自らの邪念、そこには不運な恋もかかわっていようか、それをすべて尽きよと祈りかつ呪いながら麻の葉を切り払っていく。とくに「切りに切りても」という言葉には鬼気迫る執念がこもっており、手に持っている刃物の光は彼女の思いの恐ろしさを伝える。
 自分に思いを寄せる女性にすげなくした経験を持つ男性は、この歌を読んで慄然とするのではなかろうか。とくにこの作者和泉式部のような女性を、肉体関係を結んだうえで捨てるなどということをしたら、麻の葉といっしょにチンポを切られる可能性だってある。ひと夏のアバンチュールなどということは、よくよく相手を見定めてから行う必要があるということだ。

 大海の磯もとどろに寄する波割れて砕けてさけて散るかも  源実朝

 大海の磯もとどろき響けとばかり激しく打ち寄せる波は、割れて、砕けて、裂けて、しぶきをあげて飛び散っているよ、という明快で迫力のある歌である。
 この歌が詠まれた当時、鎌倉幕府の将軍であった実朝の周囲では公武間の政治的緊張が高まっていて、天変地異が続き、和田義盛の反乱などという事件も起こり、実朝は重苦しい日常から解放されたいという思いから、こうした大自然に目を向けた歌を作ったとも言われている。しかしここにそんな分析は不要にも思える。それぐらい分かりやすい歌だ。
 この歌を読んで僕が思い出すのは東映映画のオープニングである。三つの岩に荒波が打ち付け、三角形のロゴマークが飛び出してくるあのシーンだ。最近映画を観ておらず、この歌を読むと映画、とくに日本映画を観たいという思いに駆られる。ただツタヤで使えるTポイントがひところ千五百ほどまで溜まっていたのが、昼の暑さで昼夜逆転した生活になった僕の夜食代としてファミリーマートでほとんど消費されたのが悔やまれる。
 市川雷蔵の眠狂四郎は大映だが、このシリーズはほとんど観たものの一作だけ観ていないからまずそれを観て、そのあとは陸軍中野学校シリーズを観なければならない。このシリーズを観てさきの戦争の意味について深く思いをはせるつもりだ。え、ひょっとしてそんな深刻な映画じゃないの?

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快文書作成ユニット(仮)
自己紹介:
 各々が皆、此の侭座して野に埋もるるには余りに口惜しい、正に不世出の文芸家を自称しております次第。以下、【快文書館】(仮)が誇る精鋭を御紹介します。


 ❁ ntr 〜 またの名を中村震。小説、エッセイ、漢詩などを書きます。mixiでも活動。ふだん高校で数学を教えているため、数学や科学について書くこともあります。試験的にハヤカワ・ポケット・ブックSFのレビューを始めてみました。

 ❖ 呂仁為 Ⅱ 〜 昭和の想い出話や親しみやすい時代物、歴史小説などについて書きます。

 ✿ 流火-rjuka- ~ 主に漢詩の創作、訳詩などを行っています。架空言語による詩も今後作りたいと思っています。

 ☃ ちゅうごくさるなし
主に小説を書きます。気が向けば弟のカヲスな物語や、独り言呟きなことを書くかもしれません。

 ♘ ED-209 〜 PNの由来は映画『ロボコップ』に登場するオムニ社の敵役ロボットからです。今まで書き溜めてあった自身の体験談やコラムを発表するには良い機会と思い寄稿させて頂きました。是非、御読みになってみてください。そして何より皆さんに楽しんで貰えれば嬉しいです。

 ☠ 杏仁ブルマ
セカイノハテから覗くモノ 



 我ら一同、只管に【快文書】を綴るのみ。お気に入りの本の頁をめくる感覚で、ゆるりとお楽しみ頂ければ僥倖に御座居ます。









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