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 『読んで面白い』『検索で来てもガッカリさせない』『おまけに見やすい』以上、三カ条を掲げた〜快文書〜創作プロフェッショナル共が、心底読み手を意識した娯楽文芸エンターテイメントを提供。映画評論から小説、漢詩、アートまでなんでもアリ。嘗てのカルチャー雑誌を彷彿とさせるカオスなひと時を、是非、御笑覧下さいませ。
No.
2017/10/21 (Sat) 12:03:16

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No.517
2011/12/16 (Fri) 14:08:27

 職場から見える街路樹も、つい先日までは赤々とした葉を優雅に舞い落していたのに、すっかり、葉が落ち寂しげな真冬の景色となった。
 しばらくは外で携帯を持つ手もかじかむような寒さだから致し方ない。

 「山本五十六」がまた、映画化されて公開するのだという。役所広司の主演らしいけど。

 ウィキペディアで検索してみれば、山本五十六を最も多く演じたのはかの三船敏郎その人である。

             


 連合艦隊司令長官の役があれほど決まった役者も居ないと思うが、他にもはまり役は三船プロの威信をかけて制作された大河時代ドラマ「大忠臣蔵」の大石内蔵助。

 すでに討ち入りの12月14日は過ぎてしまったが、クリスマスだイルミネーションだと楽しい光りものばかりを尊ぶ現代の風潮にあって、忠臣蔵だの真珠湾攻撃の日だのって忘れられない史実の一片だと思う。

 youtubeを探せば、「南部坂の別れ」はすぐに出てくるので視聴環境があるなら是非、御勧めの昭和時代劇の名場面・・・泣かせるシーンの凝縮が其処に散りばめられている。

 討ち入りの日の迫った師走に、浅野家の奥方、遥泉院の実家(赤坂氷川神社の脇に南部坂はまだあるが)に廃藩となる折の会計報告にと適当な項目で挨拶に出向く。仇討こそ本懐と願い続けている遥泉院は「ついに来たか?」とばかりに内蔵助を出迎えるが、「いや、仇討などは諦めました。山科へ戻って百姓などをしながら余生を・・・」などと答えるものだからあてが外れた彼女は憤懣やる瀬なく三船敏郎演ずる内蔵助を散々に詰る。

 実は、この時、吉良方の間者が潜んでいることを視野に入れ、最期の大芝居を亡き主君の奥方に打つのである。
 「亡き殿の遺影に・・」と四十七士の連判状を仏壇にそっと置き引き上げる。内蔵助が去ってのち、その連判状に気付いた遥泉院はおのれの思慮深さと内蔵助の報恩の決意にうなだれる・・・。

 この時の遥泉院は佐久間良子が演じていたが、どちらの演技も誠に素晴らしい。 しゃあしゃあと、口上を述べる三船敏郎はこの頃油も乗り切っていて素晴らしい。  「レッドサン」の黒田重兵衛役もなかなか渋いが、この大石内蔵助こそ最高だ。声には出さぬとも「これこそがもののふの道」と言わんばかりの重厚な演技である。

             

               

 世界のミフネにはアラン・ドロンも兄弟のように慕い、自らの香水「サムライ」は三船敏郎のイメージを踏襲させて造られたとも言うし、紳士服ダーバンのコマーシャル出演も三船敏郎がドロンに薦めたとも言われている。

 「グランプリ」はマックイーンの「栄光のルマン」と並ぶレース映画の金字塔だが、劇中ではヤムラこと本田宗一郎をモデルにしたチームオーナー役をジェームズ・ガーナーを向こうに回して演じ切った。

             

 小生の頭の中では、この「グランプリ」と「栄光のルマン」こそが、造られたモーターレーシングの世界を描いた中では秀逸過ぎて他に比肩のしようがない。勿論、ドキュメントとして描かれたものは別格だが。


 先日、復元改修中の東京駅を通りがかった。江戸の末期から明治にかけて、そこに何があってどのようにして今の駅舎になっているかも、仮囲いに貼ってある様々な地図や写真や文献でおぼろげながら興味深い知識を得て帰ってきた。

              

 わずか100年ちょっとの間に相当のスピードでインフラが進み、今の首都圏の大動脈として成り立ってきたのが良くわかる。
 昭和には言うまでもなく大戦の前と後では大きく異なってくる。としても、占領下にあって点呼を受けながらの駅の朝礼やら、今では考えられない乗車券を買い求め故郷や疎開先へ向かう人の行列・・・。

 スマホや携帯、パソコンなどなかった時代コミュニケーションの手段は数少なかったろうが、人と人の生業はもっと濃かったのだろう。

 昨今の3Dなどの奇をてらった目の錯覚にも等しい仕掛けで欺くような映画は、当時は存在しなかったから、人間が等身大で演じる人の心の奥行きがそうさせた。機械や画面の小細工だけに拘らなかった。
 大石内蔵助や山本五十六をはじめとする史実に存在した人々も含め、フィクションに登場する人物も自身が成し遂げるキャラクターの中で自在に演じて見せた。

 暮れや大晦日や正月に豪華絢爛の時代劇をテレビで観ることはなくなった。

 そういえば、TBSだったと思うが三船敏郎が島左近を演じた「関ヶ原」も忘れられない。高橋幸治演じる大谷吉継や加藤剛の石田三成、敵役の家康を演じた森重久弥、キャスト陣も素晴らしかったが、司馬遼太郎の原作も時代考証も骨太な脚本と相まって素晴らしい物語のベースとなったからだろう。

 B29によって、大戦下で被爆炎上した東京駅は現代のテクノロジーと膨大な人々のたゆまぬ努力によって、やがて在りし日の姿を衆目に提供するだろう。
 だが、我が心に大きな足跡を残した歴史の断片、三船敏郎が生涯をかけて演じたもののふの道は画面や画像の中でしか観ることはできない。

 21世紀となってから既に10年以上が過ぎ去った。スカイツリーのような新しくて高い建物に目を奪われがちだが、東京駅の工事現場の仮囲いでふと10分かそこらも足を留めれば、懐かしい記憶の数々とこの国の辿った生業を感じることができる。


 ただ、高い空から下を眺め降ろせばそれで済む・・・ということではあるまいと感じさせてくれる。



 (c)2011 Ronnie Ⅱ , all rights reserved.




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 各々が皆、此の侭座して野に埋もるるには余りに口惜しい、正に不世出の文芸家を自称しております次第。以下、【快文書館】(仮)が誇る精鋭を御紹介します。


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