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 『読んで面白い』『検索で来てもガッカリさせない』『おまけに見やすい』以上、三カ条を掲げた〜快文書〜創作プロフェッショナル共が、心底読み手を意識した娯楽文芸エンターテイメントを提供。映画評論から小説、漢詩、アートまでなんでもアリ。嘗てのカルチャー雑誌を彷彿とさせるカオスなひと時を、是非、御笑覧下さいませ。
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2017/08/19 (Sat) 07:01:58

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No.477
2011/10/02 (Sun) 10:55:28

 朝比奈隆指揮・倉敷音楽祭祝祭管弦楽団によるモーツァルト「交響曲第34番・35番・36番・38番・39番・40番・41番、ピアノ協奏曲第21番他」(4枚組、TOBU Recordings)を聴いた。
 実はこの中の交響曲第39番変ホ長調K.543は二十年近く前にラジオで放送されたことがあって、自分はたまたまテープに録っていて繰り返し聴いたのだった。それは本当に雄大で、スケールの大きい39番だった。聴くといつも、アルプスの白く神々しい山々を眺めているような気分になった。K.543ではムラヴィンスキーによるものと同じぐらいに素晴らしいと思ってきた演奏である。長年CD化を待っていたのだが、よもや今になって発売になるとは。

 しょっちゅうCDショップを覗いている方はご存知だろうが、朝比奈隆にはモーツァルトの録音はほとんどない。朝比奈さんの演奏をあまり聴いてきていない僕には、それが何故なのか見当もつかないが、この録音を耳にする限り、決してモーツァルトと相性が悪いという訳ではないようだ。
 これらモーツァルトの後期交響曲を中心とする上記の作品群は、1989年から1995年にかけての倉敷音楽祭で録音されている。倉敷音楽祭オーケストラは日本各地から参加した優れた奏者からなる集合体であり、朝比奈さんがモーツァルトとベートーヴェンの交響曲を一曲ずつ演奏するのが音楽祭の一つのハイライトだったらしい。

 曲目に交響曲第34番ハ長調K.338が入っている。これはあまり演奏されることのない、どちらかといえばマイナーな曲である。後期六曲以外でモーツァルトの交響曲を演奏するとなれば、聴衆に馴染み深い25番か29番あたりが選ばれるのが普通だろう。そこをあえて34番を採るのは、聴衆に受けやすいか否かは別として、朝比奈隆自身がこの曲を良い曲だと思っている、この曲が好きだ、ということだと考えてよいのではないか。そしてやはり、この34番は素晴らしい演奏である。通常は三楽章の小さな佳品という印象しかないこの曲が、このように勇壮で豪放に演奏されることはまれだろう。
 これは持論なのだが、有名な指揮者や奏者があまり演奏されないマイナーな曲を取り上げていたら、そこには名演が多い。カラヤンという指揮者は滅多やたらと多くの録音を残していて、その演奏には当たり外れが多い(僕は外れのほうがずっと多いと思うが)ため、いったいどれを聴いてよいやら分からない。しかしたとえばモーツァルトでいうと、セレナード第6番ニ長調K.239「セレナータ・ノットゥルナ」という地味な曲を何度も録音している。これもカラヤン自身がこの曲を好きなのだろうとしか思えず、聴いてみるとやはり小曲ながら非常に生き生きした躍動感あふれる演奏である。ジュリーニの指揮するシューベルトの交響曲第4番「悲劇的」や、ミケランジェリの弾くベートーヴェンのピアノ・ソナタ第3番などもそうした「隠れた名演」の範疇に入れてよいかも知れない。

 朝比奈さんの話に戻ると、交響曲第41番ハ長調K.551「ジュピター」の終楽章も素晴らしかった。ライブということもあるだろうが、終盤の盛り上がり方は他では聴いたことのない大迫力だった。
 ピアノ協奏曲第21番ハ長調K.467も荘重で非常に聴きごたえのある演奏だった(ピアノは江尻南美)。ピアノを支えるオーケストラの音が、なにか目に見えないどっしりした堅牢な土台の上に鳴り響いているという感じを受けるのである。K.467もいろんな奏者で聴いてきたが、フリードリヒ・グルダの反則的独奏が縦横無尽に駆け回るグルダ独奏&スワロフスキー指揮の怪演(1963)を除けば、この朝比奈隆指揮のものを最上と言いたいぐらいだ。モーツァルトの後期ピアノ協奏曲というと、バレンボイムの一連の弾き振りも良いけれど、21番に関しては22番・23番で聴かれた鮮烈さに乏しかったように記憶している。
 あと朝比奈さんのこのアルバムには「フィガロの結婚」序曲も収録されている。ティンパニの音が強烈で、これも勇壮な名演だった。

 朝比奈さんについては、僕はベートーヴェンもろくすっぽ聴いてきていない。何しろ同じ曲をオーケストラを変えて何度も演奏しているから、どれを選んでいいやらよく分からない。「朝比奈隆指揮ベートーヴェン交響曲全集」ということなら、どれが良いのかしら。


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