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 『読んで面白い』『検索で来てもガッカリさせない』『おまけに見やすい』以上、三カ条を掲げた〜快文書〜創作プロフェッショナル共が、心底読み手を意識した娯楽文芸エンターテイメントを提供。映画評論から小説、漢詩、アートまでなんでもアリ。嘗てのカルチャー雑誌を彷彿とさせるカオスなひと時を、是非、御笑覧下さいませ。
No.
2024/04/20 (Sat) 21:23:48

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No.621
2012/12/31 (Mon) 11:34:50

 宮崎市定著『アジア史概説』によれば、キリスト教に悪魔というものが存在するのはゾロアスター教の影響だという。つまりシリアを遊牧していてバビロンに囚われたイスラエル人は、はじめは唯一神ヤハヴェを信じるのみだったが、バビロンの文化に影響を受け、なかんずく善悪二元論を支柱とするゾロアスター教に触れたことによって信仰の内容が変化し、神の対立物としての悪魔を考えるようになったのだという。

 これは僕には疑わしく感じられる。別にゾロアスター教を知らなくとも、この世には陰と陽、上と下、右と左、表と裏というふうに、二つ対になっているものがどこにでも見られる。神というプラスの存在を考えれば、誰に教えられなくともマイナスの存在に考えが及ぶだろう。

 あらゆる二元論の中で、もっとも根本的な二項対立は「有と無」であると僕は思う。古代インド人が「リグ・ヴェーダ」の中で、世界の初めにおいては有もなかった、無もなかった、と言っているのは誠に正鵠を射ていると思うのである。有か無か、どちらか一方があれば他方も自然と生じ、それがものの存在の契機になると考えられるのである。

 数学に空集合というものが出てくるが、これは一つも要素を含んでいない集合で、いわば無の状態を表す。記号では ∅ と書くが、しかし「無」と名づけ ∅ と書き表してみると、「 ∅ というものが存在している」ように見えてくるのが必然の勢いである。そこで空集合を一つのものと認識したとき、その一個のものからなる集合を ∅ と区別して { ∅ } と書く。すると ∅ と{ ∅ } という二つのものがあることに気づく。この二つを集めた集合は
   { ∅ , { ∅ } }
である。この集合と ∅ を合わせれば第三の集合
   { ∅ , { ∅ , { ∅ } } }
が生まれる。そして ∅ を 0 と呼び { ∅ } を 1 と呼び、{ ∅ , { ∅ } } を 2 と呼んで
{ ∅ , { ∅ , { ∅ } } }を 3 と呼べば、本来何も無かったところから自然数の系列が生まれてくる。無を認識したところから全てが始まったのである。

 以上はあくまで数学の話だが、世界というものを意識によって認識されたものと定義するなら、世界は数学のように無あるいは有を認識するところから始まると思うのである。 

 では物理的世界はどうか。ビッグ・バンがどのようにして起こったか、物理学者たちによって鋭意研究中だが、それはある種の意識の力で起こった、という説も真面目に唱えられているという。


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快文書作成ユニット(仮)
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 各々が皆、此の侭座して野に埋もるるには余りに口惜しい、正に不世出の文芸家を自称しております次第。以下、【快文書館】(仮)が誇る精鋭を御紹介します。


 ❁ ntr 〜 またの名を中村震。小説、エッセイ、漢詩などを書きます。mixiでも活動。ふだん高校で数学を教えているため、数学や科学について書くこともあります。試験的にハヤカワ・ポケット・ブックSFのレビューを始めてみました。

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