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 『読んで面白い』『検索で来てもガッカリさせない』『おまけに見やすい』以上、三カ条を掲げた〜快文書〜創作プロフェッショナル共が、心底読み手を意識した娯楽文芸エンターテイメントを提供。映画評論から小説、漢詩、アートまでなんでもアリ。嘗てのカルチャー雑誌を彷彿とさせるカオスなひと時を、是非、御笑覧下さいませ。
No.
2017/08/21 (Mon) 00:29:46

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No.131
2009/11/09 (Mon) 23:21:08

自分は喧嘩ということはほとんどしないし好きでない。一時の激情に駆られて日頃の不満を相手にぶちまけ、相手も負けじとこちらの痛いところを突いてくる、そんなやりとりが嫌いだ。相手に不満を感じたらそれを溜めたりせずに、注意深く言葉を選んでアッサリと率直に伝えたい。感情を抑制して考えを伝えれば、喧嘩になんかならないものだ。
感情の衝突が起きそうになったときの言葉の選び方は重要だ。相手の反対の意見を述べるのでも、「でも」や「しかし」で始めると受け入れられにくいし、雰囲気も険悪になる。相手の意見を認めた上で「それでね」と始めれば、話も聞いてくれやすいし雰囲気も穏やかになる。

ネットでは、かなり人を傷つけるような物言いでやりとりが交わされている場もよく見かける。ミクシィでもコミュニティによっては、ずいぶんきつい罵倒が飛び交っている。そういう場に入っていく機会はあまりないが、仮に当事者になったら「まあまあ……」とうまくみんなの喧嘩を収められたら愉快だろうな。まあ遠くから荒っぽい喧嘩を眺めるのも面白かったりするけど。


そのように平和的雰囲気を志向する一方で、詩などの文学作品では、騒乱をも予感させるような勇猛なものも好きだ。幕末の志士による詩は、しばしば意気天を衝くような憂国の熱情にあふれていて、心を動かされることが多い。何も国や天皇陛下のためでなくても、自分も自らの大切な主義主張のために熱誠を尽くして戦ってみたいものだ、などと夢想することもある。

次の詩の作者越智春雲は、歴史の本では河野顕三という名で呼ばれることが多いらしい。彼は文久2年(1862)、同志六人とともに坂下門外で老中安藤信正を襲撃。歴史に暗いので本からの引き写しになるが、皇妹和宮の降嫁を実現した「公武合体政策」を初めとする、安藤政権の施策に憤激してのことだったという。襲撃は失敗し、その場で河野は死んだ。年二十五。


偶成  越智春雲

奮然決死掃榛荊
一劍直當百萬兵
成否元來是天耳
欲留報國盡忠名


奮然死を決して榛荊(いばら)を掃い
一剣をひっさげて直ちに百万の兵に当たる
成功失敗は天命であって致し方ない
報国尽忠の我が名を後世に残したいと思う



次の詩は坂下門事件からさかのぼること二年、万延元年(1860)に起きた桜田門外の変に参加した水戸浪士、黒沢勝算によるもの。よく知られるように、この事件で大老井伊直弼が暗殺された。この「絶命詞」は黒沢が刑死する日に詠んだ辞世の詩。彼はこの時二十二歳。


絶命詞  黑澤勝算

呼狂呼賊任他評
幾歳妖雲一旦晴
正是櫻花好時節
櫻田門外血如櫻


狂人と呼ぶも乱賊と呼ぶも それは他人の評に任せよう
長年の妖雲も一時に晴れた気持ちだ
時まさに桜の花咲く好時節
桜田門外に飛び散った血も桜の花のようだった



前者の「偶成」は日常口ずさんでもよさそうな爽快も感じるが、「絶命詞」のほうは少し狂気じみた恐ろしさも感じる。

……と、自分はこういう詩を読むと気分の高揚を感じるのだが、慣れない人はドキリとするものなのかもしれない。右翼的な感じがして、近寄るのはやめておこうと思ったりもするだろうか。
また黒沢勝算も越智春雲も、それぞれ黒沢忠三郎、三島三郎の名で靖国神社に「殉難の士」として祀られているそうで、上のような詩を軽々しく好きだの嫌いだのと言うと、不謹慎だ、あるいは反動的だと怒る人もいるのかも知れない。

ただ優れた文学作品というのは、読む人の主義信条を超えて訴えかけてくるものがあるのだと思う。そういうとき読者はあたかも俳優のように、書き手の気持ちになって作品を味わっているのではなかろうか。書物を読んで心が豊かになるというのは、一つにはそういうことだと思う。読んでいて喚起される感情が自分の普段の感情とかけ離れているほど、心が柔軟に、より豊かになっていくのだろう。とくに古典を読む場合、この「書き手の感情を真似てみる」ことをしないとつまらないと思う。書き手の感情を理解した上で、その感情を受け入れるもよし、捨てるもよし、としたほうが面白そうだ。

ふだん感情がなだらかな自分だけに、上のような詩に興味を持つのかもしれない。ただ興味を持ったからといって、テロ容認など社会に迷惑をかける主義信条を持つようになるわけではない。人間の多種多様な感情を理解しうる「心の柔軟さ」を持ちたいと思っているだけだ。

(c) 2009 ntr ,all rights reserved.
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 各々が皆、此の侭座して野に埋もるるには余りに口惜しい、正に不世出の文芸家を自称しております次第。以下、【快文書館】(仮)が誇る精鋭を御紹介します。


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