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 『読んで面白い』『検索で来てもガッカリさせない』『おまけに見やすい』以上、三カ条を掲げた〜快文書〜創作プロフェッショナル共が、心底読み手を意識した娯楽文芸エンターテイメントを提供。映画評論から小説、漢詩、アートまでなんでもアリ。嘗てのカルチャー雑誌を彷彿とさせるカオスなひと時を、是非、御笑覧下さいませ。
No.
2024/05/03 (Fri) 20:14:41

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No.85
2009/10/16 (Fri) 04:58:04

大阪は今日もお天気です。たまには雨でも降ってくれたほうが涼しくなるのに、とも思いますが、毎日ぎらぎらと太陽が照りつけています。塾の仕事は開始時間が不規則で、今日は夕方まで暇なのでだらだらと日記を書いてみます。

中一の生徒を教えていて最近感じるのは、身につけるべき事項が機械的な計算が多く、テキストを進めていても変化に乏しくて、しばしば退屈な授業になってしまうということです。中学に入って、「算数」が「数学」と名を変え生徒が難しく感じがちなのが、文字式のようです。「200円のものを4個買いました。合計金額はいくら?」のような問題が、「200円のものをa個買いました……」となって、aのような抽象的な文字が出てきます。具体的に「4個」とかなら、200×4とすぐに「掛け算すればいいんだな」と分かるようですが、aとなったとたんに200+aなのか200×aなのか分からなくなったりするようです。

文字式にそろそろ慣れてきたと思ったら、つまらないトラップを仕込んだ問題が出てくることがあります。
「1リットルの水が入った水槽から、aデシリットルずつ5回水をくみ出しました。残りは何リットル?」のようなものです。
「リットル」と「デシリットル」が混ざっているけれど、最後に尋ねているのは「何リットル」だから、「デシリットル」という単位を「リットル」に直す必要がある。数学をやる人に特有の「重箱の隅をつつくような細かい注意深さ」をこの段階から身に付けてもらおうという事でしょうか。注意深さはもちろん重要でしょうが、そうした訓練はどうも辛気臭くなりがちです。
苦労して「aデシリットル=(1/10)aリットル」と自分で直せるようになったとしても、それ自体は面白くもなんともない。

そこで面白みのある雑談でもと思い、以前書店で立ち読みした『新しい単位の辞典』という本の話をしたら結構もりあがりました。この本の内容は詳しくは覚えていないのですが、われわれがふだん感じるいろんな感覚を数値化するために、新しい単位を作ろうと試みていました。

たとえば、喫茶店でジュースを飲むとき、コップの口に果物、ことにパイナップルなどがささっていたら、ちょっと豪華な感じがします。そこで、その程度の豪華さのことを1pnp(1パイナポー)と呼ぶことにする。では例えば、箱入りのせんべいをもらって、ふたを開けてみたらさらに綺麗な和紙でせんべいがくるまれていたらどうでしょう。3パイナポーぐらいの豪華さを感じないでしょうか。で、その生徒に、夕食のおかずに何が出てきたらいちばん豪華だと感じるかと聞いたら、それはアワビだとのことでした。彼の言うには、それは7パイナポーぐらいの豪華さだそうです。

『新しい単位の辞典』に載っていたものであと僕が覚えているのは、ガッカリ度を示すnpr(ニッポリ)という単位です。
関西に住んでいるとよく分からないのですが、東京では「あこがれの美人の女の子が日暮里に住んでいると知ったら、ちょっとガッカリする」のだそうです。日暮里という所は、おそらくちょっとひなびた、そこに住んでいるというのがややカッコ悪いと感じさせる場所なのでしょう。で、「あこがれの女の子が日暮里に住んでいるのを知った」程度のガッカリ度を、1npr(1ニッポリ)とする。では、雨の日に公衆便所に入り、その後ずぶぬれになって帰宅したときに、その公衆便所に財布を落としてきたのに気付いたとしたらどうでしょう。推測でしかないのですが、おそらくこれは80ニッポリぐらいのガッカリ度ではないでしょうか。しかし、大阪の中学一年の生徒には日暮里がどうしてもイメージできないらしく、単位ニッポリの話は出来ませんでした。

あとは僕が創作した単位なのですが、たとえばシャーペンを人に貸したとき、後ろの消しゴムを使われると少しムッときます。その消しゴムはあくまでシャーペンの芯を入れるときのフタであって、基本的には使うべきものではないという考えの人が結構いるわけです。そこで、その程度のムカツキのことを1spk(1シャーペンケシゴム)と呼ぶことにする。では例えば、停めていた自転車の前かごにジュースの空き缶が放り込まれていたら、それはどの程度のムカツキでしょう。僕はこれは15シャーペンケシゴムぐらいのムカツキを感じます。で、その話をしていたときの生徒がテニス部に入っているとの事なので、もし自分のラケットが知らない間に誰かにバキッと折られていたら、どれぐらいムカつくか聞いてみました。彼は500シャーペンケシゴムと答えました。ラケットはそれほど彼にとって大事なものだったのです。

次に、ラッキー度というものを考えました。塾に来たときに、僕が急遽来られなくなって授業が中止になったときに感じる程度のラッキーさを、1nym(1ntr ヤスミ)とする。では朝、ハシカか何かのために急に学級閉鎖で学校が休みになったと知ったときのラッキー度はどのくらいかと尋ねました。答えは30nymでした。僕はちょっと嬉しかったです。僕の授業は彼にとって、学校の30分の1程度のイヤさしか感じないという事ですから(もっとも彼も僕に気を使ったのかも知れませんが)。では学校が急に爆発して、3ヶ月ぐらい学校が休みになったら? と尋ねると、それは500nymぐらいだとのことでした。そりゃ嬉しいですよね。3ヶ月の休みだなんて。

いつもより身近な話題の日記になりましたが、皆さんも新しい単位を作って遊んでみませんか。

(c) 2009 ntr ,all rights reserved.
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 各々が皆、此の侭座して野に埋もるるには余りに口惜しい、正に不世出の文芸家を自称しております次第。以下、【快文書館】(仮)が誇る精鋭を御紹介します。


 ❁ ntr 〜 またの名を中村震。小説、エッセイ、漢詩などを書きます。mixiでも活動。ふだん高校で数学を教えているため、数学や科学について書くこともあります。試験的にハヤカワ・ポケット・ブックSFのレビューを始めてみました。

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