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 『読んで面白い』『検索で来てもガッカリさせない』『おまけに見やすい』以上、三カ条を掲げた〜快文書〜創作プロフェッショナル共が、心底読み手を意識した娯楽文芸エンターテイメントを提供。映画評論から小説、漢詩、アートまでなんでもアリ。嘗てのカルチャー雑誌を彷彿とさせるカオスなひと時を、是非、御笑覧下さいませ。
No.
2017/08/21 (Mon) 00:13:11

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No.59
2009/10/16 (Fri) 01:34:12

阪急電車・急行河原町行きの最後尾の車両で、不良少年たちと正義感あふれる青年との間で、激しい口論が起こった。
「君たちはなんだ。お年寄りがこんなに前に立っているのに席を譲ろうとせず、しかも大股開きで場所を取って! 電車でのマナーを守れ!」
「うっせえ! 俺たちにそんな口をたたいてタダで済むと思ってんのか!?」
黒い革ジャンを着た少年の一人が、ふところから拳銃を出し、いきなり青年の胸に向けて発砲した。青年は胸の真ん中から血しぶきを飛び散らせて倒れ、ぴくぴくと痙攣してこと切れた。
そのときである。
片手にモップを持ち、一つ目で真っ黒な顔をした車掌が現れ、銃を持った少年の手をつかんだ。
「いて、いてて!」
少年の苦悶の声を無視して、車掌はその腕をひねり上げ、勢いよく引っ張ると、少年の右手は肩からちぎれてしまった。血が血管からぴゅっぴゅと飛び出る。
「ぎゃー!!」
「ついでに貴様のはらわたを見てやる」とつぶやいた化け物の車掌は、少年の腹に腕を突っ込み、腸をずるずると引きずり出した。少年はとっくに息絶え、大きく目を見開いて痙攣していた。乗客たちは、中には喝采を上げる者もいたが、大混乱の情況を呈していた。
「ちきしょう、俺の仲間に何てことしやがる」と、もう一人の少年が車掌に立ち向かった。その少年は空手をやっているらしく、構えがさまになっていた。しかしその突きや蹴りは、車掌には何ら痛痒を感じさせることが出来なかったらしい。逆に車掌はその少年の首根っこをつかみ、窓に彼の頭をぶち当ててガラスを破り、地下線路のコンクリートの壁に頭をがりがりとこすりつけた。猛スピードで電車は走っているから、またたくまに少年の頭蓋骨は粉砕され脳が飛び散り、頭部の半分ほどが削り取られてしまった。頭が半ば無くなったその少年の口にモップを押し込み、その車掌は烏丸駅で降りていった。

「何なんだ、今の車掌は!?」
「化け物だが、正義の味方には違いない」
乗客は口々に言いあった。その中に、新聞記者の土呂間(とろま)がいた。彼はこのモンスターに、時代が求める英雄像を見た気がした。そしてモンスターの追跡取材をしようと心に決めたのである。

モンスターが住む郊外の一軒家。
二階の自室でモンスターは、放射性廃棄物を浴びた後遺症に苦しんだ。その被害が、彼から普通の人間としての生活を奪ったかわりに、超人的な体力と正義感を植え付けたのである。モンスターは苦悶にのたうち、叫ぶ。
しかし事情を知らない彼の年老いた母親は、階下で「あの子もやっと性に目覚めたのね」と、微笑みつつつぶやくだけだった。

(つづく)

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快文書作成ユニット(仮)
自己紹介:
 各々が皆、此の侭座して野に埋もるるには余りに口惜しい、正に不世出の文芸家を自称しております次第。以下、【快文書館】(仮)が誇る精鋭を御紹介します。


 ❁ ntr 〜 またの名を中村震。小説、エッセイ、漢詩などを書きます。mixiでも活動。ふだん高校で数学を教えているため、数学や科学について書くこともあります。試験的にハヤカワ・ポケット・ブックSFのレビューを始めてみました。

 ❖ 呂仁為 Ⅱ 〜 昭和の想い出話や親しみやすい時代物、歴史小説などについて書きます。

 ✿ 流火-rjuka- ~ 主に漢詩の創作、訳詩などを行っています。架空言語による詩も今後作りたいと思っています。

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主に小説を書きます。気が向けば弟のカヲスな物語や、独り言呟きなことを書くかもしれません。

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 ☠ 杏仁ブルマ
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 我ら一同、只管に【快文書】を綴るのみ。お気に入りの本の頁をめくる感覚で、ゆるりとお楽しみ頂ければ僥倖に御座居ます。









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