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 『読んで面白い』『検索で来てもガッカリさせない』『おまけに見やすい』以上、三カ条を掲げた〜快文書〜創作プロフェッショナル共が、心底読み手を意識した娯楽文芸エンターテイメントを提供。映画評論から小説、漢詩、アートまでなんでもアリ。嘗てのカルチャー雑誌を彷彿とさせるカオスなひと時を、是非、御笑覧下さいませ。
No.
2024/04/20 (Sat) 05:27:34

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No.106
2009/10/21 (Wed) 02:53:46

「川本喜八郎作品集」というDVDを観た。いろんな手法のアニメーションが11編入っている。主に人形アニメーション。今昔物語からの説話とか「道成寺」とか、日本の古い話が多い。人形はマネキンっぽいつやつやした顔の人物が多くて、表情豊かだった。日本の本格的な人形アニメはあまり観たことがなかったから、着物など新鮮に感じた。

中島敦の「名人伝」も「不射之射」という題で入っていた。もとは「列子」にある弓の名人の話。
天下第一の弓の名人を目指していた主人公は、かずかずの困難な修業の後、師との勝負に僅差で敗れた。これ以上の技量を得ようとするなら蛾眉山にすむ老隠者のもとへ行け、と言われてそこに向かうと、その隠者は、弓など使っているうちはまだ駄目だ。「不射之射」ということを学べ、と言い、何も手にしないで高空を飛ぶ鳥を射落とした。主人公がそこで九年間修行して邯鄲の街に戻ると、天下第一の名人が帰ってきたと人々に熱烈な歓迎を受けたが、いっこうに弓矢を手にせず、その妙技を見せようとしない。しかしかつての師のもとに行くと、師はその顔つきをひと目見て「おお、これこそが天下第一の名人、我らごときが及ぶ境地ではない」と感嘆して深々と頭を下げた。それから主人公は死ぬまで弓を手にしなかったが、死の数年前、街のある人物から夕食に招待されたおり、そこにあった弓矢を見て「この器具は何という名で何に使うものか」と真顔で尋ねた。「不射之射」を極めた主人公は、弓矢の用途すら忘れてしまったのだ。

これを観ていて、野球でそういう話はできないか、などと考えた。天下第一の投手を目指す男と、古今無双の打者を目指す男。二人は別々の山で、隠者について修行を積み、戻ってきて勝負することになった。しかし大観衆が息をひそめて見つめる中、二人はバットとボールを見てもその用途を思い出せない。「これはこうやって使うものではないか」と推理をはじめた二人は、ヘルメットとバットを使ってやおら「たたいてかぶってジャンケンポン」を始める……。
いや、読者には熱心な野球ファンのかたもいらっしゃるので、これは本格的に書くのはやめました、すみません。

(c) 2009 ntr ,all rights reserved.
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執筆陣
HN:
快文書作成ユニット(仮)
自己紹介:
 各々が皆、此の侭座して野に埋もるるには余りに口惜しい、正に不世出の文芸家を自称しております次第。以下、【快文書館】(仮)が誇る精鋭を御紹介します。


 ❁ ntr 〜 またの名を中村震。小説、エッセイ、漢詩などを書きます。mixiでも活動。ふだん高校で数学を教えているため、数学や科学について書くこともあります。試験的にハヤカワ・ポケット・ブックSFのレビューを始めてみました。

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