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 『読んで面白い』『検索で来てもガッカリさせない』『おまけに見やすい』以上、三カ条を掲げた〜快文書〜創作プロフェッショナル共が、心底読み手を意識した娯楽文芸エンターテイメントを提供。映画評論から小説、漢詩、アートまでなんでもアリ。嘗てのカルチャー雑誌を彷彿とさせるカオスなひと時を、是非、御笑覧下さいませ。
No.
2024/03/29 (Fri) 16:01:31

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No.115
2009/10/30 (Fri) 01:10:03

整数論をあまり勉強したことがないが、次のような問題をときおりいじくりまわして遊んでいる。

自然数nに対して、n自身を除くその約数の全ての和をS(n)と書くことにする。
ただしS(1)は定義しない。

例えば8のそれ自身を除く約数は1,2,4だから、S(8)=1+2+4=7。
また6のそれ自身を除く約数は1,2,3だから、S(6)=1+2+3=6。
また12のそれ自身を除く約数は1,2,3,4,6だから、S(12)=1+2+3+4+6=16。

8の場合のように、S(n)<nとなるnを輸数とよび、
6の場合のように、S(n)=nとなるnを完全数とよび、
12の場合のように、S(n)>nとなるnを豊数とよぶ。

1でない自然数nに対して、S(n)= mとなる自然数mがただ一つ存在する。このとき「n → m」(または「m ← n」)と書くことにする。

(注1)
n に対してS(n)= mとなる m はただ一つだから、相異なる m,m' に対し「n → m かつ n → m'」となることはない。
一方、S(64)=1+2+4+8+16+32=63,S(177)=1+3+59=63だから、
64→63,177→63。
つまり、相異なるn,n' に対し「n → mかつn' → m」となることはある。□

このようにして、全ての自然数を「点」とし、→を「辺」とする「無限有向グラフ」が作られる。
つまり、平面に全ての自然数が散らばっていて、自然数相互が→でつながっているイメージ。

自然数m,nに対し、m = m_0,m_1,m_2,...,m_k = n (k≧0)なる自然数の列があって、各i= 1,...,k に対し、m_{i-1}とm_iが→または←でつながっている状態のとき、「m~n」と書くことにする。
m~nであるというのは、mから矢印の列をたどっていくとnに到達する、というイメージ。
m~nの「~」という関係は同値関係である。すなわち

1)任意の自然数mに対してm~m,
2)m~nならばn~m,
3)k~mかつm~nならば、k~n。

従って関係「~」で自然数全体を同値類別できる。1つの同値類に属する自然数が形作っているグラフを「連結成分」とよぶことにする。点nの属する連結成分は、nから「→,←」という辺をたどって到達できる点(自然数)全体のなす塊り、というイメージ。つまり異なる連結成分どうしは辺でつながっておらず、自然数全体が連結成分によってきれいに区分けされている。

■問題1
連結成分は無数に存在するか。□


m=m_0→ m_1 → m_2 →...→ m_k = m (k≧1)
(ただし「i>0またはk>j」でi≠jのとき、m_i ≠ m_j)

となっているとき、m_0, m_1,...,m_kは、長さkのループをなすという(つまりmから始まって→でk回進むと、またmに戻るということ)。
mが長さ1のループをなすということは、m = m_0 → m_1 = m だからm → m,すなわちS(m)=mで、mが完全数であることを意味している。
m,nが長さ2のループをなしているとき(つまりm → n → m)、m,nは友愛数とよばれる。
つまりm,nが友愛数であるとは、m ≠ nであって「S(m)=nかつS(n)=m」がなりたつことである。
例えば、S(220)=1+2+4+5+10+11+20+22+44+55+110=284, S(284)=1+2+4+71+142=220,よって「220と284」は友愛数である。
(長さ3以上のループをなす自然数たちを「社交数」とよぶこともあるらしいが、あまり一般的なネーミングではないようだ。)

■命題1
1つの連結成分の中に、ループがあるとすればただ1つ。

(∵) 1つの連結成分の中にループが2つあったとし、m,nをその各々のループに属する自然数とする。m~nだから、
m = m_0, m_1, m_2, ..., m_k = n (k≧0)
なる自然数の列があって、各i=1,...,kに対し、m_{i-1}とm_iが→または←でつながっていなければならない。今k>1とすると、m_1,...,m_{k-1}はループに属さない点としてよい。mはループに属する点m' に対してm → m'だから、上の(注1)によりm ← m_1でなければならない。同様に、n←m_{k-1}でなければならない。これより1≦i≦k-1なるあるiに対して、m_{i-1}← m_i → m_{i+1}となっていなければならないが、これは(注1)からありえない。同様にk=0,1の場合も矛盾する。□

この命題1から、ループが無限個存在すれば、連結成分も無限個存在することになり、問題1は解決する。
そこで次のような問題も考えられる。

■問題2
任意の自然数kに対して、長さkのループは存在するか。
存在するとすれば、いくつあるか(無限個存在するか)。□

長さ1のループ(すなわち完全数)が無数に存在するかどうかはまだ知られていない(と思う。たとえばメルセンヌ数が無数に存在することがわかれば解決する)。
長さ2のループ(すなわち友愛数)が無数に存在するかどうかもまだ知られていない(と思う)。
長さ3以上のループに関しても、同様に未知ではないだろうか。


■問題3
m_0 → m_1 → m_2 → m_3 →... (ただしi≠jならm_i≠m_j)
なる無限列は存在するか。□


与えられたnに対し、S(m)=nとなるようなmは、複数存在することもあり、また存在しないこともある。
例えば、S(m)=2となるようなmや、 S(m)=5となるようなmは存在しない。

■問題4
与えられたnに対し、S(m)=nとなるようなmをすべて求める一般的な方法は? □


(注2)
n=p_1^r_1×p_2^r_2×...×p_k^r_k
のように素因数分解されているとき(ただしp_1,...,p_kは相異なる素数)、
S(n)=(1+p_1+p_1^2+...+p_1^r_1)(1+p_2+p_2^2+...+p_2^r_2)...(1+p_k+p_k^2+...+p_k^r_k)-n
と書ける。□

(注3)
pが素数ならば、S(p)=1。従って全ての素数pに対し、p → 1。つまり1に向かって、無限個の辺が伸びている。
そして無限個の辺が集まっている点は1のみ。実際、与えられたn(≠1)に対して、n → mなるmはただ1つで、n ← kなるkがいくつありえるかを考えてみると、kのそれ自身をのぞく約数の和がnだから、逆に見れば、nを相異なる自然数の和に分割するある仕方に(ただ1つの)kが対応している。ところがnを相異なる自然数の和に分割する仕方は有限個しかない。従ってn ← kなるkは有限個しかない。□

(c) 2009 ntr ,all rights reserved.
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快文書作成ユニット(仮)
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 各々が皆、此の侭座して野に埋もるるには余りに口惜しい、正に不世出の文芸家を自称しております次第。以下、【快文書館】(仮)が誇る精鋭を御紹介します。


 ❁ ntr 〜 またの名を中村震。小説、エッセイ、漢詩などを書きます。mixiでも活動。ふだん高校で数学を教えているため、数学や科学について書くこともあります。試験的にハヤカワ・ポケット・ブックSFのレビューを始めてみました。

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