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 『読んで面白い』『検索で来てもガッカリさせない』『おまけに見やすい』以上、三カ条を掲げた〜快文書〜創作プロフェッショナル共が、心底読み手を意識した娯楽文芸エンターテイメントを提供。映画評論から小説、漢詩、アートまでなんでもアリ。嘗てのカルチャー雑誌を彷彿とさせるカオスなひと時を、是非、御笑覧下さいませ。
No.
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No.83
2009/10/16 (Fri) 04:38:23

ときどき、SFに出てくるテレポーテーション(物質転送)装置のことを考える。「スタートレック」には毎回のように出てくるし、映画「ザ・フライ」ではこの装置で人間の転送に失敗したことがハエ男を生んだのだった。

こうした装置は、物質をいったん分子レベルでばらばらにして、何らかの方法で別な位置に送り、そこで分子を再結合させ元の物質にもどす仕掛け、と説明されることが多いようである。
では、人間を転送した場合、その分子を間違って左右逆に再結合してしまったら、その人間は生きていけるのだろうか。

そうした失敗はこの装置において「起こりそうなこと」かも知れない。物質の各分子を別な場所に移動する際、これこれの場所(座標)へ移動させよという命令は、装置のプログラム上ではきっと「3次元の一次変換」として実行され、それも変に歪んだ形状で分子が再結合しないためには「直交変換」とよばれる操作がなされなければならない。直交変換は、行列式が ±1 である3次の行列で与えられる。行列式が 1 ならば物質の左右はそのままで、-1 なら左右が入れ替わる。だから変換の行列式がつねに 1 になるように装置はプログラムされるだろうが、-1 が 1 と認識されてしまうような誤作動が起きると、「物質の左右の逆転」が起きてしまうのである。

しかし人間の体を構成する分子の中には、左右対称でないもの(正確には「鏡に映すと別物に見えるもの」)が相当数入っているだろうし、左右逆にした再結合はうまくいかない可能性が高そうだ。パズルのピースの中に左右対称でないものが含まれていたら、完成品をばらばらにして各ピースを左右逆に並べようとしてもうまく組み合わさらないのと同様である。
だから人間をそのようにあやまって再結合しようとしたら死ぬのではなかろうか。

ここで、この装置が物質を「分子レベル」ではなくて「原子レベル」にばらばらにするとしたらどうだろうか。原子までばらばらにしてしまうと、再結合の際に非常に多くの「化学反応」が起きる必要がありそうに思え、そうした装置の実現は難しいのかも知れない。しかし仮にそういう装置があったとして、それで人間を左右逆に転送したらどうなるだろうか。

今度は左右対称でない分子は、転送によって左右逆になった分子(つまり「光学異性体」)に変わるから、再結合そのものは問題なさそうだ。問題はそうやって左右逆になった人間が生きていけるかである。
ごくまれに、内臓や血管のめぐり方がすべて通常と左右逆になっている人がいるようである。つまり心臓は右に、肝臓は左に、S字結腸は右にある、という具合である。そういう人は、内臓に欠陥を抱えていることが多いと聞くが、普通に生きていられるらしい。そこから推して、転送で左右逆になった人も生きていけると思っていいのだろうか。自分にはよく分からない。

たとえばDNAはどうだろうか。DNAはいわゆる「二重らせん構造」をしている。らせん状のものの鏡に映った像は、もとのものと別物に見える。右に回して締まるねじと左に回して締まるねじが別物なのと同様である。DNAがそのように別物になっても、生体維持に支障がないのだろうか。

その人の精神は、肉体が左右逆になると影響を受けるだろうか。脳細胞の配列がすべて左右逆になることで、それまで見ていた世界の記憶もすべて左右逆になって、文字などすべて記憶と違って見え、非常に苦痛を感じるかも知れない。性格的には、その人はもとと違った点が出てくるだろうか。性格と脳の構成分子の関係を知るのは、とても難しそうだ。

この問題について何かお分かりのかた、いらっしゃいますか。

(c) 2009 ntr ,all rights reserved.
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 各々が皆、此の侭座して野に埋もるるには余りに口惜しい、正に不世出の文芸家を自称しております次第。以下、【快文書館】(仮)が誇る精鋭を御紹介します。


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